表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

118/163

第115話 激戦のビーチフラッグ?

第115話を公開しました。

与人と同じ部屋を決める方法、それは……ビーチフラッグ?

「絶対にぃ! 主様とぉ! 一緒にぃぃぃぃ!!」

「少し落ち着け聖剣」


 リントにやや強めのボディブローを喰らわされ黙り込むアイナを放っておきつつ、与人は悩んでいた。

 護衛やつい先ほど立て終わったコテージの数から言っても、与人が誰かと一緒に夜を過ごさないといけないのは仕方がない事である。


(けどなぁ……)


 勿論旅の最中は部屋どころか外で一緒に寝るのは当たり前であった。

 しかし、今回は完全なオフでの状態である。

 その状態で共に同じ部屋で、しかも二人きりという状況は与人を窮地に陥らせた。


「ご主人……僕、いいよ?」

「あ、ウチも! 何なら襲いかかっても」

「成敗」

「ぐふっ!?」


 リルとスカーレットそしてセラがちょっとした漫才のようなやり取りをしているが、何も盛り上がっているのは彼女らやアイナだけではない。

 他の面々も同じようなアピールや暴走、そしてツッコミなどを行っている。

 ビーチという特殊な環境が、彼女たちの枷を外しつつあるのを与人もヒシヒシと感じていた。


「主。実際どうする気だ?」


 あまりの惨状を見かねたのか、リントが与人に声をかける。


「どうするって言ったって……」

「放っておくと聖剣を始めとした面子がまた暴走するぞ。さっさと決めるんだな」

「それが出来たら苦労なんて」


 誰を選んでも誰かから苦情が出るであろうこの状況。

 与人は悩んだ上に一つの結論に達する。


「……ビーチフラッグで決めよう」



「では皆さん、改めてルールを確認します」


 ビーチに集まった面々を見ながら、審判を任されたストラがルールを確認する。


「合図と共に走り出し、突き立てている木の棒を最初に手にした方が与人様と同じ部屋です」

「が、頑張って~」


 ストラが解説している横で、苦笑いしながら全員を応援している与人。

 その後ろでは参加を拒んだメンバーがそれぞれ予想を立てていた。


「どう思う? やはり走るのならフェンリルが一番だと思うが」

「そ、そうですね。でもランさんも速さでは負けてないかと」

「う~ん。クラリッサはよく分からないや」

「クラリッサちゃんはそれでいいと思いますよ」


 リント、カナデ、クラリッサ、ユニそして審判をしているストラが辞退した面々であった。

 その一方で、参加を表明したメンバーの中でも温度差が感じられた。


「絶対勝つ、絶対勝つ、絶対勝つ!!」


 とアイナのように気合を入れている者もいれば。


「はぁ。何で私がこんな事を……」


 仕方なく参加させられたライアのようなスタンスの者もいた。

 それぞれがそれぞれの理由を抱いて、ビーチフラッグが始まろうとしていた。


「それでは……スタート!」


 その声と同時に、全員が一斉に駆けだした……と思われたが。


「せい!」


 唯一アイナは自身の分身を取り出すと、砂浜を大きく薙ぎ払う。

 舞い上げられた砂で全員が動きを止める中、アイナはその隙間を縫うように走り抜ける。


「ちょっ! アイナ先輩卑怯!」

「何とでも言ってください! 主様の為なら! どんな卑劣者にもなりましょう!」

(いい事言っている風だけど、やってる事がな……)


 与人からの好感度が下がったとも知らず、アイナは一人ビーチを驀進してゆく。


「もらったぁぁぁぁぁぁ!?」


 勝利を確信したアイナであったが、突然足がもつれて転んでしまう。

 すぐさま起き上がろうとするアイナだが、何かが巻き付いて動きが取れない。


「蛇! サーシャ!!」

「は、反則だよアイナさん! ユフィさん手伝って!」

「勿論」


 ユフィはそう言うと、サーシャと共に巻き付いている蛇を引っ張って距離をどんどん詰めていく。

 その間にも復活した面々がアイナに迫ろうとしていた。


「くっ! 負ける訳には!」


 アイナはもう一度聖剣を取り出すと、巻き付いている蛇を切断する。


「きゃっあ!?」

「くっ!」


 切断された事で倒れてしまった二人に内心謝りながら、アイナは進もうとするが。


「やらせるか! おりゃあ!!」


 雄たけびを上げながらトロンが投げたのは、余った木材たちであった。

 アイナの身長ほどに積み重なったそれは、彼女の道を塞ぐ壁となるのであった。


「こんなもの!」


 聖剣を目にも止まらぬスピードで振るアイナであったが、通れる道が開通した頃には他のメンバーと並んでしまっていた。


「っ! それならもう一度!」

「やらせないよ!」


 もう一度砂を舞い上がらせようとするアイナであったが、そこにランが槍を突きつける。


「仲間に直接武器を向けるだなんて、恥を知りなさい!」

「それ今のアイナ先輩には言われたくないんだけど!?」


 それぞれ武器を取り出しもはやビーチフラッグが関係なくなりつつある中で、突然笛が鳴り響いた。


「そこまで! 決着はつきました」

「そんな! 一体誰が……」


 アイナが信じられないように前方を見ると、そこにはハルが申し訳なさそうに木の棒を持っている。


「最初の一撃の時に端にいたため被害を受けなかったのと、誰にも気づかれなかったために妨害を受けなかったのが勝因ですね。あとアイナ殿」

「は、はい」

「後でお話がありますので、覚悟してくださいね」


 ガクッと項垂れるアイナを見ながら、何も言えずに苦笑いをする与人であったという。

今回はここまでとなります。

悪い行いをすると報いがあるというお話でした(笑)

次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ