エネルギー立国
アレルギーがある方もいらっしゃるかと思いますが、あくまでもフィクションですので生暖かい目で見て頂ければと存じます。
地方交付税交付金を辞退し、独立採算でやることと、核廃棄物最終処分場となること在住の自衛隊の費用を全負担すること等を条件に、日本は簡単にARGAMAの独立を許してしまった。
日本国上層部は、どうせ暫くしたら、泣きを入れてくるだろうと高を括っていた。
人口130万人*1など、日本の1%でしかなく、無くなろうが体制に全く影響は無いと思われた。
これと言った資源も無く、働く場所も無い。そもそも、そんなものが有れば10年間で20万人も人口減少なぞしないのだから。
核廃棄物最終処分場の選定には、何十年も苦労していた。核燃料サイクル施設はいつ稼働するかも分からない。一説には、22世紀にならないと無理ではと言われ始めていた。完成しないことが、企業価値であると言われる始末。いつの間にか、日本のサクラダファミリアと呼ばれるようになっていった。
核廃棄物最終処分場に市町村単位での応募もあったが、隣接の市町、その上の都道府県から反対されて、すぐに応募を引っ込める有様であった。
持たざる者に取っての一発逆転は、連れション文化の日本では無理なのである。
スコットランドを模した政治形態を目指したARGAMAも、まずは金が無いとどうしようも無いことは重々承知していた。
第1次産業? 毎年の米価の下落で青息吐息だ。そもそも、加工してこそ付加価値が上がるのであって、加工する産業が不足していた。
観光? 大自然が有るだろうって、青森にあるものは全て北海道にある。しかも、より大規模でだっ! 新幹線の新青森駅は、殆どの観光客にとって通過駅でしか無い。
そこで、首相は大胆な手に出た。
まずは、20兆円の国債を発行した。それは、なんとアメリカ合衆国内で売りに出された。
世界一金がある所で金集めるのが一番手っ取り早いだろっ! と。
何故か、この国債は完売することになる。アメリカ軍普天間基地の米軍海兵隊を引き受ける事と極東の安全保障について米軍の肩代わりをすること等を条件に。
その20兆円でもって、まず初めにTONTTUに建設されていた原子力発電所を建築中も合わせて購入し、返す刀でOMAで建築中の原子力発電所も購入。
更に、IMAPEZに原子力発電所を建設する計画を立案実行する。
TONTTUに6基。OMAに2基。IMAPEZに4基の合わせて12基の反応炉発電所が出来上がったのはARGAMA建国の6年後であった。
日本政府の見積もりが、1基4,400億円と言うのを無視し、メーカー試算の1兆円の建設費を払うことと、他に建築中の発電所が無かったことで、急ピッチで建設できた。
また、日本では審査が10年以上かかるものを建設中から並行して行い建設半年後には臨界に達し稼働を開始している。
首相は、ARGAMA建設の際に10年は独裁でやる! 10年後に、この国が栄えてなければ、磔にしてくれていい。10年後には、所得が2倍になっていることにこの命を賭けよう! と。
また、孫子の代にとか、日本100年の計とかいうが、60や70が将来の責任取れるのかよ!
私は、今41歳だ。40年は、責任を持とう! 40年間の繁栄に責任を持とう! と、高らかに就任宣言をしている。
ARGAMAの原子力発電所は、TONTTUの1号機の110万KW以外は全て138,3万kwであり、総発電量は1,631万kwとなった。実に、570万世帯分をカバーできる発電量である。約1,500万人を賄える計算になる。東北・北海道の全域をカバーできる発電量となった。
核燃料サイクル施設で生産されるMOX燃料も使うことにより、燃料費を圧縮し発電コストを下げることが出来た。
ARGAMAは、IMAPEZの2基分を北海道専用とし、反対運動をする北海道を黙らせた。カーボンニュートラルもさることながら、化石燃料の高騰による火力発電に期待できない現状で、泊発電所の再稼働をしても足りない電力をARGAMAが補填する形だ。
北海道の必要とする電力は、500万kw~600万kwであり、水力発電を緊急用として十分賄えることに。
第2青函トンネルに、100万ボルトの送電線を4本遠し、北海道ー本州間の相互の電力補完に活用した。その気になれば、4基全ての電力を送電可能であった。
100万ボルトの送電線は、下北半島からも4本遠し東京までも送電することに。送電線は、可能な限り東北新幹線のトンネル内を利用し、雪などの自然災害の影響を排除している。
原子力発電所の総発電量は1,631万kwであるが、電力需要の落ちる夜間に水素製造に利用し、国内の車両の燃料とする他に、昼間の電力需要の多くなる時間帯に水素火力発電所を活動し、電力需要に応えていた。
安い電力を求めて、TOGUL市に中島飛行機、二宮飛行器、AUXXERRE。TWODA市には、世界最大規模の半導体工場が。HACH市には、LEXUSが進出していた。
正に「太陽を盗んだ男」と呼ぶに相応しい働きであったと言える。
相応しいと言えば、首相は国内の太陽光発電と風力発電を禁止した。100万kwの反応炉発電所と同等の発電量を得るには、太陽光発電で山手線内側と同じ面積が、風力発電に至っては山手線内側の3倍の面積が必要となれば、自然に左右されて安定しない供給量に鑑みても必要無しと判断された。
太陽光発電は発電パネル問題もあるが、CO2問題を考えれば、設置する土地があるならば、緑に戻すのが一番であった。
風力発電に関しては、首相が帰国して一番驚いたといい「なんじゃ!こりゃあ、白い墓標がいっぱい立ってるみたいじゃないか?」と嫌悪感を示していたので、太陽光発電と共に全て撤去された。
ある記者会見の場で、「原発よりも、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを促進するべきです!」と、ヒステリックに叫ぶ日本人女性記者に「昔、八甲田国立公園内に風力発電を立てる計画がありました。風力発電機の設置場所の国立公園認定を外してくれと申請されました。もちろん、潰しましたが、再生可能エネルギーなら何をやってもいいのか?再生可能エネルギーマフィアと呼ぶべきだろうね」と答えた。
アメリカの記者から「貴方は、太陽を盗んだ男と呼ばれてますが、どうお思いですか? ジュリーが演じた主人公の様に原爆を作り日本や世界を脅迫しますか? 」
「一説には、青函トンネルの試掘坑を利用した、竜飛岬の地下600mの核廃棄物最終処分場には、10発ほどの核弾頭が有ると言われていますが、そちらを使う意図がお有りでしょうか?」と核保有について聞いてきた。
これに対して、「日本国憲法第9条に反します!」などと先程の女性記者が叫ぶが
「日本国憲法については、日本で論議してください」と制し、
「アメリカの記者の方、ジュリーを引き合いに出していただいてありがとうございます。大変嬉く思いますが、ジュリーに勝るものがあるとすると身長だけでしょうか?」と日本語で笑顔で回答し、
今度は真顔で「 We are neither No.9 nor Side7. we love peace 」と完ぺきなキングスイングリッシュで回答し「 Shall we speak with an American accent? 」と、ジュリーに負けない笑顔を記者に向けた。
後書き
No.9は、核保有国として9番目*2のことを指します。一応、核保有を公表しているのは8か国ですので。Side7は、地球連邦から武力独立したあの国です。No.9にもSide7にもなりませんよと。
*1 2023年5月現在120万人割れてます。
*2 現在は、北朝鮮が9番目の核保有国なので、10番目ということになるでしょうか。
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