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1話「私の妹の口癖は『お姉様ばかりずるいわ!』です」


妹はいつも「お姉様ばかりずるいわ!」と言って私の物を奪っていく。


誕生日プレゼントも、生誕祭のプレゼントも、お祖父様が外国に行ったときのお土産も、学園で首席合格したときに貰った万年筆も……全て妹に奪われた。


両親は妹ばかり可愛がり「お姉さんなんだから我慢しなさい!」「お前には妹への思いやりがないのか!」と言って私を叱る。


妹は金髪ストレートヘアで、宝石のように輝く緑色の瞳と、白磁のように白くきめ細やかな肌の持ち主、目鼻立ちが整っていて天使のように愛らしい外見をしている。


対する私の髪は焦げ茶色でくせ毛、地味な煉瓦(れんが)色の瞳、不細工ではないが美人でもない、ありふれた容姿。


私には無関心な両親が、一つ下の妹ばかり可愛がる理由も分かる。


両親は私が生まれたとき私の髪と瞳の色を見て、がっかりして大きなため息をついたという。


私の煉瓦(れんが)色の瞳を「賢そうな瞳だ」と言って褒めて下さったのは、公爵家の当主であるお祖父様だけ。


両親に認められたくて、私は勉強や剣術や乗馬を頑張った。でも一番になっても両親が私を褒めてくれることはなかった。


両親からは「勉強で一番になった? それがどうした! 頭の良さをひけらかすな! 女は器量と愛嬌が大事だ!」「私の生んだ娘なのにどうしてそんなに見目が悪いのかしら? 妹のミアはあんなに美しいのに、私は頭が良い子より顔が良い子が欲しかったわ」と嫌味を言われた。


お祖父様と幼馴染のルード様だけは、私を褒めて下さった。私が頑張れたのはお二人のおかげです。



☆☆☆☆☆




「もうすぐお姉様の十六歳の誕生日ね。成人のお祝いだから、みんな今までよりも高価な物をプレゼントして下さるはずよね? 私、新しい髪飾りとブローチとイヤリングとネックレスが欲しかったの!」

 

エメラルドグリーンの瞳をキラキラさせながら妹が言った。


この国では十六歳で成人とみなされる。


誕生日の一カ月前からこれでは、当日が思いやられる。


「ビアンカはお姉さんなんだから当然妹のミアにプレゼントを譲るよな?」


「お姉さんなんだから、可愛い妹のミアのお願いを聞いてあげるわよね?」


両親は妹が私の物を奪っていくことを黙認している、いや黙認どころか肯定していた。


妹の部屋は私から奪ったドレスとアクセサリーで溢れかえり、妹は私の部屋まで「頂戴!」と言って奪っていった。


両親に「お姉さんなんだから我慢しなさい!」と言われ、私は今物置部屋に住んでいる。


このままだと今年のプレゼントも妹に横取りされてしまうわね。


妹に絶対に横取りされないプレゼントはないかしら?


そうだわあれなら……!


私は妹に絶対に奪われないプレゼントを思いついた、贈った人も贈られた人も幸せになれる物。


その上、妹と両親に一泡吹かせる物、こんな素敵な物他にはないわ!


妹と両親以外の人には嬉しい物。


妹と両親が気づいた時には手の届かないところにある物。


今年の誕生日プレゼントにはこれを贈ってもらいましょう。


貰う人間がプレゼントを指定するのは礼儀に反する、だけど今回はどうしても招待客の協力が必要だ。


協力を仰ぐため、私は領地に住んでいるお祖父様に手紙をしたためた。


「お姉様、お祖父様に手紙を書いてるの?」


お祖父様に手紙を書いた事を妹に知られてしまった。


「分かった、お祖父様にプレゼントの催促をするのね? いいわどんどんやって! お祖父様は公爵家の当主でお金持ちだし、お姉様に甘いから、お姉様が頼んだらどんな高価な物だって買って下さるわ! お姉様の物は私の物、せいぜい頑張って高い物をおねだりしてね!」


妹がニコニコと笑う。


私の書いた手紙には確かにプレゼントの事が書かれている。


お祖父様だけでなく、誕生日パーティーにご招待したお客様にも手紙をしたためた。


今年のプレゼントはある物にして下さいとお願いする為に。


「ミア、お祖父様は私が学業や剣術の試験で首席をとったときにのみ贈り物をくださるのであって、私を甘やかして何でも買って下さるわけではないのよ。それに誕生日や生誕祭の贈り物も私の身の丈にあった物を贈って下さっているわ」


お祖父様は努力をする人が好きだ。故に努力嫌いな妹も、怠け者の両親も、お祖父様に嫌われている。


「お祖父様は何をプレゼントして下さるのかしら? 楽しみ〜〜!」


私の話を最後まで聞かず妹はどこかに行ってしまった。


「私が望むプレゼントの中に、ミアの欲しい物は一つもないと思うけど」




読んで下さりありがとうございます!

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