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慎重に行動しなくてはならない。ロンはそう言って普段通りの、いや、いつもよりも小奇麗な格好で街へやってきていた。
「…なんか気合入れてるっぽくて目立たない?」
「怪しい人間が怪しい格好をしている方が目立ちますよ。こういうのは堂々としている方が見向きもされないんです」
「そういうものなのかねェ…」
否が応でも目立っていたミーティアにとってはあまり想像できない。ロンは古い正装を引っ張り出して、少し帽子を深めにかぶり、革靴をコツコツと鳴らしながら通りをさっそうと歩く。
「いや、目立ってるでしょ」
間違いなく目の前を過ぎたあとに目で追ってくる店娘はちらほらいた。
「怪しくはないでしょ」
ロンは平静を崩さない。
「…もしかして……ちょっとだけ見られたい願望があったりする?」
「……いいですか、我々が今後活動するには街に協力者が必要です」
いきなり話題を変えた。
「あの骨董品店の女の子が、おそらく今、我々が知りうる中で最も協力してくれる可能性のある子です」
「はァーそのカッコはつまり、口説くための勝負服なの」
「そんなわけ無いでしょ!?」
ロンは目元が見えなくてもわかるほど赤くなっていた。
「いや、冗談…」
「女の人ってすぐそういう話に方向に持っていきたがりますね!」
正面を向いたまま膨れ面でずんずん先に進んでいくロン。
「男っていっつも女の人を落とせるか落とせないかしか考えてないじゃない!」
ロンを直接すり抜けて前を塞ぐミーティア。
「心外です!」
「心外よ!」
睨み合ったロンはハッとあたりを見渡した。道行く人がそれに合わせて顔をそむけ、足早に立ち去っていく。道は狭いのにロンの周りだけ広々としていた。
「よかったね、目立ってないみたいよ」
(いや、超目立ちました…)
肩を落とし、先ほどとは打って変わってしょげしょげと静かに通りを抜けて路地の方に入っていった。街はまた、いつもの雑音で埋められていく。
女店主のアンティークショップの前に着くと、再度ミーティアが訪ねてくる。
「で、結局、ここの人がワタシに協力してくれるって理由はどこにあるの?」
「そうですね、それを説明しなくては」
ロンは姿勢を正してミーティアに向かい合った。




