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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第五部 必滅の魔女
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先のことも考えよう

実際の細かい動きに関してはもっと時期が近付いたら改めて、ということにして一先ず今日はそこて両侯爵とは別れた。


なかなか会える機会がないから、本音を言えば今日のうちに詰めれるだけ詰めておきたかったんだけどね。

ただ、さすがに主催をしている両家の当主がいつまでも会場を離れてる訳にもいかないし、仕方ない。


「なんだか、いよいよって感じがして来たね!」


「まぁそうだね。準備期間もあと二ヶ月ってとこかな」


たったの二ヶ月。されど二ヶ月ってね。

やることの大きさに対しての期間として考えると、正直あまりにも短い。

帝国の穏健派との兼ね合いさえなければ、来年以降に持ち越したいし、本音を言えば穏健派にも待って欲しいとは思う。


だけど、穏健派は今年の冬が来る前に仕掛けることを選んだ。

その理由は明白だ。


帝国の多くの民は、もう今度の冬を乗り越えるだけの余裕がないってことだ。

強硬派を片付けたら、帝国の民のための支援とかも考えないとまずいよね多分。

穏健派だけでどこまで出来るかわからないし。

それで、その支援をきっかけに新体制の帝国と良い関係を築ければとは思うけど、さすがにそこは私がどうこう言う部分じゃないな。


「ねえフローリア」


「んー?」


「セクメト領ってさ、備蓄はどんくらい余裕あるの?」


その辺のことは私一切関わってないから、あんまり知らないんだよね。

てか、騎士団のこと以外は領政のことほとんど知らないかも。

さすがにちょっとまずいな。

今は対帝国のことで手一杯だから、この件が済んだら少し勉強しないと。


「そうだねぇ。

万が一今年の収穫が不作になっても、問題なく領民に施せる程度には余裕あるよ。

ピュレスさんが頑張ってくれてたから」


「あ、そうなんだ。やっぱあの人優秀だね」


やるなぁ、うちの首席補佐官。


「うんうん、そうなの。

でも、突然どうしたの?」


「あ、いやね。

その備蓄、使わせて貰うことって出来る?」


「サキが使いたいならもちろん良いけど。

一応理由は聞いておいていいかな?」


まぁそうだよね。

身内だからってだけで、何も聞かずにぽんぽん差し出したりなんてしたら、小一時間どころじゃなくお説教だよ。


「実はちょっと考えてることがあってね」


フローリアにも、さっき考えてた帝国への支援の話を伝える。

やっぱりね、出来ることはしておきたいんだよね。


「なるほど!そういう理由ならもちろん構わないよ!

領に帰ったら、どの程度出せるかピュレスさんとソフィアと相談してみる!」


「うん、ありがとう。

私も陛下や侯爵達に話してみるよ」


とりあえず、王都にいるうちにまた改めて話す機会作らないとな。

さっき話した時に侯爵達にだけでも話しておければ良かったんだけどね。

その時点では支援のこととか思い付いてなかったんだよ。



出来れば私達が帝国に潜入する時にノフロンに展開する騎士団か軍にあずけておきたいところだけど。

先ずは陛下に許可取るとこからか。


社交の予定も入れちゃったし、王都滞在中もゆっくりする時間はまったくなさそうだなこれ。

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