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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第三部 辺境の魔女
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立ち込める暗雲

その後の視察も和やかな雰囲気のまま進んだ。

ホーネスト男爵は最初出迎えてくれた時は歓迎してくれながらも緊張した様子だったけど、リズベット嬢が領主邸やプロシウッドの木材について詳しく知っていて、それを褒めてくれたのが良かったのかなと思う。


自分達が誇りに思ってることを他者から褒められたら誰だって嬉しくなるもんね。



昼餐では、森の恵みである山菜や街の外れを流れているという川で捕れた川魚を中心としたメニューが出された。


ホーネスト男爵は質素なメニューで申し訳ないと言っていたけど、とんでもない。

私は日本にいた時は山菜ってあんまり得意じゃなかったんだけど、ここで食べたのはとても美味しかった。

苦手な食べ物でも、本当に良いものを食べると好きになるってことは過去にも経験したことはあったけど、これは今後は山菜が私の好物に加わるかもしれない。


川魚も良く臭いって言うのは聞くけど、それも全く感じなかったし。

山菜にも言えることだけど、それはあくまでも日本で聞いた話だから色々と違うのかな。ここ異世界だし。

エフィーリア様がさりげなくはらわたのチェックしてたけど、綺麗に取り除かれてたよ、良かったね。


食後に出されたハーブティーも美味しかった。

これも森で採れるらしい。

後でこっそり採取してこうかな。



午後になると本格的に視察が始まった。


森林で伐採して来た木を木材へと加工する加工所。

その木材を使って家具や様々な工芸品に加工する工房。

木材を薪や炭に加工する工房もある。寒さの厳しいノフロンでは、これもとても重要だ。

そして、それら工芸品や炭などを販売するための商店。


その全てがプロシウッドの街中にあり、ここは本当に森と共に生きている町なんだなぁと実感した。


特に、工芸品はお土産としても人気があるみたいで、今は視察中だから買えなかったけど、明日帰る前にお留守番をしている四人に何か買って帰ろうと思う。

自分用にも買いたいしね。

あ、ちなみに何故か日本でお馴染みの鮭を咥えた木彫りの熊もあったよ。

誰だよこんなのわざわざ伝えたの。


とりあえず、今日の視察はそこまでとなり、明日は朝から木材を輸送するための水路を見学に行くことになっている。

ビキャフス湖から流れてる川を整備して”管流し”って方法で輸送しているみたい。


そして、その後はお土産を買いに行って辺境伯邸へと帰還予定だ。


森で狩って来たという大きな猪みたいな獣のステーキなどの晩餐に舌鼓を打ったあとは、サロンでホーネスト男爵やその家族も交えてみんなで談笑している。


晩餐の席で少しお酒も入っているホーネスト男爵はとても上機嫌で、色々な話を聞かせてくれた。

特に、この辺境の地で作られた木材を王都でも知られるトップブランドへと押し上げた経緯についての話は、リズベット嬢がものすごく食い付いていたし、私としてもかなり面白かった。

男爵の話し方が上手いのもあると思う。


そうして楽しい時間を過ごし、明日に備えてそろそろ解散しようかと話していた時だった。


これまでの平穏な日々の終わりを告げる早馬が辺境伯邸から到着した。

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