第三百五十話
船旅というものは、とても退屈だ。
まず景色が変わらない。沿岸沿いを航行するのであれば日々の変化に心動かされることもありそうなものだが、大海原をえっちらおっちら進んでいれば、昨日も明日もそして今日も、同じ風景しか見えてこない。
まず三日で、気が長くとも十日もあれば確実に飽きる。残りの二百四十日程度は退屈との戦いであり、この期間を無為なものとしないためには下準備が欠かせない。
幸いなことに、我々はどこでも一人遊びのできる趣味の持ち主だ。エルフ工房魔導船出張所は、今日も代わり映えのない風景を映し出している。
机に向かうハイエルフ達。地べたにクッションを敷いて座り込み、テーブルでちくちくお裁縫をしている半分エルフ。同じくテーブルで魔法術式のお勉強をしているワタクシ。
エルフ組が夢中になっているここ最近のトレンドは雷だ。神の御業にも等しいこれを手中に収めるべく、年長二名は飽きることなく二人であれこれ言い合いながら、現象の解明に勤しんでいる。
(雷属性、みたいなものがあれば話は早かったのにね)
テーブルから顔を上げ、凝り固まった首を回し、エルフをチラリ。机上での理論構築から魔石と魔力を用いたミニチュアでの実践段階に早くも移行したらしく、先日いくつかの魔石を提供し、それを楽しそうに加工して遊んでいる。
しばらくは賑やかにワイワイやっていたが、今は大人しい。『どうせこれもダメだろうけど、一応試しておくか……』みたいな空気を漂わせながら、捻出した案を片っ端から潰している。とても楽しそうに。
正直デスクトップのミニチュアサイズでは視認できるような規模の放電現象なんて起こりようがないと思うのだが、あえて口にはしていない。
今日明日で実現できなければ死に至るというわけでもない。長命種は気が長いことだし、一足飛びに駆け上がって早々に答えに至ってもつまらないだろう。多方面から試行錯誤してみることは大事だと思う。
──達観して上から目線でいられるのは、片手間で遊んでいる最中に偶然、魔力で雷の再現に成功してしまったからだ。とてもじゃないけど口には出せない。
根を詰めてもよくないので適度に息を抜き、たまに横道に逸れながら、ゆったりとした日々を過ごす。
水白金の実用化という目的に一筋の光明が差したこともあり、実験実践改良のできる未来を待ち遠しく思いながら、次の目的に頭を使う。
流石に船で落雷騒ぎは許容できない。安全には細心の注意を払う必要があり、今の私はそれに対して十全に備えることができていない。
なので後回し。今は今できることをする。
「それで、今度は何を始めるおつもりで?」
「武器作り」
ちくちくと飽きもせずに大根の皮を加工しているリリウムと向かい合うようにしてテーブルに老朽化した浄化橙石を広げ、こねくり回して模型作りに励んでいる。
まだ伝導の再現には至れていないのだが、ガワだけでもまともな物を腰に下げておきたい。とりあえず不壊でありさえすればただの金属の棒で構わない。その造形を模索している。
「代わり映えしませんわね」
「そんなことないよ、全然違うよ」
「同じ物にしか見えませんが」
このお嬢は見る目がない、節穴もいいところだ。全く別物なのに。
「棒先は数ミリだけ太いし、地面を舐めないように長さは数センチ短くしてあるし、柄も握りやすいように楕円形にしてある。柄頭と棒の先端は凹ませて、刺突を受けやすいようにね──」
けん玉の中皿のように、突きを受けても滑らないように工夫するのはいい手だと思っていた。切れ込みを入れてよりガッチリ噛み取ってしまうのも面白いかもしれない。
お皿に横一文字の切れ込みを入れ、一本足して十字にする。《次元箱》から適当なナイフを取り出して、一人ちゃんばらをしてみる。
「余計に滑るね」
噛み合った時はいいが、皿の曲面で滑るとどこに飛んで行くか分からなくて却って危険かもしれない。ないないだな。
「はぁ……普通でよろしいのでは。変な細工をせずとも、サクラなら針でも弾き飛ばせるでしょう?」
「針は厳しいんじゃないかな。レイピアくらいなら何とでもなると思うけど」
見えていれば撃ち落とすことはできると思うが、高速で飛翔する大量の針を仮想相手に据えると分が悪く感じる。私の動体視力にも限度がある。
オリジナルの十手であればある程度は──いや、それを大人しく《防具》で受けるよう意識改革を進めなくてはならないのだ。
「いっそ細剣でも握ったらいかがですか? サクラなら針で針の先端を弾き飛ばせそうですし、修練だと思って。ねっ?」
「随分と推すね」
十手とトンファー、似たような形状の鈍器同士だ。お揃いですよ、お揃いっ! みたいな感じで執着してくるかと思いきや、レイピアへの転向を勧めてくる。
「だって、格好良いではありませんか。あの衣装のサクラが銀の細剣を佩いていれば……すごく似合います」
可愛い顔でうっとりされると私は弱い。格好良いと言われるのも悪い気はしない。ただ銀色という点がネックになる。
「真銀も割りと脆いからねぇ」
ヴァーリルでペトラちゃんの細剣を筆頭に、三人の武器は真銀とアダマンタイトの合金製にする案があったが、即却下した。
アクセサリーとして常用するには十分な強度を誇るマジカル金属の一つではあるのだが、武器や防具にするとなると躊躇いが脳裏をよぎる程度には、脆い。
合金にして色味を鉄に寄せれば大っぴらに腰に下げていても大して目立ちはしないと思うのだが、私の膂力でぶん回せば必ず近いうちに折れる。金属疲労に対して極端に弱いのが真銀という金属のままならないところだ。ある日いきなりポキリといくだろう。
ただの銀や鉄は言わずもがな。鉄は特に気難しいので、できれば相手をしたくない。サビるし。
そもそも私が武器に求めるものは身の守り易さであって、殺傷力は二の次三の次。レイピアでもサーベルでも棍棒でも、当たれば人は死ぬので何でもいい。顎パンチすることを考えれば、切っ先にはある程度平面が欲しいところか。
魔物相手はどうせ《浄化》を通すわけで、しばらくは十手かメロンパンの二択だ。
「あー……でもそうか。そうだね……」
あまり神力や浄化魔法ありきで考えているのもマズイ。素材目当てで普通に殺さなければならないことも今後はきっと増えるはず。
かといって霊体を触れないのは問題で、触りたかったら浄化術式を通す得物か、霊石配合の対お化け剣を作る必要がある。
殺すだけなら『黒いの』でもいいが、これは霊体を触れないし、デカいし目立つ。鞘も不壊化させなければならないのは大層手間だ。
仲間の目しかなければ気にすることもないのだが、他人の目を欺くために普段使いにできる代物が欲しいわけで。なら角型の十手でいいよね、って話に落ち着くんだけど──。
「細剣ねぇ……銀色?」
経験してみるのも、ありかもしれない。針や剣で顎パンチできないと決まったわけではない。決めつけてはいけない。
「騎士の剣は銀と相場が決まっておりますわ!」
「騎士じゃねーです」
張り子でいいなら作れなくはない。真銀を神器化できないと決まったわけでもない。
私の頭にはヴァーリル秘伝の合金データがそりゃあもうわんさか詰まっている。アダマンタイトの力を借りずとも、そのどれかが当たるかもしれない。
試してみないと分からない。今は試せない。ままならないね。
「姉さんは長柄を使わないのだな」
「好みじゃないんだよ」
キャッキャと姦しくリリウムの考えたかっこいい剣を作っていると、息を抜きにエルフが寄ってくる。
一人がお湯を受け取りに行き、一人がお茶の準備をし、四人で美味しく頂く。アルコールの量が心許ないせいで、お茶の消費がとにかく激しい。倹約しないと最後まで茶葉が保たないかもしれない。
「……短いのばっかり。サクラが槍を振れば負ける要素ないんだから、試してみればいいのに」
「槍は嫌いなの。知ってるでしょ?」
刃渡りは八十センチが限度だ。もっと短くてもいい。鎧を貫いて心臓を破壊するのに大した長さは必要ない。
ナックルガードにはワイヤーを巻いて、受けた剣を滑りにくくし、柄を突き抜けて柄頭での防御の保険とする。ガードはいっそ割り切って外し、リカッソに小さな輪っかを一つ。柄頭でも殴打できるように殺意を高め、剣身はカミソリのようにとにかく薄く、そこに意味のない装飾をあしらっていく。
「リーチが長ければ良いというわけでもありませんし、サクラなら取り回しの良さを活かした方が何かと都合がいいでしょう。どうせ足で突っ込んでいくのですから」
「でも、サクラが槍で突いてきたら……どうしようもないじゃない。剣より強いよ、絶対」
「この人の引きの速度は尋常ではありませんからね。当たり前のように突きにも捻りを加えていますし……これだけで天下無双を掲げるに不足はありません。その辺の武闘大会を総ナメにできますわ」
しない。出ない。でもよく見ているものだな。
私の戦闘スタイルは『常に構え続ける』だ。隙なく構え、即座に隙を突き、隙がなくても突いて隙を作り、突きを入れた瞬間には元の構えに戻っている。もうずっとこのスタイルを貫いてきた。
突いた後に余韻に浸る暇なんて刹那の一時も存在しない。その間に即座に構え直し、次の行動を決定する。突くより引く方が重要だと気づいたのは、いつの頃だったか。
槍と相性のいい戦い方をしていると言われるのも、それを推されるのも理解はできるのだが、こればかりは気乗りがしないのですっぱりと諦めて欲しい。
一メートルから先は、きっと制御が及ばない。殺してはいけないものまで殺してしまいそうな予感がする。
「術師への転向も考えていたんだけど……いっそ火弾特化剣とかにしちゃおうか」
これならリーチの短さも補える。ババババーッ! と撃ちまくってから突っ込めばいい。上手くいけば接敵する必要もない。楽ちんだ。
「それ、相手に剣先を向けっ放しにしなきゃダメだよ。かっこ悪くない?」
それは普段の私がカッコ悪いと言っているのかな?
「いけませんわね。それにサクラが飛び道具を用いるというのは……こう……釈然としないものがあります。ズルいです」
ズルくないし、私の大技がまさにその飛び道具な件について、どう思っているのか問いただしたいところだ。飛ぶというか、墜落してるだけだけど。
その前にそもそも見せていないな。あそこから見えただろうか。
「切っ先に限らず放出箇所は任意に設定できるが、別途杖を用意した方が効率的だな。このサイズの剣では術式による大きな威力増強は見込めまい。接敵は容易いのだ、浄化と同じように剣に纏った方が効果は高いと思うが」
ダメ出しの嵐だ。もしかして皆、役割が被るのを嫌がっているんだろうか。
剣はリューンと、飛び道具兼任近接担当はリリウムと、放出魔法はフロンと。ううむ。
「姉さんは……そうだな、割りと何でも器用にこなすからな……稀に己の存在意義を問いたくなることはある」
「サクラが前に出ると私の出る幕ないんだもん。いっそ結界に専念するのもありなんじゃない?」
「正直なところ、平時はフロンの守りに専念して頂けた方が安心できますわね」
普段腰に下げておく武器の草案を練っていたはずが、これをきっかけに各々が溜め込んでいたものが噴出しつつある。藪蛇だったか。
「姉さんの唯一性は結界と浄化にあるが、特筆すべきは結界の強度だ。四人で活動する上では、この強みを活かして貰った方が我々も何かとやりやすい」
「前にルナでイノシシワニ狩ったじゃない? あの時は楽しかったなぁ……ああいうのがいいよ、絶対っ!」
「索敵の精度も図抜けていますから。正直これだけで並みの二級冒険者数人分の価値がありますわ」
やりたいことと、できることと、求められていることが一致している人は幸せだ。
「索敵、消そうと思ってたんだけど──」
「ダメだよっ!」
「ダメですわっ!」
前衛ズがハモる。フロンも言葉を続ける。
「賛同はしかねる。無理強いはしないが……外向きの理由は必要だろう。あいつらが数年後にはまた合流してくるかもしれんのだぞ? 放出魔法を使いたいが為に索敵術式を消しました──というのはあまり賢い理由には思えないな。既に姉さんの索敵精度は知られているのだから」
我を通すこともできる。ワガママ言ってもいい。しかしながら、人の中で生きたいのであれば──。
「──まぁ、そうねぇ」
時に妥協し、協調しようとする努力を怠ってはいけない。
急遽作戦会議が執り行われる。名付けて『サクラちゃんの育成方針相談会~優秀な後衛を目指すには~』
「つってもまぁ、増やせる術式にも限度があるんだよ」
日々浄化に魔石いじりにとで魔力は枯渇ギリギリまで使い倒して睡眠で超回復させるというルーチンを組んでいるため、格も器もそれなりに育ってはいる。
だが最近鑑定を増やしてしまった。これを消す理由はない。マスターピースが増えてしまったお陰で、魂の空きスペースに余裕はそれほど残っていない。転移術式の実装はいつになるやら。
気を取り直して、手元の紙に所有術式を記していく。
足場魔法、浄化、鑑定の三種は技法に関わる重要な術式なので消す手はない。
二種の魔力身体強化は身体強化の五種掛けに繋がることもあるが、これがないと私は並みの気力マンとそれほど膂力が変わらない上に、十手で近当てができなくなる。気力のみでは鍛冶作業も難しい。絶対ヘバる。
変形と変質は神器や魔導具を作る上で必須。水生成は別になくてもいいが、急いで消したいと思うほど邪魔ではない。別にずっと身につけたままでもいいし、理由があれば消してもいい。杖が二本も無駄になるけれども。
索敵はろくすっぽ使っていないのだが、偽装のためだけに身につけている。唯一贅肉扱いできるのがここだが、これを捨てるなんてとんでもない! という意見が多数派だということが今判明した。
「……これのどこが法術師なの、って思うよね」
「結界師にも見えませんわね」
「技師と称するにもチグハグだな。姉さんらしくはあるが」
私はゴリラだ。学名サクラ・サクラ・サクラ。またの名を森の賢者。賢者? 賢者。
圧倒的な威力の打突を叩き込むことだけを生き甲斐にここまで己を磨いてきた、生粋の脳筋だ。今後もここを伸ばしていきたいという気持ちが強いのだが、現状特に案があるわけではない。至近距離で火弾を破裂させてみるとかそれっぽいんだけど、近当ての起爆点がズレそうだな。
「結界師としての体面を整えるのであれば、まず魔力障壁を刻んでおくべきだろうな。戦闘能力を無視したところで、それだけで一級を名乗るのに不足はなくなる。後ろに引っ込んでいたところで非難されることはない」
「あぁ、その問題もあったか……要るねぇ」
足場魔法は物理障壁だ。強靭な踏み込みや剣戟の一つや二つは余裕で防ぐ一方、魔力由来のあれこれは普通にスルーする。
外で魔法攻撃を受ける機会が少ないので失念しつつあるが、普通の結界師として今の私は半人前だ。《結界》を使えばそりゃあ、ある程度なんでも防げるんだけど。
「じゃあ、まずはそれだね。となるとあとは……サクラ、ちょっと服脱いで」
「……エッチ」
か弱そうに身をよじってみる。ガルデであんだけやったんだから我慢して欲しい。
「ち、違うよっ! スペースの空きを見るのっ! いつもやってるでしょ!?」
「はいはい」
「んもぅ……」
牛かな。食べたいんだろうか。私はもうお腹いっぱいだ。五千年分は食べた。
上着を脱ぎシャツを脱ぎ、ブラも外して胸を突き出す。そこをぺたぺたと触りだすリューンちゃん。ついでにフロンも、おまけにリリウムまで揉んできた。揉まずとも良いのだぞ。そこに入っているわけではないのだから。
「これ、どこが空きになるのですか?」
「あぁ、まず領域がだな────そして現時点で刻まれている術式がここから──これと、ここまでで──」
お勉強会が始まってしまった。気分は人体模型。既に時季は初夏の頃合い、別に寒くはないとはいえ……まぁ、いいけど。
「魔力障壁を刻むくらいならすぐにでもいけるんじゃない? 偽装第一に考えれば……やっぱり壁型かなぁ」
「全周囲展開型も使い勝手は良さそうだが、姉さんは形を自在に変えるわけだからな……。術式隠蔽を外していたところで、外から最奥に位置する術式の形状を解析することは難しい。領域の消費と天秤に掛ければ壁が無難だろう」
胸を触りながらあまり壁壁言わないで欲しい。きちんとあるわ。君らよりも。
「いっそさ、足場魔法を消して……統合しちゃわない? 今後結界を使わないで生きていくとか、ないでしょ」
変なエルフが怖いことを言い出した。一時でも足場魔法を失うというのは割りとガチ目の死活問題だ。《結界》がアカンことになる。超怖い。
せっかくいい感じに魂に馴染んで……もいないな。ここ数年ほとんど使っていないから、消そうと思えば十分に消せるまでになっている。馴染むは難し、薄めるは易し。
「抱き合わせを認めてくれれば確かに省スペース化が可能になる。壁型と全周囲展開型を物理魔力両障壁に適用させるように組めば、神力を使うまでもない状況にも魔力で対応ができる。いい案だとは思うぞ」
結界は割りと特殊な部類の魔法で、インプットしてある特定の形状でしかアウトプットできない。浄化ビームを手元で蓄えられるように、みたいな手軽な改変は難しく、まず形状ありきで術式を構築し始める必要がある。
私の足場魔法は相似形でサイズを変更することこそできるが、どこまで行っても板でしかない。
自分のみを守る全周囲展開型の物理障壁を、他人の足場にする──なんてことはできないのだ。球体を許容できれば別だけど。
だが複数の術式を併用することで幅広く対応することはできるし、その術式を統合することもできる。その分魂の専有スペースは余計に要求されるのだが、統合にはメリットもある。
使用頻度が低いものを固めておけば術式を維持する手間が省けるとか、アウトプットする際の変更記述を共通化できたり、なんてものは最たるもの。
フロンの力量をもってすれば、物理魔力の全周囲展開型と壁型の四種を効率よく合一させて設計することなど容易いことと思う。私にも理解できる難度の問題なのだから。賢者ですし。
難点があるとすれば、仮に魔力壁の側が不要になった際、ここだけを部分的に取り除くことができないことか。あと術式が肥大化することで若干燃費も悪くなるはず。
だけどまぁ、悪くない。放出魔法をバンバン飛ばさないのであれば、身体強化を全力で使い続けないのであれば、自浄の必要がなくなれば、魔力なんて使わないも同然レベルでダダ余りする。昔抱えていた魔力の総量という問題は、日々の修練によって一定の解決を見せている。今ならいける。
それでパーティの潤滑役として務めることができるなら……まぁ、いいんじゃなかろうか。剣を下げるなとも、身体強化を消せと言われているわけでもないのだし。
「後は実際に構築してからの話になるが……いくつか有用そうな術法は、あるな」
「あるねぇ。いっぱいあるねぇ……サクラを自分色に染めるのは、楽しいねぇ……!」
「これだから……困ったものですね」
やれやれと頭を振るのは結構なのだが、その前に胸から手を離したまへ。
そんなに小さいのが珍しいか。興味深いのか。喧嘩売ってんのか。泣くぞ。