表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第四部 「サキ」と「咲」
312/401

いつの間にか断たれている退路

「そうですわ、ソフィア。貴女です。

貴女が補佐をすれば、実務経験のないフローリア様でも領主が務まるのではなくて?」


「たしかにそうかもしれないけど……」


相も変わらずレイシアは自信満々に言い切るけど、ソフィアは困ったような顔をしている。


「貴女が何を心配しているかはわかりますわ。

どうせ、それではフローリア様が名ばかりの領主になってしまうとかそんなことを考えているのでしょう?

ですが、貴女が中心になるのはあくまでもフローリア様が仕事を覚えるまでという形にすれば良いのです。

そうなった後は本来の補佐官としての役割に集中すれば良いだけではないですか」


あぁ、なるほどなぁ。

私が仕事を全部ソフィアに任せちゃうと、本来の領主が誰なのかわからなくなるもんね。

もちろん、引き受けたとしたらそんなことはするつもりはないけど、ソフィアの場合は過去の実家での体験があるからどうしても心配になっちゃうよね。


「それなら私はそれでも構わないけど……。

フローリア様はどうお考えですか?」


ソフィアはまだ心配そうにしている。

気持ちはわかるけどね。


「仮に引き受けるなら、きちんと自分でも仕事を覚えるよ。

だけど……」


まだ踏ん切りが付かないんだよなぁ。

自分が貴族になって、領地まで持つなんてどうにも現実味がないというか。


「全くもう、煮え切りませんわね。

他にはどんな心配があるというのですか?」


「んー、とりあえず二人の言うことは良くわかったんだけどね……」


レイシアが呆れたように見てくるけど、仕方ないじゃんか。

そんなすぐには決められないよ。


『まぁ、そんなに焦って決めなくてもいいんじゃない?

そもそも、どこが領地になるかもわかんないしね

まぁ、この二人も他の使用人の子達もフローリアが領主になるって言えば、どこにだって喜んで着いてくるだろうけど』


みんな着いてきてくれるかなぁ?

王都から離れたくない子もいると思うけど。


『そういう子はここの管理を任せる形で残せばいいじゃん』


たしかに領地はもらったとしてもこのお屋敷だってあるんだから、管理の人手は必要になるもんね。

それなら、残りたい子はそうするとして……。


領地はどこになるんだろうね?

セクメト伯爵家が元々治めてた土地になるのかな?


そう思ってソフィアに聞いてみると、ソフィアは首を振る。


「いえ、旧セクメト伯爵領は現在は他家が治めていますし、統治に問題があるというような話も聞きませんので別の土地になるのと思います。

恐らくは、王家直轄領の何処かが下げ渡される形で領地となるのではないかと」


今の領主が問題なくやれてるならそうなるよね。

変に領地変えようとしたら反発されそうだし。


「うん、とりあえず二人のおかげで疑問とかは一通り解消したと思う。

でもさ?なんか私はまだ返事してないのに、もう爵位も領地も引き受ける前提でみんな話してない?」


何だか私もすっかり流されてたけど、そうなってるよねこれ?


「それはそうでしょう。

実際に伯爵位を賜れば領地への引越しも含めてやる事は山のようにあるのですわ。

いざ引き受けるとなってからあれこれ考え出しても遅いのですから」


いや、それはそうなんだけどさ……。


『焦って決めなくて良いって言ったばかりであれだけどさ。

もう観念したら?』


なんでサキはそんなに他人事なの!?


『だって爵位と領地もらうのフローリアじゃん。

私じゃないし』


それはそうだけど……あ。

いい事思い付いた!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ