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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第二部 魔女と学園
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ひとまずの解決とサバイバル合宿の終了

「それにしても、先程のサキ様!

凄まじい迫力でしたわっ!!」


いつの間にか近くまで来ていたフューリー嬢がめっちゃ興奮している。


「本当にその通りです!

やっぱり、騎士様なんだなーって感動しちゃいました!」


その言葉に、エミリーちゃん達やフューリー嬢のグループの子達がブンブンと首を振って頷いている。


「いや、別にそんな大したもんじゃないんだけど。

むしろ怖かったんじゃない?

怯えさせちゃったならごめんね?」


私のああいった姿を見慣れてる隊員達ならともかく、荒事とは無縁に生きて来ただろうみんなには少しばかり刺激が強過ぎる光景だったと思うんだよね。


「そんなことございませんわ!

わたくし、学園に戻りましたらコーネリアに自慢致します!」


鼻息も荒く言い続けるフューリー嬢。

コーネリアって誰だっけ……あ、ルーベック嬢のことか。


なおもきゃいきゃいはしゃぎ続けるフューリー嬢だけど、こう言うよいしょ的な発言が多いからどうしても取り巻き臭を感じちゃうんだよね、それだけの子じゃないのはわかったけど。


「それにですわ、先程仰ってくださいましたわよね?

わたくしのことを大切な仲間だと。

わたくし、もうそれに感動してしまって……」


そう言いながら目元をハンカチで拭う仕草をしている。


「まぁ、それは事実だし。仲間でしょ?私達」


ものっすごくわざとらしいな、その動き。

そうは思ったけど、言ったことは本心だから。


「本当ですかっ!?」


そう言って目を輝かせるフューリー嬢の目元は、やっぱり全く濡れていない。


「それでしたら、わたくし、お願いがあるのですが!!」


「え?なに?私に聞けることなら構わないけど……」


もう何だか勢いが凄すぎるよこの子。


「わたくしのことも、是非アンネとお呼び頂きたいのですわ!」


あぁ、名前で呼べってこと?

別にそれくらいなんの問題もないので頷くと、フューリー嬢改めアンネはとても嬉しそうに笑う。


「それでしたら、是非わたくしも!」


「私もお願いいたします!」


それを見ていたアンネのグループの子達も我先にと同じことを頼んで来て、なし崩し的にみんなを名前で呼ぶことになってしまったけど。


そして、そんな私達をエフィーリア様とエミリーちゃん達が微笑ましそうに見守っていた。

私の方が年上なのになんでだ。


ちなみに、合宿の後でこの事を知ったルーベック嬢からもコーネリアと呼ぶように半ば強制されることになるんだけど、それはまた別の話。


「えーっと、エフィーリア様」


「はい?どうしました?」


アンネ達の輪から何とか抜け出すと、エフィーリア様に声をかける。


「あいつら、どうします?

……って、あれ?」


すっかり忘れかけていた男子生徒達の処遇を相談しようとして、放置して来た方に目を向けるも、そこには人影一つない。


ナターニャ先生も、荷物を一人で持たされていた子すら居なくなっている。


「あら?いつの間にか誰もいませんわね。

先生にもご挨拶したかったのですが」


「まぁ、先生が何とかしてくれたんですかね?

あ、先生と言えばなんですけど、さっきの……」


話は聞こえていたのか。

そして、ナターニャ先生の本性をエフィーリア様は知っているのか。

そう訊ねようとしたところで、突然背中がゾワッとする。


「先生がどうかしましたか?」


「あ、いえ。何でもないです」


これは、どうやらさっきの先生のことは誰にも話すなってことらしい。

どこから殺気飛ばして来たんだ、あの人。


「そうですか?

それでは、ここで時間も取られてしまいましたし、学園に戻りましょうか」


「そうですね。

あ、アンネ。さっき転んだとこ怪我はない?

ちょっと見せてみなさい」


「まぁサキ様!わたくしをそんなに心配してくださるのですか!?」


「いいから、ほら!

ちょっと大人しくしなさいってば!」


最後の最後にトラブルこそはあったものの。

それも含めて上手いこと収まったのかな?


その辺はいまいちよくわからないけど、ともかく、こうして色々なことがあったサバイバル合宿は終わりを迎えた。


まぁ、なんやかんやで楽しかったから全て良しかな。

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