転校初日
守入高校へ行くには商店街を通り、山道を歩いていかなくてはならない。その距離にして2キロらしく、東京育ちで電車ばかりだった美琴にとっては辛い所業だった。
しかし横には静佳がいるので弱音ばかり言ってはいられない。がんばろう(泣)
家から出発して15分くらいして商店街についた。
朝だからあまり人がいないがお昼時になると結構にぎわっていた。
たしかここに桜は友達と待ち合わせをしていたはずだ。
ちなみに桜と静佳は仲がいい。小さい頃から一緒に遊んでいたらしく、姉妹みたいな関係になっている。また静佳は5人兄弟で結婚して島を出ていった兄、最近結婚して子供が近々生まれるらしい姉、あとは中学一年の妹と小学六年の弟がいる。
少し歳が離れているがとても仲がよく、中学一年の妹白川一葉ちゃんは俺にも優しくしてくれるいい子だ。
静佳「それはくろちゃんに憧れてるからだよ…………
」
美琴「それはないだろ。一葉ちゃんにも好きな子くらいいるだろうし」
静佳(その相手がくろちゃんなんだよー(泣))
一葉ちゃんは姉の静佳には反抗期らしい。
あんなに可愛いくて優しいというイメージしかないので正直実感がわかない。まあそれも仲がいい証拠だと思う。
話を戻そう。さっきも言ったが静佳と桜は仲良しで、朝に顔を合わせて話すことも珍しくない。ということは桜が話せばの話だが俺が変なことをしたりすると静佳には筒抜けなのである。
初日の夜のことはさすがにいってないんだろう。静佳は下ネタに対する耐性が全くないので、夜のことが話されたとしたらすぐに顔を真っ赤にして罵倒してくるはずだからだ。
さっきも下ネタトークを展開してみたが「くろちゃんの馬鹿!!」「フニャァァァァァア!」とテンパっていた。これからも弄っていこうと心に決め、固く誓った…………………………
静佳をいじり倒してから5分後、
やっと山道についた。津波対策として昔に建てられた高校なので標高の少し高いところにある。美琴は運動派ではないので相当辛い。しかも結構道が長いのである。
しかし横では静佳がケロッとした顔で息も切らさずに歩いている。ここに長年住んでいる静佳にとっては苦痛でも何でも無いんだろう。
その体力を分けて欲しいと切実に願い始めて15分やっと校門まで着いた。
守入高校は聞いていたとおりの木造の珍しい学校だった。一体何年使ってるんだよとか地震きたら一発アウトだろとか結構安全面において心配されているらしいく、ところどころに修理した箇所も見受けられる。
守入島には高校が二つあり、守入高校の全校生徒は240人で、美琴はあまりの少なさにびっくりしたものだ。
取りあえず静佳の案内で職員室まで行き、少しだけ学校のこと(主に委員会や生徒会)の話などを説明してもらった。
委員会や生徒会はさすがに東京にもあったので分かるが一つだけ聞きなれない委員会があった…………………………………………その名も
「粛清委員」である
学校の治安を守るための委員会らしく、俗に言う風紀委員とあまり違いはなかった。
ある一点を除いては、だ。
粛清委員第一条「学校内の風紀を乱す者には罰を与え、反抗してくる者には武力で無力化させても良い。また希望するものは刺叉などを装備しても良い。」
要するに風紀を汚す輩は武力で制圧といった教育委員会も真っ青の武闘派集団なのだ。しかも委員の生徒は担当の先生自らスカウトするためより強く、より忠実な軍隊のような集団になっているようだ。
いやこれはアカンでしょ( ; _ ; )要するに武闘派の連中が暴れられるっていうことだろ……………………絶対目をつけられないようにしなくては(汗)
それともう一つ分かったのは俺の義父黒川真治はこの島の人から慕われているらしい。というかもう英雄扱いくらいにされている。
何故そんなことが分かるかというと先生方からの扱いがおかしいからだ。黒川先生のご子息という存在の俺はさっきから義父の功績を延々と先生から教えてもらっている。
この守入島は最初何もない田舎だったが、義父の研究のために交通網の整備やフェリーの便の増加などがあったから観光地として成り立った。そんなことがあれば誰だって感謝するだろう。
ってか義父さんそんなに偉かったのか。優しそうな人でいつもボンヤリしてるから偉いとは思っていなかった。すごい人が義父なんだな俺。
その後も英雄譚を聞かされ続け、ホームルームのチャイムがなるまで止まらなかった。
そして俺は先生に案内され、2年2組へ。
今日からここで新しいスクールライフが始まる。
少しずつなれて行こうと思う。
「東京から転校してきました黒川美琴です。よろしくお願いします!!」
取りあえず頑張ってはいるんですが、まだまだです。ヒロインもまだ全員出せてないので頑張っていきたいと思います。