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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第二部 魔女と学園
124/401

みんなで釣り!

そうして翌朝。


寝不足気味な私と、元気な三人は簡単に朝食を済ませると早々に出発。

あっさりと最後のチェックポイントを通過し、川へと到着した。


ちなみに、私が寝不足な理由なんだけど、夜番を一人でずっとしてたからなんだよね。

普段の任務なら隊員達と交代でやるんだけど、今回はみんな初めての森で疲れてただろうし。

特に誰も何も言わなかったのを良いことに、夜番のことは敢えて言わなかった。

本来ならこういう経験もしてもらった方が良いのかもしれないけど、まぁ別にいいかなって。

私は一晩くらい徹夜しても特に問題ないもん、慣れてるから。

三人の可愛い寝顔をじっくりと見物出来たしね。


そんなわけで川を目の前にしてるんだけど、


「わぁ!結構大きな川なんですね!」


エミリーちゃんの言葉にみんなで頷く。

森の中を流れてるような川だから、てっきり小さい川だとばかり思ってたけど、向こう岸まで五メートルはありそうだ。

水量も充分あるし、それでいて流れが速すぎるという感じではない。

これなら魚もたくさんいるだろうし、安全に釣りが出来るんじゃないかな?


「じゃあ、この枝に糸を付けて、先っちょにこの針を付けてくださいね」


道中で拾っておいた枝をみんなに渡し、学園から支給された装備の中から釣り糸と針を取り出す。

こんなものまで用意してくれてあるなんて、至れり尽くせりだね。


「このまま川の中へ垂らせば良いのですか?」


無事に糸と針を付け終えたエフィーリア様が聞いてくる。


「あ、ちょっと待ってくださいね。

あとは餌を付けないと」


そう答えながら、川岸にある少し大きめの石をよいしょと裏返す。

お、いたいた。


「餌ですか?干し肉とかでよろしいのかしら?」


「違いますよ、エフィーリア様。

これです」


干し肉を取り出そうとしていたのか、荷物を漁っていたエフィーリア様にさっき捕まえた餌を見せる。


「あら、いつの間に用意してくださって……」


なんの警戒もなく私が差し出した手を覗き込んだエフィーリア様がそのまま固まる。


私の手の中にいたのは、ミミズのようなよくわからない謎の虫。

覗き込んで来たエフィーリア様に挨拶するかのように、うにょうにょと蠢いている。


「い……」


小さくカタカタと震え始めるエフィーリア様。

それをキョトンと眺める私と虫達。


「いやああああああああああああああああああああぁぁぁっ!!」


森の中に響き渡るエフィーリア様の悲鳴に、ビクッと固まる私と虫達。

木々に止まっていた鳥達も驚いて一斉に飛び立っている。


そうかぁ。エフィーリア様は虫がダメだったかぁ。

まぁ、お姫様だもんね、仕方ないか。


ちなみに、こうなることを察していたのか。

エミリーちゃんとニーナちゃんはちゃっかり私達から少し離れたところへと退避していた。

案外強かな子達だな。


まぁ、それでも釣りをしてみたいという欲求は抑えられなかったらしく、何とか虫を手に取ろうとしていたエフィーリア様だけど、その涙目でプルプルと震える姿があまりにも可愛く……もとい、可哀想だったので餌は私が付けてあげた。


それを横目に平民ペアはさっさと釣りを始めてだけどね。

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