連行
ハーパー達を連行して連れて来たのは私の屋敷。
普段なら王城へ連れて行くんだけど、今回は陛下には何も言ってないからね。
いつもの地下室は使えないから、そうなるとここくらいしか使える場所が思い付かなかった。
ちなみに、どうやってここまで連れて来たかだけど。
まぁ、軽ーく教育をして木箱に押し込んで……あとはご想像にお任せってことで。
「お嬢様、おかえりなさいませ」
「おかえりなさいませ」
「うん、ただいま」
縄で縛られて顔を腫らしているハーパー御一行を見ても、アーシャとセバスチャンは顔色一つ変えずに出迎えてくれる。
でも、その後ろに控えているソフィアは真っ青な顔をしているし、レイシアは逆に顔を真っ赤にしている。
ごめん、驚いたよね。屋敷のみんなにも今日のことは何も伝えてないから。
「ちょっと客間使うから。絶対に誰も近付かないで」
「かしこまりました」
「ほら、行くよ。さっさと歩け」
「ぐっ」
ソフィアとレイシアとは面識があるみたいだけど、私の屋敷にいることまでは知らなかったのかな。
二人の方を見て口をあんぐりと開けているハーパーに蹴りを入れて歩かせる。
あ、二人がめっちゃ何か言いたそうにしてる。
これは後で叱られるかな。
まぁ、仕方ないか。これに関しては私が全面的に悪いから大人しく叱られよう。
令息達をぞろぞろと引き連れて屋敷の中を歩いて行くと、当然ながら他の使用人ともすれ違う。
ハーパー達は時たま見知った顔がある度に驚いている。
何か言いたそうに口をパクパクさせてるけど、まだ話せないままだからね。静かで何よりだ。
使用人の子達も、驚いたような顔はするけど何も言わずに仕事に戻っていく。
他所でこのことを話すような子はいないだろうけど、後で念の為アーシャとセバスチャンに言って全員に口止めしとかないとな。
「誰か二人。入り口に見張りで立ってくれる?
私が良いって言うまで、部屋の中はもちろんだけど、近くにも誰も来させないで。
アーシャやセバスチャンもね」
「了解しました」
客間に辿り着いて指示を出すと、アレクとジェイクが見張りに立ってくれる。
「じゃあ、フレバン。ちょっと頼みたいんだけど……」
近くに呼んで、耳打ちで指示を伝えると、フレバンが微かに目を見開く。
「よろしいのですか?」
「うん、良いよ。だからお願い」
「かしこまりました」
返事をしてその場から立ち去るフレバンを見送ると、客間の扉を開けてハーパー達を中に放り込む。
私達も中へ入ると、扉に鍵をかけハーパー達へと向き直る。
ここまで来ると、さすがにこれから自分達がどうなるのか悟ったのか。
どいつもこいつも顔を真っ青にして震えている。
「さて、お姉さんと少しお話しようか?
おぼっちゃん?」
それを見下ろしながら、私はにっこりと微笑んだ。




