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第2青函トンネル

大蔵省三大バカ査定をもう一つ作っちまいましょう!

 北海道は、日本の食糧庫だということは誰でも否定はしないと思う。


 食糧自給率が、40%を切っている日本において北海道全体で食料自給率200%。十勝に至っては、1,000%! 全国の収穫量の14%。金額としては、1兆3000億円ほどとされている。


 更にARGAMAの食料自給率も250%。

 北海道・ARGAMAで、自分の人口と同等以上の食糧余力がある。


 ARGAMAは、これを活用した。

 まずは、流通を支配することにした。

 日本国での諸々の規制を利用した。いや、悪用したと言ってもいい。


 長距離トラック・ドライバーへの規制。化石燃料の高騰と供給不足、そして、カーボンニュートラルの2035年達成である。

 このことにより、長距離トラックがまず減少した。デンソーとトヨタグループは、トラックにこそ水素エンジンをと努力し液化水素を搭載した大型トラックを開発してはいたが、如何せんドライバーの問題は解消できず。トラック輸送は、おおむね500km以下となり、高価で急を要するもののみがそれ以上の距離を走るトラック輸送となった。


 内航船のカーボンニュートラル化は、中々進まず。化石燃料の高騰により、青函間のフェリーはナッチャンReraのごとく廃止される便が増えていた。


 北海道からの本州への物流は、航空機が20万トンほど。鉄道が400万トンほど。トラック&フェリーが600万トンほど。海運が4000万トンほどと言われている。

 金額的には、トラック&フェリーが14%、鉄道が7%程と言われている。

 北海道の全収穫量の金額の半分が、本州に渡るとして約6,000億円は有った。

 化石燃料の高騰や、世界的な食糧不足により、その金額は増えることはあっても減ることは無いと思われた。


 第2青函トンネルというのは、いつの時代でも年初の未来予想図で必ず出てくるものである。

 しかし、昭和の大蔵省の3大バカ査定に入る青函トンネルは、国の事業としても大幅な赤字であり、JRも新幹線があるから仕方なく使っている状態だ。


 JRが、度重なる災害と旅客数の激減で、膨大な赤字を発生するローカル線を維持し続ける事は営利企業としては既に限界であった。

 鉄道事業は、残念ながら慈善事業ではございませんと言ったJRの社長は大炎上したが、じゃあ金を出せ! と言われれば沈黙せざるを得なかった。

 正に、同情するなら金をくれ! だ。


 北海道経済界も当時の青森県経済界も、風呂敷はでかいが財布は小さいのか、金の話になると一様に口を噤んだ。

 金さえ有れば……が、一致した気持ちであった。


 じゃあ、金を出そうとARGAMA政府は、建設費用1兆円を出し、更にJR貨物に出資し、北海道ー本州間の物流を握ることにした。


 青函トンネルの先進導坑を利用し、それを広げて狭軌のトンネルを作った。先進導坑を利用し、7,200億円の建設費と15年の建設期間と計画されていたものを8年で完成させた。建設費用は、新青森駅北に新設された貨物駅と第2青函トンネル間の鉄道敷設で溶けていった。雪での運休を防ぐため、新たに北海道新幹線に沿って鉄道を敷設した。北海道新幹線と同じラインでトンネルを作ったためである。


 ついでに建設費を流用して、竜飛岬に核廃棄物最終処分場を掘ったのは公然の秘密だ。


 首相は、第2八甲田トンネルも作っちまえ! と、言ったが、流石にそれは財務省に止められ、スノーシェルターの増設で済ました。

 北海道の鉄道も同様に、路肩の弱い場所の修復や、スノーシェルターなどの徹底的な雪対策が行われることになる。


 これにより、もとより時刻表通りに動くと国際的な評価の高い日本の鉄道は、国鉄時代の度重なるストライキによる配達遅延で、「二度と鉄道は使わん!」と離れた顧客を取り戻しつつあった。


 さて、第2青函トンネルが出来上がった頃、ARGAMA政府が望んでいた状態がやってきた。

 すなわち、日本の経済の地盤低下により、国内外の農産物の価格が逆転したのである。

 そりゃあ、30年もGDPが変わらなきゃ、どんどん他の国に抜かれる訳で、実際に日本とARAGAMAの物価は2倍以上の差となりつつあった。


 そのことにより、北海道の農産物の価値は高騰した。

 内航船の水素燃料化は、別府造船が進んで造船していたが、需要に供給が追い付いていなかった。船の場合、自動車と違いインジェクションを増設するという訳には行かなかった。

 出来ることは出来るが、新規造船した方が安上がりとなれば、当然のこと新規造船となるのは当然である。


 食料の流れを抑えたARGAMAは、いわば日本の生死与奪権を握ったようなものである。

 握ったのが、非常に倫理観の強い国であったことは日本にとって幸運であった。


 第2青函トンネルは、毎日往復120本の貨物列車が通過する日本で有数の過密ダイヤの路線となった。それを捌く東北本線と奥羽本線も旅客便より貨物便の方が多い状態だった。

 北海道への下り便は、空きの車両も見受けられるが、本州への上り便はほぼ空きが無い状態だった。


 南は、九州福岡に毎日3便。大阪に10便。名古屋に7便。東京に35便。東北に5便の定期便が走っていた。ARGAMAには、毎朝1便が入って来て、国内の学校と自衛隊の給食となっていた。


 食料を抑えられたことにより、日本国はいよいよARGAMAに頭が上がらなくなった。

 この頃より、日本のスコットランドから、アジアのスウェーデンと言われる様になる。その理由は後ほどに。

日本の食糧事情は、あれは確か1976年の1月だと思います。冬休みで暇なので一日中TVを見てる訳ですが、「天ざる1枚、世界を行く」と言うドキュメンタリーを見ました。

タイトルはうろ覚えですが、確かこんな感じです。

もう、その頃から日本の食糧自給率は45%切ってました。

そばは、オーストラリアのタスマニア。天ぷらのエビは、アフリカのモーリシャス沖で取ってました。

日本食の代表、天そばは45年も前から最早、国産では無かったのです。

本文に有ります、食料の国際間の価格逆転。これは、個人的には近いと思います。

失われた30年と言いますが、10年前は失われた20年と言われたてました。

21世紀に入った時は、失われた10年と言われてました。

次に失われた40年と言われないようにして欲しいですね。


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― 新着の感想 ―
しばらく前に水素エンジンも含めた全方向の開発をトヨタの社長が宣言しててマスゴミが(日本も含めて世界中で)せせら笑ってたのがあっという間にEV が失速EVを評価してた専門家(EVのメーカーからの忖度は間…
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