サキの処分
「あの馬鹿息子は、このまま学園を休学させて領地へと行かせる。
そこで一から教育をし直すつもりだ。
恐らく、他の令息達も同じようなことになるだろう」
その言葉に陛下に視線を向けると、陛下も頷く。
と言うことは、それが王命という形になるかどうかはわからないけど、令息達への処分としては決定事項なんだろう。
「それはわかりましたし、公爵からの謝罪も受け取ります。
でも陛下?
さすがにそれで終わりとはいかないですよね?」
問題を起こした令息達を領地へと送りました。
はい、それで解決です!とはいかないことくらいは私だってわかるもん。
表向きどういう形にするか、しっかりと決めておかないとね。
「そうだな。
わざわざここに呼んだのは、その話をしたかったからだ」
「でしょうね。
まぁ、今更抵抗なんてしませんよ。
何でも言ってください」
その言葉に、陛下がにやりと笑う。
ん?あれ、何だか嫌な予感がする。
「わかっているとは思うが、令息達が帝国の人間、それも間者の疑いが高い者と接触していたことを表沙汰にするわけにはいかない。
それはわかるな?」
もちろんわかるので、頷いて話の続きを促す。
「彼等が領地へ行くのは、療養のためということになる。
それで、何故療養が必要になるのかという事だが……」
何故か微妙に言いにくそうにする陛下。
私は何だって受け入れるから気にしなくていいのに。
「サキとハーパー公爵令息は、学園でも微妙な関係だったそうだな?
それでだ。
ついに我慢出来なくなったサキが、令息達とやり合ってしまい、それが原因で療養が必要になったという形にする」
「まぁ、間違いではないですね」
実際事実も似たようなもんだ。
「そうだな。
そして、それを受けて当然ながらサキにも処分をくださねばならん」
「はい。どうぞ」
陛下は言葉を溜めるようにじっと私を見ると、重々しく口を開く。
「サキ・ヤマムラ部隊長」
「はい、陛下」
「今回の件の責任を問うため、本日付けを持って、王室近衛騎士団特別部隊長を解任する。
また、学園も退学処分とする」
「……わかりました」
そっか……。
やっぱりそうなるよね。
隊員達や、学園のみんなともこれでお別れか。
少し、ほんの少しだけ残念な気もするけど、仕方ない。
「そんなに落ち込むな」
そんな気持ちが顔にでも出ていたのか、陛下が苦笑する。
「それでな。
お前には代わりに行ってもらいたいところがある」
「どこですか?」
つまりは、そこで幽閉なりされるってことかな?
「北の辺境伯領。
サキには、そこに行ってもらいたい」




