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第119話 決断と好みと覆う影

第119話を公開しました。

声の主を探していた与人たちは、ある洞窟を見つける。


※後書きにて重要情報があります。

「どうやら声はあの洞窟からのようだな」


 与人たちが響いた声の出所を探すと、一つポッカリとくり貫かれたような洞窟を発見した。

 遠巻きから状況を確認するメンバーに、音で中の様子を窺っていたカナデが口を開く。


「洞窟の中はかなり広いです。息遣いから推測すると大型のモンスターが一体いるのみですね」

「じゃあさっさと片づけるわよ」

「待機。少しお待ちをライア氏」


 セラは今にも突撃しそうな勢いのライアを引き留める。

 そして不満そうなライアを横目に、与人とリントに視線を向ける。


「推察。ここのモンスターが暑さの原因とは断定できません。故に余計な体力消耗を避ける為に、状況確認を重ねるべきです」

「そんな事言っても悠長にしてる時間は無い訳でしょ? 速攻で決めるべきでしょ」

「うーん」


 セラとライア、二人の対極な意見を聞いて悩む与人。

 セラの言う通り、この洞窟にいるのが原因だと分からない以上は余計な消耗は避けたい。

 だがライアの言葉も正しく、タイムリミットがある以上は急がないといけない。

 与人がどうするか悩んでいると、ユフィがまるで講義をするような口調で与人に言葉をかける。


「主殿。この状況で最悪なパターンは何もせずに時間を消耗する事だと思われます。ここは即決するのが吉かと」

「……そうだな。ライア、悪いけどここは慎重に行きたい。相手がどんなモンスターかも分からないし」

「まあちゃんと考えた上でならいいけど……」


 与人の決断にライアも素直に賛同した事で、メンバーは再び洞窟に動きがないか見張る。

 その間にもカナデは中の音を探っているが、動きは見られないでいた。


「予想以上に動きとかないな。……寝てたりして」

「質問。その辺は何か分かりますかカナデ氏?」

「息遣い以外は何の音も聞こえません。ですからその可能性はありますね」

「こいつが元凶ならとんだ呑気な奴ね」

「向こうは迷惑をかけているという自覚はそもそも無いでしょう」

「だがどうする? このままジッとしているのも限界があるぞ」


 リントの言葉を聞いて与人は再び考える。

 少しばかり時間の後、その視線はユフィに向いていた。


「ユフィ。悪いけど他にも侵入経路があるかどうか探ってくれないか? 上手く見つかれば挟み討ちにできるかも」

「了解いたしました」

「結果に関わらず戻ってきたら突撃。……それでいいかな?」

「いいんじゃないか? 主の決めた事だ、文句はない」


 他の面々も頷いたため、与人は一安心しながらユフィに視線を送る。

 それを受けたユフィは瞬く間に居なくなり、調査を開始しにいった。


「さて。短剣が戻るまでの時間だが、さっきの質問の答えを聞こうか主」

「げっ!? まだ覚えていたの!?」

「当然だ。ある意味全員のやる気にも関係するんだ、聞いておいて損はないだろう?」


 与人は縋るように他の面々を見るが、全員に目を逸らされる。

 孤立無援の状況に諦めた与人は、とにかく差し当たりの無い意見を言う。


「こ、好みとかよりは俺を好きでいてくれてる人がいいかな~。って」

「……答えになっているような、いないような答えだな。もっとあるだろ」

「勘弁してくれ」


 追及してくるリントをどう躱そうかと与人が考えていると、カナデが緊迫した様子で口を開く。


「皆さんお静かに! 動きがありました!」

「こっちに来る訳?」

「最初は遠ざかって行くようでしたが、段々と近づいて。これは……! 皆さん! 上です!」


 その声に反応し全員が頭上を見上げると、そこには空を覆い隠すばかりの巨体を持った鳥が段々と近づいていたのであった。

今回はここまでとなります。

話数が先行していた「カクヨム」と同じになったため、今後のエピソードの更新は月・金となります。

今後の展開にも是非ご期待ください。

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