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2:怒り

「―――ったく、何なんだよあいつ!いきなり”笑って”って…」

「―――璃餡(りあん)!」

いきなりわけのわからないことを言う少年の言葉にイライラしながら坂を下っていく璃餡。

さっきから後方で自分を呼ぶ声が聞こえるが、無視。

どうやら足は遅いらしく、少年は早歩きの璃餡に追いつけない。

だがそれでもあきらめずに璃餡を呼んでいる。


そして、璃餡の怒りが限界を越え・・・・・・。


「―――――――何だよ!!いつまでついてくる気なんだお前は!?」

「璃餡が笑うまで。」

立ち止まり、少年に怒鳴る璃餡だが、対する少年は平然と、そして真顔で返す。


――――――こいつには何言っても意味がない。


そう判断した璃餡はこれ以上怒る気力もなく、諦めの表情とともにため息を吐いた。


「……お前、名前は?」

「えっ?いってなかったっけ?」

「言ってねえよ!!お前が俺の名前知ってただけだろーが!?」

「ご、ごめんごめん。僕の名前は、”ロスト”。」


やっと怒りが収まったところにわざとなのか、ただ天然なだけなのか、少年のボケと璃餡の怒りと呆れのこもったツッコミが飛び交う。

それはともかく、少年の名前は”ロスト”というらしい。

・・・・・・顔はどこからどう見ても日本人なのだが。


なんだその名前は、と思ったが、ロストには聞きたいことがたくさんある。

名前に関しては、彼の通り名ということにした。


「じゃあ、ロスト。まずは……なんで俺を笑わせなきゃいけないんだ?」

「だから、試験に合格するための条件なんだよ。」

「その……”試験”ってのは?」


璃餡に試験のことを訊かれると、ロストは考えるようにして黙り込んでしまう。

しばらく逡巡したのち、ロストは”試験”について簡単に説明していた。


「……話していいことなのかわからないけど……。僕は”生まれ変わるための試験”を受けているんだ。」

「………。それで、俺を笑わせることが条件ってか。」

「うん。璃餡を笑わせることができれば、試験に合格して、もう1度生きることができるんだ。だから―――――――――」

「やだね」

「えっ……。」


条件の理由を話し、璃餡に協力してもらおうと話すロストだったが、突然、璃餡の拒否を意味する声に遮られ、思考が停止する。

動きの止まったロストを嘲るように璃餡が追い討ちをかける。


「さっきも言ったが、そんなこと俺の知ったことじゃない。…試験だか何だか知らないけどな、そんなことで俺は笑わない。」

「えっ?どういうこと?笑えない理由でもあるの?笑ってると楽しくn」

「――――――黙れッ!!!」


ロストは納得できず”笑わない”理由を聞こうとするが、怒りが頂点に達した璃餡の声に遮られる。


「……もう、笑わないって決めてんだよ。」


怒りを抑えながらそういうと、璃餡は再び歩き出した----------






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