第46話:先輩の戦い
新章始まりました。
今回から、あとがきで登場人物の情報を順に公開していきます。
あれです。履歴書風です。
ですが、ちゃんと検閲はしますので情報は制限されています。
それすらも嫌だと言う方はあとがきは読み飛ばしてください。
武装をしていない無数のゴブリンたち。
魔王軍の疑いはなく、137体も数が居るが全てを倒すことはそう難しくはなさそうだ。
そんな数が多いだけのゴブリンを見て、ニコラウスは言う。
「僕……あ、俺たちの事を深く知ってもらうためにも、ここは僕たちの戦いを披露させてもらうよ」
「あ? いらねぇよんなもん。俺たちも戦わせてもらう」
体を動かしたくて仕方がないレオはニコラウスの言葉を拒絶する。
ただ、ニコラウスは噛み付くように絡んでくるレオににこやかな笑みを返し、優しい調子で言い聞かせる。
「うん。その気持ちは嬉しいよ。でもね、僕たちも……あ、俺たちも自分たちの有用性を示さなきゃならないからね。こればかりは譲れないよ」
「ハッ! それならこっちだって同じだ。俺たちも俺たちの有用性を示すために戦う。つーか何なんだよお前。自分の事を僕って言ったり俺って言ったり、キャラでも作ってんのか? 気持ち悪ぃな」
同感だ。ニコラウスは気持ち悪い。
レオが言ったように1人称が僕だったり俺だったりするし、爽やかイケメンを気取った態度だし、名前が顔に合ってないし。
全部を踏まえて気持ち悪い。
いいぞ。もっと言ってやれ。
「ちょっとあんた! 何てこと言うの!」
レオの言葉にニコラウスは少しだけショックを受けたような表情になり、そんなニコラウスの様子を見たホノカが起こりながらレオの胸ぐらを掴んだ。
「あんた、ニコラにこれ以上ひどい事を言うなら容赦しないわよ。すぐにでもその首を切り落としてあげる」
「やってみろよ」
「このっ!」
右手でレオの胸ぐらを掴んだまま、ホノカは腰に据えた剣を抜き取ろうと空いた左手を剣へと伸ばす。
だが、そんなホノカの剣を取ろうとした手をニコラウスは掴み、ニッコリと微笑む。
「そこまで。ぼ……俺は大丈夫だから」
「で、でもっ!」
「いいからいいから」
なだめられ、ホノカは顔を赤くしながらレオを離す。
それを確認してニコラウスが「うん」と頷く。
「じゃあこうしようか。僕たちがメインになって戦うから君たちは僕たちの取りこぼしたやつを倒してくれ」
「やだね。逆にしろ」
「もう一度言うけどそれは聞けないお願いだ。なにせ僕たちは君たちの先輩候補勇者だからね。先輩らしい事をしなきゃならない」
「あ? なにが先輩だよ笑わせんな」
いつもの犬歯をむき出しにした獰猛な笑みではなく、本格的にイラついた様子でレオが眉間にしわを寄せてニコラウスに噛みつき続ける。
「ぼ……俺たちは先輩だよ。君たちの先輩だ。なにせ、僕は2年前に旅立った候補勇者だからね。2期先輩なんだ」
「ハッ! んなもんあれだろ? 安全に楔国から出発したやつだろ? 俺たちは違うね。俺たちは革命未遂事件を乗り越えたんだ。つまり俺たちの方が強い」
どうだ! なんてドヤ顔で言うレオだけど、こいつあれだな。
自分がなにを話しているか自分で理解できていないな。
話の軸がちょっとずつだけど逸れてきてるぞ。
つーか、お前ら少しは声を抑えて話せよ。
そうじゃねぇと……
「あ、あの! 皆さん! その……ゴブリンが!」
ちょっとだけ挙動不審にポーラが開けた場所にいるゴブリンたちを指差す。
その先では騒ぐ俺たちの存在にゴブリンが順に気づき始めていて、中には俺たちを指差しながらよく分からない雄叫びをあげ始める個体もいた。
まぁ、案の定って感じだな。
「みんな!いつも通りので行くよ!」
そう言いながら、ニコラウスは肩にかけていた銃を構える。
すると、ホノカとバクとキャロルはニコラウスと同じように肩にかけていた銃を構え、バクだけがすぐさま引き金を引いた。
ばしゅん! とかいう少しマヌケな音が小さく響き、次の瞬間に開けた場所から複雑な森の中へと逃げようとしていたゴブリンが一体、「グエッ」と声を漏らし、頭から茶褐色血を滴らせながら倒れた。
それを皮切りに、他のゴブリンたちがわかりやすく動揺する。
どの個体も頭を抱えて唸ったり、地面に寝転がって死んだふりをしたり、中には倒れたゴブリンと同じように森の中に隠れようとする個体もいた。
ただ、開けた場所から複雑に木が生える森の中へ逃げようとする個体が現れるたび、ニコラウスたちはその個体を森に入る直前で的確に撃ち殺していた。
ニコラウスたち先輩候補勇者の戦いは圧巻だとしか言いようがない。
なにせ、4人で同じ場所から銃を用いて攻撃している彼らは、言葉でコミュニケーションをとっているわけではなく、ただ無言で撃ち続けているだけで、それなのに、誰一人として同じ個体を撃つことはない。
さらに言えば、4人とも引き金を引いたときは確実に狙った敵を一発で仕留めている。
それらは4人の連携が完璧にとれている証拠であり、4人の技術というか、腕が確かである証拠だ。
惑い、騒ぎはするものの、全くもって逃げることができないゴブリンたち。
逃げようとすれば殺され、逃げずにいても周りの仲間が死ぬことで恐怖が襲いかかってくる。
そんな状況に陥り、ただただ叫ぶしかできないゴブリンたちをニコラウスたちは次々と殺していく。
12発撃つごとに弾を補充するのだが、そのタイミングすらも4人がそれぞれバラバラで、まるで隙を見せないようにしているようだ。
そのうち、逃げようとしたら殺されるのだと気づいたゴブリンたちは逃げることを諦め、その場で怯えて蹲り始める。
多分、少しでも敵に晒す面積を減らして安全を確保しようと思っていたんだろう。
けれど、そんなゴブリンたちの頑張りは無駄に終わる。
逃げるゴブリンがいなくなると、ニコラウスたちはより森に近い側にいる個体から順に撃ち殺し始めた。
キャロルとホノカが手前の方、ニコラウスとバクが奥側の方。
そういった分担で、蹲るゴブリンを次々に撃ち抜いていく。
レオはそんな先輩方の戦いを唖然とした様子で見守っていた。
お前の気持ちはわかるぞレオ。
俺も多分似たような事を考えてる。
こんなのは勇者の戦いかたじゃないってな。
俺たち第35期の米国代表候補勇者が見守る中、2期先輩のニコラウスたちは俺たちの手を借りることなく、無事に137体全てのゴブリンを撃ち殺した。
「ふぅ……どうかな?」
銃を肩に担ぎ、少しだけやってやったぞって感じの顔でニコラウスが聞いてくる。
その爽やかドヤ顔笑顔は腹立たしいけど、正直すごいとしか言いようがなかった。
だから俺は素直にそれを伝えた。
「スゲェな」
「ふふーん! でしょ!」
ホノカは嬉しそうにピースサインをしながらニカッと笑う。
そんなホノカに駆け寄り、カレンやポーラは「本当にすごかったわ」とか「さすがです」とか声をかける。
前のシロの時と同様の女子特有の初対面の馴れ合いって奴だろ。
はいはい。仲良くやっててください。
キャピキャピと騒ぐ女子勢を冷めた目で見ていると、唐突に「ふざけんなよ!」というレオの怒鳴り声が耳に届いてきた。
怒鳴り声のした方を見ると、レオが自分よりも背の高いニコラウスに掴みかかっていた。
「ど、どうしたんだいレオくん?」
「こんなの……」
声を震わせるレオ。
その源泉に怒りの感情があるのは容易に悟れる。
「こんなの?」
優しく「どうしたの?」なんていうニコラウスに、レオは今まで見たことがないような形相で言い放った。
その形相はまさしく、悪魔と呼ぶに相応しかった。
両目を見開き、歯を食いしばり、頬を引くつかせ、頬に促されるように瞼が震える。
「こんなの勇者の戦いかたじゃねぇ!」
レオの言葉にニコラウスは少しだけ目を見開くが、すぐに常態である柔和な笑みを顔に戻した。
そして、優しい調子のまま「ははは」と困ったように笑い、ニコラウスは再びレオを説得するような声音でいった。
「これが僕のたどり着いた答えだ」
レオの思想は正しいが、それが全てじゃないんだぞ。
まるでそう訴えかけているようだった。
「んだよそれ……分かんねぇよ」
もっと分かりやすく言えよと怒鳴りながら掴みかかってくるレオの肩をニコラウスは突き飛ばした。
突き飛ばし、掴みかかってくるレオを突き放した。
つい尻餅をついてしまうレオを笑顔で見下しながら、ニコラウスは人差し指を1本だけ立てて演説をするような調子で声を不必要に張り上げる。
「さて。じゃあここで1つ昔話をしようか。僕……俺たちが門出の儀の時とは違う仲間で旅をしている理由を語る昔話だ」
たったそれだけの出だしで、俺はもうこれ以上この話を聞きたくはないと思った。
だってそうだろう?
門出の儀の時とは違う仲間で旅をしているということ。
それはつまり…………な? 想像しただけで嫌になるだろ?
そういうことだ。
【プロフィールファイル(1)】
【名前】西園啓太
【年齢】16歳
【身長】167センチ
【出身国】米国
【職業】候補勇者 魔法使い役
【趣味】祖父や両親の影響で読書
【特技】なし
【チャームポイント】なし
【将来の夢】××××こと
【勇者ルールに一言】俺は×××××の××を知っている。それは、××××を×××に×××××だ。表では××××の為の×××とか言っているが、そんなものは目的にしていない。ただ××××として××××を××××、××××とわかりきっている相手に×××××××××。それが×××××だ。ただ××××を送り出して××を×××としているんだと思い込む為だけの×××な××だ。俺たちは××××じゃない。××な××だ。××の為の××だ。
検閲済 勇者認定課 勇者ルール管理担当 綾瀬優香




