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第25話 仲間が増えれば揉め事も増える

25話の公開です!

仲間は増えましたが、若干空気が?

「フフフ~ン♪」

「……」

「……リル。何とかしてくれ」

「無理」


 宿に戻る間、武器屋で仲間になった槍娘ことランに与人はずっと腕を組んで歩いていた。

 そんなランを恨めしそうに、そして羨ましそうに見つめているアイナから距離を取るリル。

 アイナからの視線を受け居心地が悪い与人がリルに助けを求めるがあっけなく却下されてしまう。

 だがランはその視線を受けても平気なようで寧ろ一層腕を強く組む。


「な、なあラン? 何もここまで引っ付く必要は無いって思うんだけど……」


 と自力で説得して状況を何とかしようとする与人だが残念であるがランにその気持ちは伝わらなかったらしい。


「え~? だってこんな人込みの中でお兄ちゃんとはぐれたら大変でしょ? そ・れ・に♪ こうしたらデート気分も味わえて一石二鳥じゃない?」

「……(ギリ)」

「槍の人、チャレンジャー」


 より一層悪くなった場の雰囲気に周りにいた人たちも気づき始め皆が四人から離れ始める。


(……宿に着いたら揉めるぞこれは)


 与人はその様な事を考えながら宿に向かって歩いている筈なのにこのまま着かないで欲しいと願い始める。

 自然とスピードが遅くなっていると見慣れた顔が近くを通った。


「おや? 与人様。お帰りですか?」

「ああストラ。そっちも図書館からの帰り?」

「ええ。この先どのような情報が役に立つか分かりませんので」


 ストラは一度読んだ本の内容は覚えられるらしく、こうして図書館に行っては情報を仕入れているのである。

 二人が仲良く話していると本日のストラの護衛役のリントが会話に加わる。


「それはいいが主よ。また女を引っ掛けてきたのか?」

「いやリント言い方」

「戦力が増える事はいい事ですよリント殿。まあ全て女性になるのは、与人様の願望かも知れませんが」

「そんな笑みを浮かべて言われても……」

「フフ」


 その様に三人で話している間もランは与人の腕を放さずにいた。


「で、後ろの聖剣が不機嫌なのは察しが付くが付くが主の腕に絡んでいるのは何者だ?」

「どうも~! 先輩方! 元聖槍のランです! これからお兄ちゃんの為に頑張ります!」

「「お兄ちゃん?」」


 ランの発言に流石に引っかかったのかその部分を復唱する。

 そして笑顔でいるランと困った顔でいる与人を見比べて二人は状況を察する。


「主、自分の趣味を押し付けるのはどうかと思うぞ」

「ええ。与人様にその様な趣味があったとは……。自分たちもいずれ呼ぶように言われるのですね」

「お前ら。分かってて言ってるだろ」


 リントとストラのからかいを受けつつも六人は一緒に宿に向かう事となった。



「ところで聖槍」

「嫌だな~リント先輩。折角名前があるんだからランちゃんって呼んで下さいよ!」

「そうか。それで聖槍」

「お兄ちゃん。リント先輩がいじめる~」

「諦めろ」


 より一層与人に引っ付くランを見てアイナの苛立ちも比例して強くなっていく。

 リルとストラが現在宥めているが爆発するのもそう遠くは無いであろうことは誰の目から見ても明らかであった。


「でだ、聖槍。まずハッキリさせたいが何故主を兄と呼ぶ?」

「う~ん。言ってしまえばインスピレーションですかね? 目が合った瞬間にお兄ちゃんって呼ぼうって決めました」

「……いい加減」

「え~。リル先輩酷い! そこは運命的って言ってくださいよ」


 リルの厳しい言葉にもランは明るく返すのを見つつストラは自分の見解を語る。


「伝承によれば聖槍を扱った戦士は唯一の肉親である兄と非常に仲が良かったとされています。ラン殿にもその影響があるのではないでしょうか?」

「まあその方がまだ納得できるけど」


 ストラの言葉に与人が頷いているとランは少し怒ったように反論する。


「え~!? 運命の出会いの方がロマンがあるじゃない!」


 そう言ってランは更に強く与人の腕に体を寄せる。


「……あのなラン。人の目もあるんだからあまり引っ付くんじゃない」


 ようやくはっきりと窘める言葉を与人が言うがランはあまり気にしていないようである。


「そんな事言っちゃって。美少女に引っ付かれて嬉しいくせに」

「槍の人……中々ふてぶてしい」


 リルの言葉が聞こえていないようにランは更に与人に言い募る。


「お兄ちゃんはこれからも色んな物やモンスターを女の子にしていくんでしょ? だったら一人くらいお兄ちゃん呼びで積極的な子がいてもいいと思うな~」

「まあ一理あるな」

「お、おいリント」


 思わぬ方向から肯定の言葉が入り与人は慌てるがリントは淡々としている。


「まあ兄妹として振る舞う必要性は無いが、集団として動く以上は一人くらい特徴的な奴がいる位が丁度いいだろう」

「……逆にそのくらいの方が目立たないかも知れませんね」

「ストラまで、って言うか女だらけの中に男一人の時点で目立ちまくりなんだけど」

「リント先輩もストラ先輩も分かってる~! そう言う訳だからさ、これからもよろしくねお兄ちゃん♪」

「……」

「剣の人?」


 リルの言葉が届いていないようにアイナはランを見続けているのであった。



「……ラン。少しいいですか」

「そんな怖い顔してどうしたんですかアイナ先輩?」


 宿の部屋に入るなりアイナはランに言い寄る。

 他の仲間が止める間も無く会話は続けられる。


「仕えるべき主様を、事もあろうに兄妹のように呼ぶのは止めなさい」

「え~でもお兄ちゃんは否定しなかったし、リント先輩たちからも理解は得られましたよ?」

「そう言う問題じゃない。礼儀と秩序の問題を話しているんです」

「フ~ン。礼儀と秩序、ねぇ」

「……何が言いたい」


 何か含みを持たせた言い方をするランにイラつきながらアイナは睨み付ける。


「別に? けど本音は別にあるのにそんな言葉で行動を制限するのは良くないな~って思っただけ」

「っ!」

「あ、アイナもランも落ち着いて」

「無駄だ主。ここまで来たら決着を付けた方がいいだろう」


 止めようとする与人をリントは静止させ、リルとストラに別室へ移動させる。


「だったとしてもお前に言われる筋合いは無い」

「それはこっちも同じ。お兄ちゃんからストップが掛からない限り辞める気は無いし他の人に指図される筋合いは無いよ」

「……」

「……」


 しばらくにらみ合いが続き沈黙が続く中でリントが口を挟む。


「お前らそんなに揉めるなら外に出て戦って決着を付けてこい。主には私が言っておく」


 そう提案されると二人は黙って自らの分身を持ってパラケスの外へと向かう。

 ここに初めての仲間内での戦いが始まろうとしていた。


今回はここまでとなります。

突如勃発したアイナとラン。

聖剣と聖槍の戦い。

その戦いの終わりには何があるのか!?

次回をお楽しみに!


感想をもらえると非常に嬉しいです!

気が向いたらお願いします!

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