1週間
たぶんここまでが第一プロローグで、次から本格的に入っていきます。
たぶん
東京から転校生して1週間がたった。島の有名人の息子ということと生来の性格で最初はクラスメートと距離があったものの静佳のおかげで慣れ始め、友達も出来始めた。
「美琴ー帰ろうぜー」
「さあ帰ろうではないか美琴!」
今話しかけてきた2人は一番仲の良い男友達だ。
最初の男は石川創といって明るい筋肉馬鹿だ。運動が得意で田舎の高校性のイメージによく当てはまるタイプである。喧嘩も得意で頼りがいがあるが、馬鹿だ。
次の男は篠崎茂といってただの変態だ。
メガネが特徴で頭もよく、運動もほどほどに出来るのだがオタク趣味が限度を超え、変態になってしまった。とても残念な男だ……………………………
そんな奴らだからこそ美琴も心を開くことが出来ている。この二人はクラスの中心ともいえる存在で美琴をクラスに馴染ませることができた立役者といえる。
しかしひとりは根っからの馬鹿、もう一人は変態ということで女子からの評判は良くない。むしろ悪いすぎるくらいだろう。そら朝から下ネタいったり、学校にエロゲー持ってきて粛清委員にボコられていたら仕方が無いと思う。
でも美琴にとっては頼りがいのある友達だ。
静佳「くろちゃんとはあたしが一緒に帰るの!あんたら男二人で帰ってればいいよー」
静佳も転校初日から支えてくれて、登下校も一緒にしてくれる。というか一緒にじゃないと不機嫌になるのだ。だから放課後は美琴の取り合いが始まるがいつも和解して四人で帰るのだからいいかげん無駄である。
美琴「じゃあ四人で帰ればいいだろ。」
静佳「くろちゃんがいうなら仕方ないねー」
俺の提案に少しむくれる静佳は可愛い。しかし不機嫌になられても困るので、次の提案を出すのだ。
美琴「むくれるなって。今日もご飯食っていっていいから」
静佳「ホント?ならしかたないね♥」
この頃いつも家で静佳は夕飯を食べている。俺の来る前にも結構来ていたようだが俺が来てからはほとんどだ。しかも家の人からも黒川先生のとこなら大丈夫ねと変な信頼を得ている。まあ賑やかになるのでいいのだが…………………………
ちなみに桜と一緒に登下校はしたことがない。夜のこと以来態度がツンツンになっているし、友達と一緒に登下校しているので時間も合わないからだ。
正直とても寂しい。この前も家事をしていたら
桜「にーさん……もしかして私の下着干しました?」(不安な顔つきで)
湊「お、おう。しっかり干しておいたぞ」(満面の笑みで)
桜「あ、あ、あ、に、にーさん!やめてっていったじゃありませんかぁぁぁぁぁぁぁ」ブン(近くにあった受話器を投げた音)
美琴「あ、すまな(ゴフゥ」
という惨事が起きてさらに嫌われたようだった。
俺は嫌われたショックで相当へこんだ。
そんなことがいくつかあり、関係は悪化している。どんどん最愛の義妹に嫌われていくことがショックで近年稀に見るくらいの動揺だったと母に言われた。まだ口をきいてもらえるだけましだと思うことにして自分を励ましたことは記憶に新しい。
なんやかんやで四人で帰るのだが創と茂は比較的家が近いので、割とすぐ静佳と二人きりになる。
その後は二人で学校のことや友達のことなど他愛もないことを話して帰っている。商店街のおばちゃん達から冷やかされて静佳が顔を真っ赤にしてテンパるのもひとつの楽しみで、そのあといじける静佳をなだめるのも日課となってきた。
家では研究所に篭もりっきりの親たちに変わり、俺が家事をしている。桜も出来るようだが体が弱い桜に無理をさせることができないのでひとりでほとんど一人でやっている。
それが桜は過保護すぎると嫌がっているのを知る由もない。
帰ってから少しして静佳が夕飯を食べに来るので、作っている間遊んでもらっている。俺の部屋に忍び込んでいる時もあるようだが何をしているのやら……………………………………
作り終わってから静佳と桜を呼んで3人で食卓を囲む。正直二人では会話が続かないので静佳の存在はとても大きく頼もしい。二人だといつ自分が墓穴を掘らないか不安だからである。
夕食がおわっても静佳は帰らない。何故かというと静佳はアホなので勉強を教えてもらっているからだ。この間二人っきりであるかと言われるとそうでもない。
静佳はまだいいが、桜は俺が女子と話したり、遊んだりするのを極端に嫌う。何故かはわからないが嫌がるので桜も一緒に勉強することも多い。ちなみに俺は成績は上位である。ドヤッ
そして勉強会を終えると静佳を家まで送り、家事をして寝るのだ。
こんな毎日を過ごしていくのかなとおもっていたが、残念ながら次の日のその考えは脆く崩れるのである………………………………………