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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第五部 必滅の魔女
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いざ帝国へ

「じゃ、行ってくる」


「行ってきまーーす!」


一日かけた説得の翌日。

まだ文句を言っているレイシアや、諦めの表情を浮かべるスチュワートさんに見送られて私達は早速帝国へと出発した。

わかってるんだ、レイシアが本当に心から心配してくれてるってことは。

だけど、こればかりは譲れないから。

信じて待っててとしか言えない。

ちなみに、レミアはいまだに魂抜けたみたいになってたよ。

私達より、むしろあの子のほうが大丈夫かと心配にならなくはないけど、まぁ大丈夫でしょ、たぶんね。



同行するのは、フローリアと護衛隊のみんなのみだ。

馬車ではなく馬で向かうので、それほど乗馬が得意ではないフローリアはカレンと相乗りしている。

練習は頑張ってたんだけどね。

領主としての仕事も忙しいから、そこまで時間取れなかったんだ。仕方ない。


途中で合同演習中のフューリー、ルーベック両侯爵とワナイ団長に顔だけ見せて、そのまま一路帝国領へと向かう。


あ、そうそう。

セクメト伯爵領から運んで来た支援物資は、辺境伯邸のみんなが後から演習部隊に渡してくれることになってる。


本当は演習してるところまでは荷馬車を引っ張って行って、荷馬車ごと物資を引き渡そうかなと思ってたんだけどね。

ただ、それだとどうしても多少足が遅くなるから。

せめてそれくらいはやらせてくれってスチュワートさんに言われてね。

その言葉にありがたく甘えさせてもらった。



ノフロンの領都から、帝国との国境までは馬で二日の距離だ。

そう、たった二日分の距離しかないんだよ。


だからこそ、先の大戦の時。

イシュレア王国へと侵攻して来た帝国軍には本国から送られてくる豊富な物資があったんだよね。

それを活かした物量作戦と言うのも馬鹿らしいレベルの帝国軍の猛攻を耐え続けた今は亡き前辺境伯は本当にすごいと思う。


もちろん、王国騎士団に王国軍も一緒に戦ったし、北部貴族を中心とした国内の各領地や、フォーリア王国などの周辺国からの支援や援軍はあった。

それらがあったからこそ戦えていたのは事実ではあるけど、それでも前辺境伯の指揮官としての技量はすごいとしか言いようがない。


まぁ、そんな彼も何故か戦後になってから帝国に寝返ってしまったから処刑されてるけど。


それで、かつて共に戦った過去があるから、今回合同演習に来てる王国騎士団や王国軍は、辺境騎士団の面々とは戦友になるんだ。

両侯爵とも直属の部隊を率いて参戦してたし、今回来てるのはその部隊だ。

終戦から数年経ってるけど、当時から今までずっと現役の騎士や兵士も多く残ってる。


そのせいか、カモフラージュが本来の目的とは言え、少しだけ見せてもらった演習はとても士気が高かった。

いざ本当に帝国に進軍するとなった時までそのことは話さない予定らしいんだけどね。



そして演習地を離れ、街道沿いの野営地で一晩を過ごし。

翌日も朝からずっと移動をつづけて日も傾いて来た頃。


前方に、関所というには頑丈過ぎる作りの帝国との国境が見えて来た。

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