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アフタースクールRPG  作者: 白川
少年の宝
19/22

1


初めてASRに入った日から、3日は過ぎようとしていた。


今日も変わらず、4時間目で通常授業を終え、みんなは昼食を食べている。

昼食は、みんなASRのチームで食べていることが多く、俺らもチームで食べている最中だった。


「……今のところは、順調にミッションをクリアしてってるよね」


オタクくんは口に入れてたスパゲッティーを飲み込み、沈黙の空気を破った。

実は10分前から俺はお昼を共にしているのだが、さっきからまったく会話が続いてなかった。

いや、そもそも会話さえなかったね。


「そう……だね。今日のミッションも楽だといいね」


そう答えると俺は静裏さんの方を見た。

もう食べ終わってるのかよ!


「…………なに?」


俺の視線に気づき、静裏さんは冷たい目つきで俺を睨む。


「い、いやなんでもない。ないです」


なんで俺は敬語を使ってるんだよ。

てか、俺らのチームだけ暗い気がするのだが……。

周りのチームを眺めると楽しそうに会話をしているところが多い。


はあ。俺もなんか話題出さないと、このままじゃあ、オタクくんダウンしちゃうよな。

めっちゃ汗かいてるし。


「み、みんなの。す、好きな食べ物はなんですきゃ?」


なんちゅう質問しとんだ俺はぁああ!しかも、噛んじゃったし。


「い、いきなりだね。う〜ん、僕はラーメンかな」


答えてくれて、ありがと。オタクくん。


「…………私は……ミスジ、ロース、バラ、ツラミ、カルビ、サーロイン、ヒレ、ランプ、イチボ、ハラミ、などなど……」


多いな!しかも、肉の部位じゃねーかよ。


「静裏さんは焼肉好きなの?」


俺が尋ねると静裏さんは強く首を上下に振った。

その首を振る強さからして、めちゃくちゃ好きなんだろう。

そんな会話をしているうちにASRの時間が迫ってきた。


***


そして、ASR(放課後)の時間。

俺らはいつも通りにASRの世界へ入る。

現在のASR内の空は暗く、星が輝いていた。偽物とわかってはいるが、相変わらず綺麗な夜空だ。


このアフタースクールRPGでは、現実の世界と違って、24時間ではない。

だから、朝、昼、晩とランダムになっている。ちなみに天気もあって、もちろんそれもランダムだ。


ピピピ、ピピピ、ピピ。

ミッションが送信された音がした。これもいつも通りだ。


ミッションNO4。

街にいる頭上に!のNPCから1つミッションを受けて、クリアせよ。


要するに某ゲームで言うクエストを受けろってことなんだろう、だったら簡単なの受けてクリアしちゃうのが一番いいよな。

と思い、俺は静裏の方を見る。


「なに見てんの⁉︎ 斬られたれたいの?」


俺の視線に気づいた真静裏は暴言を吐き、背中に背負っている両手剣に手を掴んだ。


「な、なんでもないです!」


あれ何かデジャブ感があるんだけど、気のせい?


「まあ、とにかく。さっさとミッションクリアしちゃおう」


フォローサンキュー、オタクくん。


「そーね。それじゃあ……隣の町で受けにいくわよ」


おい、ちょっと待ってくれ。


「な、なんでわざわざ隣の町まで受けに行くの?」


「そうだよ。ここで受けた方が良くない?」


と俺らが言うと、真静裏は深いため息をついた。


「あんたらバカぁ⁉︎」

え、 エヴ○? ごめん、ほとんど隠し切れてないね。


俺らがきょとんとしていると真静裏様は熱弁しはじめた。


「周りを見なさい。あんたらの考えはみんなも一緒。だから、この街でミッションを受けようとしても先客がほとんど下手すれば、受けらんないかもしれないのよ!」


な、なるほど。たしかに筋が通っている。


「聞いてんの!!」


「「は、はい!」」


もはやお説教だ。こわいこわい。


「たく、それじゃあ行くわよ」


「「は、はい……」」


またも俺とオタクくんがハモった。本日2度目だ。

2度あることは3度ある。なんと恐ろしい言葉。


そんなバカらしいことを思いながら、俺は……いや、俺らは街を出た。



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