国王陛下、王妃殿下との謁見
「ここは『初めまして』と言うべきかな」
入室を許され、中へと入り頭を下げる私に男性から声が掛けられる。
頭を下げたままの私からはそ顔は見えてないけど、見なくても何度も聞いたことのあるその声だけで誰かはわかる。
国王陛下だ。
ちなみに、サキは騎士の礼もカーテシーも完璧に出来たけど、私は普通に頭を下げてるだけだ。
サキは元々近衛騎士だったし、この国での『流れ人』は伯爵相当の扱いだから近衛を解雇されてからは一応は貴族の淑女がするカーテシーも練習して身につけていた。
あ、それなら私も社会的身分としてはサキと同じように伯爵相当になるだろうからカーテシー練習しないとか……。
帰ったらレイシア……は厳しいからソフィアから習おう。
「あぁ、そうか。すまなかったな。
頭を上げてくれ」
そんなことを考えながらも、私がずっと頭を下げ続けているのに気が付いた国王陛下が頭を上げるように言ってくれる。
でも、なんでだろう?少し笑いを含んだ声に聞こえたけど。
なんかおかしなことしたかな?
内心首を傾げながら頭を上げると、やはり国王陛下は苦笑いをしている。
その隣では、今日も若々しく美しい王妃殿下も肩を震わせている。
「外見は確かにサキがそのまま大人になっただけのようにしか見えないが、こうして見るとやはり人格面では別人なのだな」
まぁ、それはその通りなんだけど突然国王陛下はどうしたの?
私がいまいち何を言われているのかわかってないのに気が付いたのか。
ずっと肩を震わせていた王妃殿下が、笑いを引っ込めて口を開く。
「サキは……そうね。
決して無闇に無礼を働くような子ではありませんでしたが、あくまでも必要最低限……でもなかったわね……。
堅苦しいのを嫌う子だったでしょう?
何せわたくしたちにも今の貴女ほど丁寧に頭を下げたことはありませんでしたから」
あー、確かにそうだよね。
特にお二人にはサキはかなり気を許していたから結構くだけた態度だったかもしれない。
「その節は大変申し訳なく……」
「構いませんよ。頭を上げてくださいね?」
これまでの接し方を思い出し、再び頭を下げる私に王妃殿下から穏やかな声が掛けられる。
頭を上げてみれば、そこには声と同じように穏やかな微笑みを浮かべた王妃殿下と、心底楽しそうにしている国王陛下。
「さて、ゆっくり色々と話したいところだが、こうしてわざわざ城まで出向いてもらったんだ。
早速本題に入ろうじゃないか」
一通り笑って満足したのか。
国王陛下が場を仕切り直すように自らの表情も改める。
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