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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第一部 魔女と聖女
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お城への招待

この世界には、昔から時たま異世界の人間がやって来ることがあった。


この世界の人間が、意思を持って召喚という形で呼び出すこともあれば、何かのはずみで突然この世界に来てしまう人もいた。


召喚されて来た人のことを『招き人』、私のように突然この世界に来てしまった人のことを『流れ人』と呼ぶそうだ。


『招き人』は意図的に呼び出したのだからもちろんだけど、『流れ人』もこの世界の人々にとってはとても大切な存在らしい。


何故なら、大きな災害や国を揺るがすような一大事が起きた時。

そう言うタイミングで現れる『招き人』や『流れ人』は、この世界にはない知識をもって国を大いに助けて来たから。


そして、大きな戦が終わったばかりで国全体が疲弊しきっている今、もしかしたら『流れ人』が来ているのではないかと情報を集めていたところ、この付近に黒髪の少女が居るという目撃情報があったらしい。

たぶん、人里にたまたま降りた時に『流れ人』のことを知る誰かに見られていたんだと思う。


本来、この世界に黒髪の人はいないらしい。

それは『招き人』や『流れ人』だけが持つ特徴なんだとか。


だったら、何で私がこんな目に遭ってるんだと思うけど、この国に最後に『流れ人』が現れたのは100年以上前で『招き人』に至っては過去数百年召喚したことがないらしい。


だから、『流れ人』の特徴を知っている人が少なかったんだとか。


私としてはそんな事情はどうでも良かったし、こいつに付いて行ってもどうせ都合良く利用されるだけとしか思えなかった。

だから、ちょっとめんどくさい事になるかもしれないけど、こいつもこの兵士も全員殺そうと思ったんだけど……。


「流れ人の人権と生活は国が保証する。

君はこの国に居てくれれば、それだけで後は何もしなくてもいい。

だから、私と一緒に来てくれないだろうか?」


私が放っていた殺気に顔を青くしながらも言うインテリイケメンの言葉に、殺気を抑える。


「本当に何もしなくてもいいの?」


「あぁ、構わない」


それなら、今の暮らしよりはよっぽど良さそうだ。

お城ならご飯も美味しいかもしれない。


そう思った私は決断した。


「わかった。それなら行くけど……。

嘘だったら全員殺すよ?」


そうして、私は王城で暮らし始めた。

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