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俺が一人でいる時と変わらず教室は静かだった。ちょっとした物音以外、話し声は一切ない。
トントン。
急に左肩を誰かに叩かれ、俺は驚いた。
左を向くとそこには薄い金髪の男子生徒が立って居た。
「隣いいかな?」
「あ、うん」
小声で俺は返事をした。
「ここちょっと暑いよな、暖房効きすぎだな」
「そ、そうだね...」
またやってしまった……。
こんな時はもっとこう。気のきいた返事ができないのか俺!
だからいつもこうだ……。
自分を責めたてた。
はぁ〜……。
心の中で深いため息をついていた。
こうだから俺は中学の時も友達ができずなかったんだ……。
おまけに友達がゲームにもなっていた。
CPUの仲間は絶対に裏切らないし、オンラインは自分ではないもう一人の自分になりきる気持ちでやってきた。
要するに、現実逃避ができるのが俺にとってゲームだった。
だから、ゲームが好きで、どんどんハマっていってしまっていたんだ。
親が呆れるほどに……。
そんでいつの間にかゲームの世界に入りたいと願っていた。
だから、この学校に入りたいと思った。
この学校に入って、同じ仲間を見つけて友達を作ろうと思ったんだ。
けど……。
もうこの金髪の生徒は話しかけてくる事はないな。
俺がこうやってつまらない返事をした時はそこで話が終わり、その人と友達になる事はほとんどの確率でないからだ。
はぁ~……。
また心のなかで深いため息をついてしまった。
せっかく話しかけてもらったのに……。
高校生になったら自分を変えようと思ったんだけどな。
これじゃまた同じ事の繰り返しをしてしまっている。
だが、金髪の生徒はそんな俺の予想をあっさりと覆した。
「そういえば、俺の名前は、安村 俊太」
俺は驚いて思わず え?っと声を出してしまった。
「だから、お前の名前は??」
安村のその質問を聞き、本当にうれしかった。
そして、俺は少し微笑みながら
「えっと……俺は……篠田咲也!」