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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第一部 魔女と聖女
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魔女の意外?な特技

そうして迎えた出発の日。


一応は内密に神聖王国に潜入する必要があるので、早朝から王城に集合した私達は見送りもなく出発した。


馬での移動も考えてはいたけど、ヒマリが馬に乗れないのと、私もそれほど得意なわけではないことから、行商人が使えような幌馬車での移動となる。


となると、当然ながら乗り心地は普段使っているような馬車とは雲泥の差。

しかも、なるべく人目につかないようなルートをとっているので、道の状態も良くない。


「痛い」


出発から数時間。

日も高くなって来た頃。

私のお尻は早くも危機を迎えていた。

それにものすごく揺れる。

ヒマリは既に顔色が悪い。


「大丈夫?酔った?」


「う……だ、大丈夫ですぅ……」


出来れば体調を見ながら進んであげたいところだけど、今回は時間がない。

ヒマリには根性で耐えてもらうしかない。

あと、私のお尻も耐えてくれ。


そうして、途中ヒマリが限界を超えて乙女として人に見せられない惨状になったりしつつ、夜を迎えた。


「ほら、立てる?今夜はここで夜営するから」


「はいぃ……ごめんなさい、足引っ張ってますよね……」


「そんなの気にしなくていいから。少し横になってて良いよ」


ぐったりしてるヒマリを休ませつつ、私も夜営の用意に加わる。

既に他の隊員達は、積んで来た荷物から簡易テントを取り出して設置している。

馬なら荷物になるから積めないんだけど、テントを持ってこれたのは幌馬車で良かったと思える唯一の点かな。


地面に直接寝るのも、私は王国に来る前の生活や任務で慣れてるけど、ヒマリにはキツイだろうしね。


それに、普段の任務よりは食材も持ってこれた。

野菜とかも少しだけどあるから、簡単なスープでも作ろうかな。


基本的に、野営をする時は私が調理担当になることが多い。

男共は料理なんてしたことがないのばっかりだし、カレンも苦手みたいだからね。


「わぁ、サキさん手際良いですね……」


私がトントンと野菜を切っていると、横になっていたヒマリが体を起こしてこちらを見ていた。


「ん?あぁ、日本にいた時は一人暮らししてたからね。

簡単なものなら一通り作れるよ。

さすがに手の込んだものは無理だけど」


「すごいなぁ。あの、良かったらあたしにも料理教えてください!」


やっぱり女の子だからかな。

ヒマリも料理に興味があるみたいだ。


「うん、それはもちろん構わないけど。

今日のところはゆっくり休んでてね。出来たら呼ぶから」


「はい……」


切り終えた野菜を鍋にぶち込みながら言い聞かせる。

なんせまだ初日。

料理を教えるにしてもまだ日数はあるし、何より体力をもどしてもらわないと明日以降に響く。

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