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第31話 関所だ!海だ!幽霊船だ!?

第31話を更新です!

国境を前に、与人たちは実験をしていた。

「リント殿、聞こえていますか?」

《ああ、聞こえている。問題は無い。》


 与人たちは『ソーサラス』と『オーシェン』の国境付近にて、ある実験をしていた。

 遠く離れたギリギリ見える位置にリントを置き去りにしていた。

 一つはストラが使える通信が出来る魔法が正常に作用するかどうかである。

 傍聴魔法に引っかからないようにする調整に手間取ったとストラは悔しがっていたがそれでもこれではぐれた時などに連絡が付くと与人は喜んだ。

 それともう一つ先日『スキルノーティス』によって知らされた『スキル』の新能力についての実験を兼ねていた。


「では与人様。『瞬間跳躍』、お願いします」

「う、うん。……ふぅ~」

「そんなに緊張しないでお兄ちゃん。何かあってもリント先輩なら大丈夫だよ」

「……何かあったらリントに何言われるか分からないから緊張してるんだよ」


 ランにそう言い返しつつ『スキル』使用に集中する。

 そして改めて深呼吸すると強くイメージするのであった。


「『瞬間跳躍』! リント!」


 そう与人が言うと遠くにいたリントは消え、光と共に近くにリントが現れた。


「歓喜。無事成功したもようですが何か損傷はありますかリント氏」

「いや無いな。妙な気分ではあるがな」


 セラの言葉にリントが軽く返すとストラと与人を見る。


「いいタイミングで『スキル』が成長したな。……少し良すぎるぐらいで疑うぐらいに」

「何者かの意思を感じる。そう言うのかい?」

「そこまでは言わないが。仕組まれてる可能性は無くは無いだろ」


 ティアの質問にリントはそう返すが本人も言っていて不可思議なところがあるのかあまり納得はしていないようだ。


「ですけど『スキル』はアーニス神の加護によるもののはずです。それに細工できるとは……」

「ですが、そうなると『スキルノーティス』にも疑問が湧きます。『スキル』所持者にしか聞こえない声となると」


 リントの言葉にユニとカナデがそう疑問をぶつけ合い議論が白熱しかけた時にそれを止めたのはアイナであった。


「今は『スキル』に対する疑問は置いておくべきです。まずは主様を『マキナス』へと導く事がやるべき事です。その他の疑問は着いた後でも十分出来るはずです」

「そうですね。与人様の『スキル』はただでさえ謎が多い。調べるなら腰を据えて調べるべきです」


 アイナの言葉をストラが肯定した事により白熱しかけた議論は落ち着いてきた。


「剣の人、珍しくいい事言った」

「だな。だてに主の事ばかりを考えている事はあるな」

「その言い方にはとても悪意を感じますよ二人とも!!」


 リルとリントの茶々にいつもどうりアイナが全力で突っ込んでいるとカナデがボソッと漏らす。


「否定はしないのですね」

「出来るならしています!!」

「だよね~」


 そうランが言うと皆から笑いが込み上げてくる。

 取り敢えず実験は成功となったが最早全員なぜ立ち止まっていたかを忘れていた。



「発見。見えました。『ソーサラス』と『オーシェン』の国境です」


 先頭を歩いていたセラがそう指を指した方には確かに関所が造られていた。

 与人は通行許可書を見せる為にアイナとティアと共に列に並ぶ。


「ん? そこの三人、少し待ってくれ」

「な、何か?」


 その途中番兵に止められ顔をジロジロ見られた与人。

 その様子を見ながらもアイナとティアは何時でも動けるようにしている。

 すると番兵は急に与人に向かって。


「この度はパラケスを救って頂きありがとうございました!」

「は、はい?」


 突然の礼に戸惑う与人と二人であったが話を聞けば与人たちはパラケスを救った英雄として『ソーサラス』中に顔が知らされているらしい。


「いきなり申し訳ない。自分もパラケス出身なのでつい」

「は、はあ」

「次に『ソーサラス』に訪れる時は是非王都のマーリに行くのをおススメしますよ。王が貴方たちに興味を持ってるとの噂もありますから。……許可証の確認は十分ですどうぞお通りください」


 番兵が許可書を確認し通ろうとした与人であったが突然足を止めて番兵に振り返る。


「? 何か」

「じ、実はあの事件を起こした奴らは……」

「主様」

「い、いや何でも無い」


 真実を言おうとする与人であったがアイナの一言で言うのを止め先に進もうとする。


「例え貴方達と襲撃犯の間に何があろうと、貴方達に救われた命があるのは確かです。だから貴方は気に止まず目的を果たして下さい。では自分はこれで」

「……ありがとう」


 番兵はその言葉に振り返る事無く次の通行者を確認に行った。



「着いた~!!」


 一行は『ソーサラス』に最も近い『オーシェン』の街、カピに着きランが両腕を広げて叫ぶ。

 与人は関所での行為を皆から怒られた為に意気消沈気味であったが街に着いた事で少し元気を取り戻す。


「大海の国とは聞いていたけど本当に一面が海なんだな」

「肯定。『オーシェン』は大小さまざまな島から成り立っている国です。ここカピは小さな方ですね」

「ええ。今日はまず宿を探しつつ情報収集、そしてまず王都に向かう船を探します」

「……直接マキナスには?」


 ストラが今後の予定を説明するとリルが疑問を呈するがそれをカナデが答える。


「『マキナス』周辺は波が高くて大きな船しか行けませんがそれだけの船があるのは王都のターヘイしかありませんから」

「ふ~ん」


 理解したかどうか分からない声を上げるリルに苦笑を漏らすカナデを連れて一同は宿屋を探しつつ海岸に向かう。


「やはり船が多いな」

「そうですね。ここでは必需品でしょうから」


 そう感想を漏らすリントとユニの横でストラは険しい顔をしている。


「どうしたんだストラ」


 与人がそう言うとストラは険しい顔のまま周りを見渡しつつ答える。


「今はここの名物であるサンライトフィッシュという魚の産卵期、つまりは漁の時期です。にしては停泊している船の数が多すぎる」

「なるほど」

「それに町からも活性化しているような声が聞こえませんね。旦那様、何か問題があるかと」


 ストラとカナデの言葉を受けて見渡すと確かに町全体が暗いようにも思える。


「ならば人に聞くのが一番ですね。ちょうどこちらに人が歩いて来るようです」


 アイナがそう言ったのちにこちらへと歩いて来るガッチリとした体形の男が歩いて来た。


「ん? 見かけねぇ顔だなあんたら。観光か?」

「いえ。我々は『マキナス』へ向かう途中なんです」


 ユニがそう言うと男はため息を吐く。


「そうかい。だがどっちにしろ残念だったな。今この街で出せる船は一隻も無いぜ」

「疑問。何故でしょうか? 潮や船に問題があるとは思えませんが」


 セラがそう問うと男は苦々しい顔をする。


「出るんだよ」

「出る? 出るとは一体何が……」


 ストラの問いに男は海を睨みつけながら答える。



「幽霊船だよ」

今回はここまでとなります。

与人たちは無事に王都へと着けるのか?

次回をお楽しみに!


感想してくれた方々、遅くなりましたが感謝です!

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