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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第三部 辺境の魔女
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ビキャフス湖

「わぁ!綺麗ですねー!」


ビキャフス湖へと到着し、ぞろぞろと馬車から降りる。

護衛の騎士達が守りを固めるように周辺に散り、お付きの侍女やメイド達が椅子やテーブルを素早く設置している。

こういうのを見てると、どうしても近衛時代の名残りで私も動きたくなるんだけど、一応今は守られる側。

大人しくしてる方がいいか。


「ここではどのようなお魚が釣れるのでしょう?」


真剣な顔で湖面を眺めながらエフィーリア様はそんなことを呟いている。

もう釣りをする気満々だなこのお姫様。


このビキャフス湖は、 ノフロンを支える貴重な水瓶だ。

どうやらこの辺りは周辺より少しだけ低い土地になっているらしく、付近に降った雨や雪解け水は全てビキャフス湖へと集まるらしい。

その豊富な水がいくつもの川となって流れ出て、豊かな森林資源や数少ない貴重な農地を支えている。

また、水産資源も豊富でここで採れる魚介類が寒く厳しいノフロンの冬を生き抜くための重要な食糧ともなっているらしい。


まぁ、全部半強制的にスチュワートに叩き込まれた知識なんだけどね。

全く、何が「辺境伯としてノフロンのことをよく知って頂きませんと」だよ。


そんな過去の嫌な記憶はさておき、とりあえず魚はたくさんいるみたいだから、釣りをするには良い場所なんだろうとは思う。

今日は天気も良くて風も穏やかだから、舟遊びをするにも釣りをするにもちょうど良さそうだしね。

実際今も何隻かの船が湖面に浮かんでるのが見えるし。


「エフィーリア様、どうします?早速釣りしますか?」


「そうですわねぇ……」


さっきしれっと騎士達に釣りをするのに適した場所を探すように指示していたエフィーリア様に聞いてみる。


「少し準備に時間がかかるでしょうし、ここまでの移動で多少は皆様お疲れかもしれません。

まずは軽くお茶でもしましょうか」


あぁ、確かに以前のサバイバル合宿の時と違って今日はドレス姿だもんね。

さすがにピクニックだから、パーティ用みたいな豪奢なものではなくて動きやすさも配慮されたデザインのものではあるけど、その辺に適当に座ってってわけにはいかないよね。

私も今日はワンピースだし。

場所やら何やらの準備は必要か。


すぐに飛び出して行きそうな子の姿がちらほら見えるけど、その背後でそうはさせじと見張ってる子の姿もあるから、しばらくは大丈夫でしょ。

敢えてそれが誰とは言わんけど。


「エフィーリア殿下」


そんなことを話していると、横手から声がかかる。

誰かと思って振り返ると、そこにいたのはクラリスだ。隣にはヒマリもいる。


ノフロンに着いた時やパーティの時は如何にも聖職者って感じの祭服を着てたけど、今日のクラリスはエフィーリア様と同じようにドレス姿だ。

ヒマリはかなりカジュアルなデザインのワンピース着てるけど。

全力で遊ぶ気満々なのが服装から伝わってくるね。

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