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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第四部 「サキ」と「咲」
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咲の秘策(単なる思い付きとも言う)

「だーーめーーーだーーーー」


サキに呼び掛け続けて、はや一週間が過ぎようとしている。

何となくではあるけど、一度サキの存在を今までよりも近くに感じられる瞬間はあった。

だから、もしかして覚醒仕掛けているんじゃないかと思ってひたすら呼び続けてはみたんだけど、それもほんの短い時間だけ。

またすぐにいつも通りのうんともすんとも言わない状態に戻ってしまった。


「サキ様ー?いい加減起きてくださいませー?」


私の胸元に顔を近づけるようにしてレイシアも声を掛けてくれる。

まぁ、実際サキのいる場所がそこなのかと言われたらわからないんだけどね。


「アーシャさんに声を掛けて頂いても駄目でしたし……。

何か良い方法はないものでしょうか……」


ソフィアも困りきったといった表情をしている。

そうなんだよね。

ソフィアの言うように、サキがどんなに寝過ごそうとしても常に強制的に起こしていたアーシャにも協力はお願いしてみたんだ。

だけど、結果は同じ。

アーシャが「私が起こしてもお嬢様が起きないなんて……」と地味にショックを受けるだけの結果に終わってしまった。


「カリナ嬢に聞いてみても良い方法はないみたいだったしねぇ」


同じような状態を経験したことのあるカリナ嬢にも、もちろん助言は求めた。

でも、カリナ嬢の場合は数日間呼び掛け続けたところ反応があったらしい。


カリナ嬢の推測では、今世のカリナ嬢の人格は咄嗟に眠りにつくという逃避方法を選んでしまっただけであり、自分の意思で眠りについたサキとはそのあたりが違うからなのではないかって話だった。

要するに、サキは自らの意思で眠りについてるからこそ、その眠りが一層強固ってことみたいね。


「これはもう、普通の方法でサキを起こすのは無理かもしれないね……」


「まぁ、確かにこれだけ呼び掛けても駄目なのであればそうなのかもしれませんが」


「サキ様には何か良いお考えがあるのですか?」


私の呟きに律儀に反応してくれる侍女二人を見て、私はにやりと笑う。


「何ですか、その胡散臭い笑みは」


いや、胡散臭いって……。

最近、レイシアが私に対してもかなり遠慮がなくなって来てる気がする。

まぁ、それ自体は全然嫌じゃないどころか、むしろ嬉しいくらいではあるんだけどね。


「あのね、サキが産まれた時や私と入れ替わった時の状況って覚えてる?」


「え?産まれた時はわかりませんが、入れ替わったのはこちらへ来た時では?」


「うん、そうだよね」


突然の私の質問の意図がわからず、キョトンとしている二人に胸を張って説明する。


「つまり、私に危機が迫った状況だよね?

だからさ、それをしたらサキはまた起きるんじゃないかなって思うんだ!」


そうだ。

普通に声を掛けても起きないなら、起きるしかないような状況にしてしまえば良いんだ。

我ながらなんて素晴らしいアイデアだろう。


「何を仰ってるんです?おバカなのですか?」


しかし、そんな私の素晴らしいアイデアにレイシアは呆れ顔をする。


「レイシア、さすがにおバカは言い過ぎよ……。

ですがサキ様。そのようなことは到底賛成など出来かねます」


レイシアだけでなく、どうやらソフィアも反対らしい。

良い考えだと思ったのに。

それに、私だって何も自分を危険に晒すつもりなんてない。


「あのね?二人とも忘れてるかもしれないけど、私だって『流れ人』なんだよ?」


「え?ええ、それはもちろん存じておりますけど」


「だからね?私にだって能力はあるってことは忘れてるでしょ?」


「あ……」


案の定、私にも『流れ人』特有の何かしらの能力があるということは頭にはなかったみたいで、二人がハッとする。

まぁ、私もまだ誰にも自分の能力については話してなかったしね。


「では、ここで発表しましょう!私の能力はね……」


そこで初めて聞かせた私の能力に、口をあんぐりと開ける二人を見て、私は一層笑みを深めるのだった。

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