表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第四部 「サキ」と「咲」
268/401

魂の研究

「そこからですわ。

わたくしとカリナが二人で魂のことについて研究を始めたのは」


黙ってカリナ嬢の話を聞いていたミリア嬢が口を開く。


「幸いなことにと言いますか、フォーリア王国では元々魂と魔力の関係についての研究が盛んに行われていました」


あー、それは私も聞いたな。

二人に手紙を出したきっかけも、ソフィアからそのことを聞いてだもんね。

だから、私が了解しているという風に頷くと、ミリア嬢はそれを見て満足そうに頷く。


「わたくしたちが主に研究をしたのは、体から魂を取り出すということについてです」


それってカリナ嬢、前世のカリナ嬢って言えば良いのかな。

その魂を、今の体から外に出して元の体に戻すってことだよね。


「その中で、魂を取り出すための術式は完成させました。

ですが、それならすぐに魂を取り出せば良いかと言うと、そう言うわけにもいかなかったのです」


「そうなのですか?」


ふむ。

体から魂さえ出ることが出来れば、元の体に帰れるんじゃないかと思うんだけど。

そうでもないのかな?


「えぇ。まず、元の体。これは日本で生きていた時のカリナの体ということになります。

仮に魂だけの冗談で自由に動けたとしても、そもそも別世界である日本まで辿り着くことが可能なのかという問題がありました」


あぁ、そっか。

この世界だと、『流れ人』とか『招き人』とかいるから何となく気楽に世界の壁?みたいのを越えられちゃいそうな気がするけど、実際はそんなことないもんね。

『招き人』を喚ぶための儀式もものすごく大掛かりなものらしいし。


「そこで、わたくしたちとしては一時的に前世のカリナに魂が入れる体を探すことにしたのです。

つまりは、魂が抜け落ちている体ですね」


え、魂が抜け落ちてるってそれ死……。


「ふふっ。サキ様の予想も半分は当たりですわ」


私の顔が少し青くなったのに気が付いたのか、カリナ嬢がくすくすと笑っている。

いや、だって仕方なくない?


「ですが、わたくしとしてもさすがに死者の肉体に入るのには抵抗がありますわ。

わたくしたちが探していたものは、少し違うものなのです」


「えっと、それだとどんなものになるんですか?」


まさかの動物とかじゃないだろうし、なんだろう?

人形とか?

でも、動物にしろ人形にしろ、それだとその後の意思疎通が難しくなりそうだよね?


「人工的に作られた人の体。

ホムンクルスの素体と言えばお解りになるでしょうか?」


「あぁ、ええ。聞いたことはあります」


日本に居た時に、なんかそんなのを読んだことがあるような気がする。

ん?でも、なんだか他のところでも聞いたような記憶があるな……。どこでだっけ?


「ですが、ホムンクルスの製造は今は失われた技術。

ラシール侯爵家の力を持ってしても、その捜索は難航していました。

そして、そんな時です。

ちょっとした出来事をきっかけにして、前世のカリナと今世のカリナが別々の人間ではなく、同一人物であることがわかったのです」


私が記憶を掘り起こそうとしている間にも、二人の話は続いている。

おっと、考え事は後にしないと。

今は二人の話を聞くのを優先しないとね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ