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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第一部 魔女と聖女
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潜入に向けて

なし崩し的にヒマリも参加することになってしまったライオネア神聖王国潜入作戦。


当然ながら、ヒマリがいることを神聖王国側に気取られると面倒臭いことになるので、通常のルートで堂々と入国する訳にはいかない。

まぁ、これはヒマリが居なくても私の黒髪が目立ってしまうから変わらないけどね。


髪色を変化させる魔法もあるみたいだけど、国境の守備兵の中に魔法に秀でた人が万が一にでもいたら即バレるみたいだから使えないしね。


さて、ここで簡単に神聖王国についての復習のお時間。


ライオネア神聖王国。

初代聖女が起こしたライオネア教が国教として絶大な力を誇り、その教皇が国家元首も務める宗教国家。

これは一般市民まで割と広く知られていることね。


ちなみに、ライオネアという名称は、神様のなまえとかでも何でもなくて、初代聖女がこの世界で初めて辿り着いた町の名前らしい。

そして、そこが今では大神殿がある首都になっている。


国としての規模はそこまで大きくはなく、国力だけで言えば私のいるイシュレア王国の方が上だ。

まぁ、イシュレア王国が周辺諸国の中でも強国と呼ばれる部類に入るからってのもあるけど。


ただ、いざ戦争になると厄介な相手ではあるらしい。

「聖女の名のもとに!」とか、とち狂った発送で、神殿に所属する聖騎士達はもちろん、国民一人一人がそれこそ文字の通り死兵と化して向かってくるそうだ。


これまでイシュレア王国とは争ったことがなく、現在でも関係は比較的良好。

だからこそ、聖女がイシュレア王国にいるのは知られるとまずいし、今回の潜入でもバレる訳にはいかないんだよね。


「通常なら潜入そのものは難しくはありません。我が国とは良好な関係を築いているのもあり、国境の警備は厳重ではありませんから。

ただ、今は聖女様の行方がわからないことにより状況が変わっている可能性はあります。

そこは先に潜入調査に向かっている隊員の報告待ちになります」


陛下の執務室に顔を揃えたメンバーの前で、ヒギンスが地図を見ながら説明してくれている。


今この場にいるのは、陛下に宰相。

それから私とヒギンスにヒマリ。

あとはカレン、ジェイク、アレクだ。


近衛特別部隊のうち、フレバンとキースは神聖王国に一足早く潜入し、情報収集してくれている。

ヒギンスは作戦の立案で、マークがその補佐。

ジェイクとアレクはヒマリの護衛で、カレンは相変わらず私の護衛。

そして、私は特に何もしていない。

だって、部下が優秀なんだもん。

事前準備で私の仕事がないのはいつもの事だし。

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