1
「サクヤ、よろしくな~!」
「あ、こちらこそよろしく」
見た目は金髪でチャラ男のように見えたが話して見ると意外といい奴かもしれないと秘かに思った。
安村と軽い雑談をしていると教室の自動で開くドアが開いた。
安村がそれに気づき、急にニヤついた顔で俺を呼んだ。
「あの子めちゃくちゃ可愛くないか? 」
「え? 誰が?」
と安村の指差す方へ目をやるとそこには……。
青紫色の綺麗な髪をしていたさっきの可愛い女子ではないか!
教室のドアの前でキョロキョロしていると俺と目が合った。
するとこっちを見て彼女は微笑んだ。
「も、もしかしてこっち見てないか? お前の知り合い?」
安村が驚いた顔で俺を見た。
「え、いや」
なんと彼女はこっちに向かって来た。
「あ、ええ? 」
俺が驚いていると彼女は目の前に立ち。
「あの~、隣いいですか?」
「え?」
俺は驚きのあまり何を言ったのか聞こえなかった。
「えっと…隣いいですか?」
女の子の方は少し焦っていたが俺も俺でテンパっていた。
「あ、はい! だ、大丈夫!」
「ありがとう」
と小声で言い彼女は微笑んだ。
その笑顔に見惚れて5秒くらい固まっていると。
「そういえば、さっき会ったよね。校門で」
「俺の事覚えててくれたの?!」
「う、うん。もちろん! 丁度知ってる人がクラスにいて安心した」
「そういえば、自己紹介まだだったね。私は青山沙奈」
「俺は安村俊太でーす!よろしくー!」
さすがチャラ男。俺よりも先にすぐ自己紹介をしやがった。
「そんでこいつがサクヤ~」
「苗字もしっかり言ってくれ。篠田咲也、よろしく」
そして、3人は笑ってそのまま会話を続けた。
その瞬間、シーンとした教室が少しほんわかした気がした。