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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第二部 魔女と学園
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ご令嬢のお約束

「リア様っ!次はあっち!

あっち行ってみましょう!」


「ええ。あちらには何があるのかしら?楽しみですわ」


「あまり離れすぎないでね」


「はーい!」


手を繋ぎながら、楽しそうに屋台を見て回っているエフィーリア様達に声をかける。

ちなみに、エフィーリア様の名前はさすがに知れ渡っているので、今日はリアと呼ぶように言われてる。


市街地の入り口で馬車と馬を降りた私達は、そのまま少し徒歩で移動して市街地の中心部にある大広場へと来ている。


ここは王都で暮らす人々の憩いの地みたいなもので、中央にある大きな芝生の広場や花壇を囲むように遊歩道が作られ、その遊歩道に様々な屋台が立ち並んでいる。


今日は休日ということもあり、芝生で寛ぐ家族連れや、遊歩道を散歩しているカップルの姿も多く見える。


そして、エフィーリア様はエミリーちゃんとニーナちゃんに手を引かれ、色んな屋台を見て回っている。

その姿は、年相応の普通の女の子のようだ。

まぁ、高貴なオーラは隠せてないし、何よりもものすごい美少女だから周り中の視線を集めてるけどね。

今もたまたま近くにいたカップルの男性がエフィーリア様に見蕩れて、一緒にいた女の子に肘鉄をされている。


これだけ注目を集めてると変な輩が近寄って来ないかとも思うけど、ナタリーとカレンが近くで目を光らせてるから大丈夫かな。

そのおかげで私とリズベット嬢は少し離れたところからのんびり見てられるし。


「サキさん!リズベット様!どうぞ!」


屋台で購入したらしいお肉の串焼きを手に、エミリーちゃんが小走りでこちらへと駆けてくる。


「あら、ありがとうございます」


「ありがとう。これいくら?」


「あ、お金は大丈夫です!

その、カレン様が出してくださったので!」


「カレンが?」


ありがたく受け取りながらお金を払おうと思ったんだけど、どうやらカレンの奢りらしい。

当の本人に目を向けると、満面の笑みで串焼きを頬張っている。

奢ってもらっておいてなんだけど、今日の自分の役割忘れてないよね?


「さぁ、リア様!

ガブッと!ガブッと行きましょう!」


そして、エフィーリア様はものすごく真剣な顔で串焼きを見つめている。


これはあれか。

高貴なご令嬢あるあるの、初体験の串焼きかぶりつきか。


覚悟を決めた表情で口を開いていくエフィーリア様だけど、あれは、うん。


「リア様、ちょっとストップ」


「え?」


両手で串焼きを握り締めたままエフィーリア様がこちらを向く。

今更だけど、串焼きを握り締めた王族ってなかなかなシュールな絵面だな。まぁいいんだけど。


「そのままだと危ないですよ」


そうなんだよね。

エフィーリア様、串焼きを縦に持ってるんだよ。

あれじゃあ、何かの弾みで喉の奥に突き刺しかねない。

てか、なんで誰もそれ教えてないのさ全くもう。


「だから、ほらこうやって」


私の説明にこくこくと頷いていたエフィーリア様に、見本を見せるように横向きに持った串焼きにかぶりつく。

お、美味しいなこれ。なんのお肉かはわからないけどタレが絶妙だ。


「横向きにひて食べるんれす」


口に食べ物が入ったまま喋るのはよろしくないのはわかってます。いや、本当ですよ。


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