表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/163

第102話 女王の勧告

第102話を公開しました。

女王に会えたのもつかの間、事態は意外な方向に。

  褐色の肌と長い黒髪を輝かせながら玉座に座っているパトラールは、与人たちを目踏みするように見降ろしていた。


「此度は『マキナス』からの長旅、大儀であった。……で? 用向きは如何に?」

「はっ。マキナス王から預かりました書状をお持ちしました」


 そう言って出した書状を兵士経由で受け取ると、パトラールは静かに読み始める。


「ふむ……」


 張り詰めた空気が玉座の間に広がる中、パトラールはフッと笑みを見せる。


「なるほど。そちらの言い分はよく分かった」

(ふぅ)


 無事に書状を送り届けたという安堵感が与人を包む中、パトラールはただ静かに配下に命じた。


「この者らを捕らえよ」


 与人たちが驚きに包まれる中で、玉座の間に次々に武装した兵士が入ってくる。


「ちょっ! どうなってるのよコレ!」


 先ほどまで黙っていたライアであったが、自分たちに武器を向けられるとすぐさま臨戦態勢に入る。


「……ん、困った」

「与人の旦那! 近くに居ろよ!」


 それに習うようにして、リルとトロンも与人を守るように動く。


「……」

「お母さん?」


 そのような状況で、ストラは何かを考え込むようにしているのをクラリッサが心配そうに見ている。

 そんなストラをまず捕らえようと兵士が近づいて来るが、ウイが魔法で吹き飛ばす。


「アハハ! 面白いよね! こういう状況も!」

「全然! 面白くなんか無い!」


 ウイの発言にツッコミを入れながら、ライアも近づいて来る兵士たちを殴り倒す。


「オラッ! 力が入ってねぇぞ!」


 トロンは兵士を捕まえると振り回した後に、投げつける。

 まるでボウリングのピンのように倒れていく兵士たち。

 その間を縫うようにして、リルがスピードを生かして翻弄していく。


「遅い」

「クソッ! こいつら強いぞ! もっと呼んで来い!」


 隊長クラスがそんな命令を下している。

 瞬く間に玉座の間は、戦場へとなりつつあった。


「……クク」


 だがそんな中でも、『ラサハ』の女王であるパトラールの笑い声はよく響いた。


「なるほど。中々の強者たちだな。そこは認めよう」


 このような状況で与人たちを褒める言動に、少々一同は面を喰らう。


「だが諦めた方が良いぞ? お互い無駄な血を流すのは本意ではあるまい?」


 パトラールはそう与人たちに、いやある一名に視線を送りながらそう問いかける。


「……分かりました」

「ストラ?」


 同意するストラは、与人に向けて必死に目くばせをする。


(……)


 その目くばせが何を意味しているのか?

 与人には分からなかったが、意味が無い事をするはずが無いとストラを信じると。


「皆、ごめん。ここは大人しくしよう」


 こう言ったのであった。


「……しょうがない」

「ま、旦那が言うんじゃしょうがなぇな」


 その言葉を聞いて、リルとトロンが抵抗を止めると意外にもウイも杖を降ろす。


「そんな簡単に諦めるわけ!?」


 だがそんな中で、唯一ライアは拳を降ろそうとしなかった。

 兵士たちを睨みつける彼女の背に、与人が声をかける。


「ライア」

「何!?」


 怒鳴りながら与人に顔を向けるライアであったが、段々とその表情から闘志が消えていった。


「……ったく」


 そう言ってライアも抵抗を止めたのを見ると、パトラールはこう配下たちに命令するのであった。


「この者たちの尋問は余自ら行う。それまではこ奴らはまだ客人、丁重に牢へと案内せよ」



 こうして、与人は初めて牢屋へと入る事となったのであった。

今回はここまでとなります。

果たして与人たちはどうなってしまうのか?

次回をご期待ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ