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マサキ・サカウエ

朝、里奈たちと一緒に昨日のところに行くと、クラスメイト全員が集まっていた。どうやら咲達が最後だったらしい。


最後だったため、注目を浴びたが、手が叩かれ、全員がゼファスの方を向いた。

最初の時もこうして欲しかったと言うのは贅沢だろうか。


「さて、全員集まったな。では昨日言った通り、ステータスを見してもらう。全員に見せるには、ステータスオープンと言ってくれればいい。ではまずそちらの少年から」


「はい!」


『ステータス』


===============================

名前: 斎藤祐正 レベル.1

性別:男

年齢:17歳

職業:剣士

HP.250/250

MP.50/50

筋力:500

体力:500

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

スキル:言語理解

称号:勇者・異世界者

===============================


おぉ、と感嘆の声が上がる。

その中咲は冷や汗をかいていた。職業が一つで、ステータスが低くスキルが少なかったからだ。感嘆の声が上がっているクラスメイト達はこのぐらいなのだろうか?


まだまだこれからだと、とりあえず自己暗示をかけることにした。


そう願いつつ、他のクラスメイトのをみていく。

そして、前の人が終わったところで、咲はもう少しではなく超が付くぐらい冷や汗をかいていた。


まさか全員が三桁が最高とは思うだろうか?五桁なんぞ化け物だ。



「次。」


遂に自分の番が来てしまったと咲は喉を鳴らす。

ガッチガチに緊張した足で前に進み、決死の覚悟で唱える。


「えー、と。ス、ステータスオープン」


咲の異常なまでのステータスが現れる。皆がどんな反応をするのか


怖い、と心の中でつぶやく。


恐れられたら立ち直れる気がしない。クラスメイトたちを見れなくて、目を強く閉じてしまう。

けれどいつまで経っても声が聞こえてこない。まるで無音の世界になってしまったかのよう。

気になった咲はギュッと閉じていた目を恐る恐る開けてみると




ゼファスたちが土下座していた。




「!?」


何をしていると叫びたい気持ちを抑えて、クラスメイトの方を見る。

クラスメイト達は口を大きく開けて呆然としていた。

里奈達も同じ反応をしていた。引きつった笑いが浮かんだが、とりあえず咲は、この状況を打開する方法を考えた。


「あ、あのゼファス様?」


咲が声を掛けるとハッとしたように顔を上げる。


「あぁ、本城様あなたこそが真の勇者だったんですね!」


今度こそ絶叫するかと思った。というか発狂しかけた。


――いや違うし!


心の中で絶叫したが、聞こえる筈もなく、ゼファスさんの側に居た人が止めるまでずっと拝んでいた。


「真とかいいんで勘弁してください!」


「ハンガー様。そろそろ…」


「ああ、すまんの。では次を行こう」


納得できない気持ちが残ったが、次の人を見る。隼人だった。


他の人が先ほどのショックから立ち直り、隼人のことを可哀想と囁いている。

咲は咲で自身が最強だったらどうしようと居た堪れない気分でいる。


俺TUEEEE展開は好きだが、勇者の中でも飛び抜けているステータスの所為で化け物認定は嫌だったのだ。

特にそういう烙印を受けているのが大半だから。

だが、自信満々に足を進め困惑している咲を見た隼人は、笑顔を見せた。


(その反応は期待してもいいのだろうか?私より強いだろうか?)


普通人はだれよりも上に立ちたいという欲があるのだが、今回に限っては願っていなかった。


「ステータスオープン!」


===============================

名前: 高田隼人 レベル.1

性別:男

年齢:18歳

職業:勇者

HP:5000/5000

MP:200/200

筋力:5000

体力:1000

耐性:1000

敏捷:1000

魔力:1000

スキル:エアーカッター・ファイア・ウォーター・ライト・シャドウ・言語理解

称号:勇者・異世界者・真の勇者

===============================


(凄い……!!)


咲の語彙力が貧相なのからさらに貧相になってしまったが、仕方がないだろう。

何せ、称号に真の勇者と記されている。そして、何よりステータスが、魔力と俊敏は咲よりも低いものの、全て1000以上あるのだから。

咲の心は歓喜で染まっていた。


(偏りがある私とは違い、これは満遍なくチートなステータス!凄い!凄い!)


満遍なくチートなステータスとは何だというツッコミを入れる人はいなかった。

他の人は先程咲のステータスを見たままの反応をしていた。

ゼファスはワナワナと震え、涙を流していた。咲がちょっとキモいと思ってしまったのは仕方ないだろう。おじさんが涙を流すのは誰も見たくない。


「おぉ、真の勇者よ……!」


恍惚とした表情で崇めている。隼人が居た堪れないと言いたげな顔をしていたが、誰も助けることはできなかった。

5分ほどで落ち着いたが、短いようで長いもの。咲は


「まさか1000年に一度の真の勇者様がいるとは…。」


咲もうんうんと同意する。


どうやら隼人で最後だったらしく、可哀想なことになる人はいなかった。


「では、これにてステータスについては終わりです。次は外にて鍛錬をしてもらいますが…まずこれを配りたいと思います。」


言い終わると何かが咲達に飛んでくる。スマホみたいな形をしているが、判断が難しい。

手に取ると、更にスマホに似ている。咲が観察しているとゼファスが説明を始めた。要約すると、こういう物らしい。


まず、これはスバーホと言う。スマホとはニュアンスが似ているが別物だった。これは遠く離れているものに連絡ができない。なので通信機器ではない。

分からない物体を調べられるというものだ。辞書みたいなものだろう。

電源はなく、魔力があるところでだったら使える。モンスターにも適応するようだ。使い方は単純で、かざしたら説明が出るらしい。一応なにもなくても調べられるけど、自身の魔力を使うからオススメはしないと。

連絡ができないのは不便ではあるが、知らない世界ですぐに調べられるのは神以外の何者でもない。咲が救いはあったとほっと息をつく。


「こうやるのかな…?」


試しにその辺にあった壺にかざす。ブォンという音と共に、


=====================================

壺:約100年前の壺。かなりの価値がある。

置くだけでHPが上がる。

=====================================


「おぉ!!」


思わず声を上げる。

簡潔に、だけれどよくわかる説明だ。咲は常備するものとして頭にチェックを入れた。

スバーホの価値がわかったので、制服の内ポケットに入れておく。


「ほほほ、早速使っている者もいるが、そこそこにして訓練場に行ってくれ。マップはスバーホの中にある。では入ってこい。」


上から目線な言葉にその場にいたクラスメイト全員がイラついたが、そんなことが吹っ飛ぶぐらい咲は少し浮き立っていた。

咲自身、魔法バトルを見るのが好きだった。だけど地球では実現不可能なので、妄想だけになっていた。

もしかしたら私もアニメ見たいにカッコよく戦って魔法を使って!と今も想像している。

咲がトリップしていると、里奈達が歩いてくる。


「咲あんためっちゃ強いじゃん!」


「まー。でも隼人よりは弱かったし。」


「でも魔力と俊敏は凄かったよねー。」


あははーと誤魔化し笑いを浮かべる。


「あれは職業が関係しているのだと思うよ。」


「………ねぇ前から気になってたんだけどなんで咲は高田のこと名前で呼ぶの?」


今まで黙ってた里奈が急に口を開いた。そして内容が唐突だ。咲は里奈の頭を心配した。失礼だという考えは遠くにやって。

無視するわけにもいかず、由紀子たちも黙る。

けれど実際は言うほどの理由もなかった。


「言っていなかったっけ?私と隼人は幼馴染なんだよ。」


「「「えぇ!?」」」


(あれ?そんなに驚く!?)


「私達中学生から一緒で隼人もいたよ!?」


「あーーー、ごめん。でもそれだけ?」


「うん、そうだけど…?」


むしろなにを疑っていたのか気になると咲は言いたい。愛花が大きく口を開けているのか、由紀子は何故同情的な目を遠くに向けてるのか、色々聞きたいことがある。そして里奈がブツブツと何かを言っているのに気がつく。


「高田と咲が付き合ってないなら私にもチャンスがある?でも高田があんなだと咲がどう思っていても私じゃ…。咲がいたから…?ブツブツ」


里奈は何かに取り憑かれているように延々と言っている。

咲達が様子を見ていると、ついに耐えきれなくなった愛花がストップをした。


「里奈すとーっぷ!」


「え?」


やっと周りに気付いたらしく、自分を見ている咲達を呆けて見ている。


「どうしたの?独り言を言っている里奈は怖かったよ。」


咲が茶化すようにいうと、早速由紀子が睨んだ。


「ちょっと咲、それは少しひどいと思うよ。…まあ、正しく伝えるのとしてないあっているけど。里奈、突然どうしたの?」


「大丈夫?どこか具合でも悪い?」


次々と里奈を気遣う言葉がかけられる。言われている里奈は、逆に戸惑った。


「え、ぁ、あ、大丈夫…。」


喘ぐようにいうと、先ほどの暗さが吹っ飛ぶ笑顔で「早く行こ」と走り出した。

咲はいつもと様子が違う里奈が、心配になった。

走ると、俊敏の効果か、あっという間に追いついた。むしろ抜きそうな様子だ。

隣で走り、再度確認をする。


「里奈、本当に大丈夫?」


「うん、心配してくれてありがとう。」


(ならいいのだけれど。)


心の中のモヤモヤしたものを振り切るように咲は走った。

訓練場に着くと、城の敷地がどれだけ広いのかよくわかる。咲達40人が余裕で走れるぐらいの広さがあった。何百メートルだろうか?奥行きが確認出来ない。

これがほんの一部分だなんて信じられない、と吃驚しつつ、クラスメイトの到着を待つ。

全員が集まると、マントを付ける騎士っぽい格好をした男が現れた。マントには何かの紋章が刺繍されてある。けれど男の姿を見た咲たち全員が息を飲んだ。日本人特有の黒目黒髪だったからだ。

しかし、その顔には何の感情がのせられてなく、上に立つ者の覇気が感じられた。

男は静かにけれどよく聞こえる声で話し始めた。


「よく集まってくれた。私はこの国、ハツウィナを支える騎士団長、『マサキ・サカウエ』だ。これから君達を鍛える事となるからよろしく頼む。」


『はい!よろしくお願いします!』


日本人の性なのか知らないが、元気に返事をする。

だが一応は返事をしたものの、咲はそれどころではなかった。


(この人が……!!)


ゼファスは言っていた。この国最強の《マサキ・サカウエ》を越えることができたらナンチャラと。

簡単だと思っていたが、意外と難しいらしい。理由は咲たちを試すのか知らないが、直後に重い『威圧』が乗せられたからだ。

咲の頰を冷や汗が伝う。

誰もが動けないでいると、突然今までの覇気がなくなり、豪快に笑ってプレッシャーを解いた。


「がハハハハハ!!すまんな、どれくらいの素質があるのか少し試したくなったもんで。」


皆がポカーンとなっていると、後ろから人が出てきて、苦笑しながら説明してくれた。


「実は団長は脳筋でして、強いものがいるか気になっていたのですよ。それで試そうってなって…。うちの団長がすみません。」


おいと団長が睨んでいたが、騎士らしき人はどこ吹く風だ。通常運転らしい。そんな団長をチラッと隼人が見たが騎士に習いスルーすることにしたようだ。


「い、いえいえ!僕たちが弱いので怯んでしまいましたが、鍛えてもらうので、こちらこそ動揺してしまって」


隼人が必死に言葉を探しているが見つからないみたいだ。何かフォローする言葉を言っている。そのなか空気を読めない団長は飽きたらしく、若い騎士の肩を叩いた。


「まぁそんなことより早く始めようや」


お前のせいだろ!とは誰も突っ込まなかったが目が語ってた。だって反対したら拳で語ることになるし!騎士なのに!そんな空気が騎士達を包んでいた。

初め恐れていたクラスメイト達は、同じ日本人なのに、と少しショック?を受けていた。


世の中力が全てだと感じた瞬間だった。

ステータスの表示を追加しました。

マサキの自己紹介の部分を修正。世界の名前から国の名前に変化。

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