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必滅の魔女  作者: 坂井 ユキ
第二部 魔女と学園
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フューリー嬢とルーベック嬢

「結局、協力してくださることになったのは、わたくし達を含めて11名ですか……」


二度目の話し合いを終えた帰り道。

一年生のみんなで寮へと向かう道すがら、エフィーリア様ががっくりと肩を落としている。

初回から約半数になっちゃったからね。落ち込むのも仕方ない。


今日来てくれたのは、いずれも侯爵家の令息や令嬢だった。

それでも身分的には全然問題がないんだけど、今学園に在籍している唯一の公爵家からは誰も参加しなかった。


まぁ、それがこの前喧嘩売ってくれたハーパーだから別にいいんだけど、その影響なのか、二年生からの参加はなかったんだよね。

やっぱり同学年なのもあってハーパーに遠慮したのかもしれない。


「わたくし達のクラスメイトで参加を見送られた方は、ハーパー公爵家と懇意にされている家門の方々ですわ」


「あ、そうなの?」


「ええ、間違いございません」


一緒に寮へと歩いていたリズベット嬢が、不参加となったクラスメイト達の事情を教えてくれた。

実は、今日の話し合いの前に、参加出来なくなったってみんなわざわざ謝りに来てくれたんだよね。


「ハーパー公爵家から何か言われたのか……。

くそ、卑劣な真似を」


「ナタリー、言葉が乱れてますわよ」


憎々しげに毒づくナタリーを窘めているリズベット嬢。

まぁ、確かにナタリーの気持ちはわかるけど、一応は侯爵令嬢なわけだからね。

クソはアウトでしょ。


「皆様、申し訳ありません。

わたくしが先日ハーパー公爵令息をきちんと説得出来ていれば良かったのですが……。

力が及ばず情けない限りです……」


「何を仰いますか!

エフィーリア様のせいなどではございません!

これも貴族とは何たるかを忘れた者たちの責任です!」


しょんぼりとしているエフィーリア様を、熱血ナタリーが熱く励ましている。


「そうですわ!」


「他の方々の分までわたくし達が頑張りますから!」


それに追従する、参加してくれることになった侯爵令嬢の二人。

えーっと、フューリー嬢とルーベック嬢か。


これまで話したことはなかったけど、今日少し話した感じだと二人とも明るくてさっぱりした性格をしている。


同じ侯爵令嬢であるナタリーやリズベット嬢とは、所謂幼なじみの関係で今でも仲がいいそうだ。

ナタリーとリズベット嬢がすぐに仲良くなったのも、自分達という共通の友人がいたからだと強く主張していたけど、なんとなくこの二人。

ナタリー達の後ろを追いかけ回している感じで、発言とか聞いててもどことなく取り巻き臭が漂うんだよね。

でも、れっきとした侯爵令嬢で本来は取り巻きが付いててもおかしくない身分だ。

だから、きっと気のせいだ。そうなんだ。


そんな感じでわいわいと話しながら歩いていると、少し離れたところからこちらへと向けられる視線を感じた。


特に嫌な感じはしなかったので、警戒をすることもなくそちらへと視線を向けると……。


「エフィーリア様、すみません。少し離れますね。

その間の護衛は、ナタリー。任せていいかな?」


「え?ええ、構いませんが」


「もちろん!私に任せてくれ!」


二人とも快く了承してくれたので、他のメンバーにも軽くお辞儀をしてこの場を離れる。

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