2.魔力は有りません
もちろん普通の日本人には魔力は有りません。
カメリアが口を開いた「魔力ですが…、0です、全然ありません、一かけらもありません、微塵もないです 二人ともです、どういうことですか!?」
おお、なんか怒ってる? そんなことこっちのせいじゃない!
今度は、穂華が口を開いた「異世界から人を召喚する前に、調査団とかを異世界に派遣しなかったんですか? 自分たちの思い込みだけで異世界人は勇者並みの力があるといった勘違いだけで私たちを召喚したんですか? 完成もしていない研究途中で異世界人を召喚したんですか? 私たちをしっかり元の世界に戻してくれるんでしょうね!?」
「うっ…興奮してしまい申し訳ございません」
カメリアが、謝罪をした。後説明をしだした。
「我々も異世界からの召喚と並行して派遣の魔法陣の研究をしていました。ですが派遣の魔法陣の方が後れを取っておりましてまだ完成していません。
100年前に勇者が魔王を弱体化し冥界に幽閉していましたが、しかしあろう事に先日、冥界より何者かの手によりその魔王を連れ出されたとの情報が入ってきました。 魔王が元の力を取り戻す前に捕まえ冥界に連れ戻そうと思いました。
それで…功を焦りました…完成したばかりの召喚の魔法陣を使った次第です。
やはり調査団を先に派遣するべきでした。 本当に申し訳ありません。」
そこでふと俺は思った
「異世界っていくつも有るんだろう?勇者の居る世界は、俺らの世界じゃないんじゃないのか?」
カメリアに疑問をぶつけてみた。
しかしカメリアの言うには、
「転生された歴代の勇者様達は、チキュウと言う異世界のニホンと言う国で暮らしていたと言う事がわかっていましたので、召喚のターゲットをニホンにしたのです。」
「俺の思うに、転生と召喚の違いだな 地球には魔法はないし並外れた身体能力を持っている者もいるが、そちらが希望するほどの力はないと思うよ? だが、転生の場合何らかな力が働いているんだろうな? まぁ、それを研究するのはそちらの仕事だ! それで、俺たちは、いつ元の場所に帰られる?」
「1か月以内には送り返せると思います。それまでは、この異世界を楽しんでください。もちろん最善の御もてなしをさせていただきます。」
カメリアは、好意的なようだ。
俺は、あまりにも好意的過ぎて気に食わない
「なぜもてなしてくれるんだ?このまま、監禁して魔法陣が完成したら元の世界に送り返してもいい、なんならこの異世界に追放しても そちらには、何も問題もないと思うんだが?」
カメリアが慌てて説明しだした
「今回の件は、こちらの不手際です。したがって元の世界に送り返すのは当然の行いですしおもてなしもさせて頂きます。それに…」
「それに?」
「…それに、今後現れるであろう勇者様に万が一この一件が耳に入ることになった場合、勇者様はどう感じるでしょう?同郷の民が無慈悲な扱いを受けていたとしたら…」
「まあ、良い印象は、持てないよな?最悪怒り狂うかもな?」
「はい そのような事の無い様、おもてなしもさせて頂き、確実に元の世界に返します。」
「なるほど」
「まぁ、なるべく早く確実に元の世界に戻れるよう頼むよ」
「元の世界では、1か月も行方不明ってことでしょ?」穂華は不満の様だ。
「慌てさせておかしなところに転移されても困るだろ?しっかり完成するまで待つしかないと思うぞ?」
「それもそうね、異世界を満喫するわ。カメリアさんお願いしますね」
穂華、お前切り替えが早すぎるだろ?
「それでは客室にご案内します。着いてきてください」
カメリアに言われるまま着いていくと
召喚された実験室は地下の様だった、階段を上がり2階まで案内された。
「タイキ様はこちらの部屋に、ホノカ様は、お隣の部屋を使ってください。 お荷物を置きましたらダイニングの方に行きましょう御食事のご用意が出きています。」
荷物たっていきなり連れて来られたので、俺は身に着けているものしかありません。
穂華は…スクールバックを持っているが大した物は入ってないよな?
部屋には何も置かず、そのままダイニングに着いていった。
食事は、野菜のスープと固いパン…食べれないこともないが味が薄い感じがする香辛料が少ないし塩気が足りない。
御もてなしをしてくれると言っていたので、これがこの世界の一般的な食事なのだろう? あまり食欲が出なかった。
食事が終わると、お茶が出てきた 何かハーブ的な飲み物だった。
そこで穂華が「学校で作ったのですが良かったら食べてください」
と言ってスクールバックからクッキーを出してきた。
それなりの味だ、店で売っているクッキーに比べると見劣りがするが。
「こんなに美味しい物は食べたことがない」
と言ってカメリアがいたく感激している。
気を良くした穂華は「これも学校で作ったアンパンなの」と言ってカメリアにアンパンを差し出した。
カメリアが恐る恐る口にしたが、一口食べた後カメリアが一瞬固まってしまった。
「柔らかい・甘い・美味しい~!」カメリアが絶叫している。
「私の世界のお店で売っているパンは、もっと何倍も美味しいですよ。 こっちの世界にも同じような材料が有れば作れると思いますよ?」と、穂華は言っているが?
ここで俺が一つ説明してやろう
「先ほど窓から街の風景が見えたが、中世ヨーロッパ時代って感じだったんだけどこの時代は、イースト菌や砂糖・塩が入手困難なはずですよね?入手できたとしても大変高価だと思いますが?いかがですかカメリアさん?」
「いえ、街の市場に行ったら。揃いますよ、確かに塩や砂糖は少し高額ですが」
「え?」俺は混乱した。
「大樹 それって私たちの世界の中世ヨーロッパ時代の事でしょ?ここは、異世界よ?中世ヨーロッパ時代に見えても私たちの世界とは違うと思うの」
確かに穂華の言う通りだ。
どや顔で言ってしまった…赤面物だ…
女子二人の方を見ると俺の発言はスルーの様だ、穂華がスマホを出してカメリアと二人で自撮りしている。
穂華 ナイス!どうやら話をそらしてくれたみたいだ。
また、カメリアが驚いている「魔道具なのですか?そちらの世界にも魔道具が有るのですか?」
『魔道具なのですか?そちらの世界にも魔道具が有るのですか?』動画も取っていたようで再生してカメリアに見せている穂華、お前カメリアが驚いている事を楽しんでいるだろう?
「俺たちの世界には、魔法はないが科学技術が発達しているんです。魔法で出来ることは似たことをほぼ科学で出来ると思います。多分魔法の方がすごいと思いますけどね」
間違ってないよな?まさか魔法も有り、科学技術も発達してるって事がありませんよね?
「科学技術とは?ふむ?聞いた事が有りませんね」
どうやら科学技術が未熟だという認識は正解の様だった。
その日は、スマホの事で話が盛り上がった。
今夜だけでずいぶんカメリアとの距離が近くなったと思う。
カメリアの年は18歳だと分かった、俺と同じとは思えない大人の色気が有る。
翌日は、フリージア街の見学に連れて行ってもらう約束をして就寝した。
魔力はないが、親父からたたみ込まれた体術と剣術はこの世界で通用するのか?