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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第二部 魔女と学園
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街歩きの提案

結局、この日はまともな話し合いは出来ずに解散となった。

そうなったのはアンネとコーネリアのせいなんだけど、まぁ今のところ学園は表面上は平和だからね。大丈夫でしょ。


表面上って言ってるからって、何か裏で怪しい動きがあったりしているわけでもない。

ただ、サバイバル合宿の一件からしても平民への根深い差別意識はあるだろうからね。

今はそれが表には出て来ていないだけなんじゃないかって言うのが、各学年の見回り組の総意としてあるんだ。

だから、そのことを忘れない為にも表面上はってみんなで言ってる。


今後の課題としては、この表面には出て来ていない差別意識を改革していくことなんだけど、中々難しい問題だよねぇ。

長い年月に渡って刷り込みみたいにして根付いちゃってるんだもん。


「そう言えば、アンネたちはなんであんなに落ち込んでたの?」


今日の話し合いがグダグダになった原因でもあるし、二人に真面目に勉強しなかったことへの説教だけはしたけど。

試験結果が悪かっただけにしては酷い落ち込み方な気がするんだよね。


ちなみに、二人は黒い笑みを浮かべたリズベット嬢によってどこかへ連行されて行ったからここにはいない。

どこへ行ったのか気になるところではあるけど、私の本能がそれは聞いてはいけないと強く訴えてたから、行き先は知らない。

明日以降、再び二人に会えるのを祈るだけだ。


「あぁ、さすがにご両親にお叱りを受けたようで。

一ヶ月間外出禁止になったからですね」


私の質問に、ナタリーが苦笑いしながら答えてくれた。

なるほど。あの二人の性格からして、それはかなり辛そうだ。

それであの落ち込みようね、納得。


「それに、合宿でアンネがエフィーリア様と親しくなったことにコーネリアが妬いていまして」


「わたくしですか?」


突然自分の名前が出て来たエフィーリア様がキョトンとしている。


「わたくしとしては、お二人と同じように親しくさせて頂いているつもりなのですが……」


「えぇ、それは私もそのように思います。

ですが、あの子達はまだ少し幼いところがあるので」


うん、私から見てもそう見えるな。

エフィーリア様の言うこともナタリーの言うこともね。

てか、今日の一件を見てあの子達を立派な大人だとは誰も言えないよね。

まぁ、可愛くはあるけど。


「それで、エフィーリア様を休日に街歩きにお誘いしたかったようなのです。

ですが、当分はそれも叶わなくなりましたので……」


あー、なるほどねぇ。

まぁ、王族であるエフィーリア様がそう簡単に街歩きに行けるのかっていう疑問もあるんだけど。

それにそうなったら、絶対私も行かなきゃじゃんか。


「街歩きですか……。それは素敵ですね」


あ、まずい。

エフィーリア様の目が輝いてる。

ちょっとナタリー!何言ってくれてんのよ!

余計なことを言ったな?とじろりと睨むと、ナタリーは気まずそうに目を逸らす。


「サキ、夕食の後に相談があるのですが、わたくしの部屋へと来て頂けますか?」


「え?あ、はい……」


ほら!

これ絶対街歩き行きたいって言われるやつだよ!

でも、正直言うと学園にいる間にエフィーリア様がやりたいと言ったことは一通りは叶えてあげたいって気持ちもあるんだよね。

だから、街歩きがしたいと言うならそれもさせてあげたい。


他所を見て無関係なフリをしてるナタリーは絶対に護衛役として巻き込むとして……うーん。

街での護衛か。

街歩き自体がそもそも私は不慣れだし、他に誰か護衛の面で協力を頼める人いないかな……。

うちの隊員でもいいんだけど。


あ、いい人がいたわ。

ちょうど話もしたいと思ってた相手だし、後で行ってみよう。


そう決意した私は、部屋の前でエフィーリア様と別れると、今来た道を引き返すように学園へと足を向けた。

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