3.街の観光1(酒場)
フリージアの街に見学に行きます。
見慣れない部屋で目が覚めた。
「知らない天井だ」…どこかで聞いたセリフを言ってみた。
あぁ、異世界だったな。いつ元の世界に戻れるんだろう?
俺がこんな気弱なことを言っているとホノカが不安になるな。
今は異世界を楽しもう。
昨夜に用意してもらってあった この世界の服装に着替えてみる。
多分、一般的な町民の服装なんだろう。俺のセンスじゃない 後でカメリアに俺の趣味に合った服装がないか聞いてみよう。
顔を洗ってからダイニングに行ってみると、もうホノカとカメリアが朝から楽しそうに話をしていた。
「タイキ遅い、 さて 揃ったから食べましょう。」
ホノカは、今日も元気だ。町娘のような恰好をしている、結構似合ってるんじゃないか?
朝から少し硬いパンに野菜のスープ、肉なんて入ってない きっと肉は高価なんだろう。だが、やはり味が薄い。
食後のハーブティーを飲んでいると町娘の格好をした女性が一人やってきた。
身長150くらいで髪と目は茶色、髪は肩のあたりで切り揃えらえている。
カメリアが女性に手招きをして自分の方に招いた。
「彼女はクレピスと言います。今日から、あなたたちの護衛と案内を務めてもらおうと思っています。」
「カメリアは一緒に街に行かないんですか?」ホノカが慌てて聞いた
「私は、魔法陣の完成を優先したいと思いますので、クレピスと街を楽しんでください。クレピスは剣も魔法も使えます。優秀な護衛ですので 安心して行って来てください。それにクレピスには魔力検知のスキルが有ります。魔力測定用の石板よりは、精度が落ちますが お二人の魔力の変動を観測してもらいます。年齢もホノカ様と同じですから仲良くしてあげてください。」
「カメリアまだ諦めていなかったのか?魔力が徐々に出て来るってことも有るのか?」俺は疑問に思った。
「今回の召喚は初めての事なので どういった状況になるか我々も見当がつかないんですよ」
カメリアの言うことももっともだ。
この世界に体が慣れてきたら何かが起きるかもわからない。
(魔法なんかが使えたら楽しいだろうな。)
とか考えていると、クレピスが自己紹介をしだした。
「私、クレピスと申します。タイキ様とホノカ様の安全を確保しつつ街を楽しんでいただく所存です」
敬礼でもしそうな勢いだ。固い 固すぎるぞクレピス!
この調子で異世界を楽しめるのか?
*****
魔法研究所を出てクレピスは先頭を歩いている、街まで歩いてそうかからないらしい。
「おい、お前ら今からエールを呑みに行くぞ、私の行きつけが有るんだ、うめーぞー びっくりするぞー」
「クレピス、どうでもいいが話口調を統一してくれないか?混乱する」
「カメリア様の前でこんな話し方できるわけないじゃないか、こっちが地だよ」
クレピスがニヤリと笑った。
「少なくとも俺たちの安全は確保してくれるんだろうな?」
「それは、任せてくれ カメリア様に言われているからな」
程なくクレピスの行きつけと言う場所に着いた。
カウンターが有りテーブル席も有るいわゆる酒場であろう。
酒場に入るなりクレピスが大きな声で注文をしだした
「おやじ、まずエール三つ はやくたのむ」
「ちょっと待った、エールは、一つで 何か果汁が有ればそれを二つ」
俺はとっさに注文を変更した。
「タイキ エールって何? 美味しいらしいけど? 私もエールが飲みたい」
ホノカが聞きなれないエールに興味を持ったみたいだったが
「エールってビールの一種だぞ!俺たちは果汁でいいだろ?」
「え?ビールなの?じゃ果汁の方がいいわね」
程なく運ばれてきたエールと果汁 早速、エールを呑みだしているクレピス
果汁は、紫色がしたグレープジュース風であった 少し飲んでみるとオレンジジュースの様な柑橘系の果汁の様だ だが、ぬるい 冷やしてはいない様だった。
まずくはないのだが、冷えているともっと美味しくなるだろうと思う。
「クレピス この果汁 冷やせないか?」ダメもとで聞いてみた
「冷やせるが、冷たい方がよいのか?じゃ『フリーズ』の魔法を使ってみよう」
「いや、『フリーズ』じゃなくて『クール』って魔法はないのか?」
「『クール』で良いのか?」と言いつつ果汁の入ったコップに人差し指を向けて『クール』と唱えるクレピス。
見た目は変わらないがコップを持ってみるとヒンヤリしている 飲んでみると冷たくて美味しくなっていた。改めて魔法は、有るんだと実感した。
ホノカもクレピスにお願いして冷やしてもらっている。
クレピスが真面目な顔をして自分のエールを見て何か考えているようだった。
意を決したようにエールに『クール』の魔法をかけてから 一口呑んで目を見開いていたと思ったら残りのエールを一気呑みした。
「プッハー エールは冷やすとこんなに美味くなるのか?」
コップを持つ手が震えてるが そんなに美味かったのだろうか?
「おやじぃ エールお代わりぃ」
届いたエールを早速 魔法で冷やすクレピス 顔がニヤニヤしてる
ずいぶん冷えたエールを気に入ってくれたようだ
「ところで、クレピス エールは、2杯ぐらいでやめて街の観光に連れて行ってくれないか?」
「あぁ そうだったな…… フリージアの街には伝説が有ってな 100年ほど前に勇者が魔王を冥界に幽閉した後に 当時何も無いこのフリージアの地に立ち寄り、勇者セイゴは剣を 聖女ヤエは杖を岩に突き刺して どちらかに立ち去ったと言う。その剣と杖の周りに村ができ街ができ発展して行ったと言う事だ。剣も杖もいまだ岩から抜けていない 1回銅貨1枚を徴収して客に抜かせるといったイベントをしていて、街の収入源になってるらしい」
「おぉ 面白そうだな。その剣と杖も見てみたいしぜひ行きたいな」
「タイキィ セイゴとヤエって父さんと母さんの名前と同じだね」
「そうだな、でも100年も前だし偶然だろう…なぁ?」
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