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世界再編と犠牲の勇者譚  作者: 人生依存
或る魔法使いの物語 第4章 LasVegas編

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第37話:米国基幹都市-Las Vegas-

 黒を基調とした軍服を身につけた二人の門番に、レオが「俺たちは米国の候補勇者だ。中に入れてくれ」というと、門番は嬉しそうに「お待ちしておりました」といい、素早く街の長の承認を受け取りに行って俺たちを塀の中へと入れてくれた。


 そして、足を踏み入れた街の中で俺たちは絶句する。


「な、なんだよこれ」


「す、すごい。私たちの街とは大違いで…」


「建物が大きいです」


「どの建物も塀と同じくらいの高さがあるんじゃねぇか?」


 俺たちは眼前に広がる見慣れない光景に目を見開きながら、レオ、カレン、ポーラ、俺の順で感嘆と驚愕の声を零した。


 そう。それほどまでに、俺たちの見た光景は…基幹都市ラスベガスの街並みは異様だったのだ。


 

 街の中に足を踏み入れた俺たちの視界に入ってきたのは、おびただしい量の建物。

 建物はどれもこれもが塀と同じほどの高さを誇っており、それらすべては俺たちの故郷であるオリジンとは違って鉄やらコンクリートやらで造られており、上から塀と同じ黒色で塗装されている。まぁ、鉄やらコンクリートとは言っているがあくまでも見た感じでの判断だ。実際にどうなのかはわからない。


 ちなみに、俺たちの故郷であるオリジンの建物は基本的に木造建造物ばかりだ。一部ではレンガ建造が集中しているが、それ以外のエリアでのレンガ建造物は珍しかった。

 確か、今の人類の技術的に木造建造物を作るのが現実的でレンガはかなり難しいとか聞いた事がある。

 

 でも、だとしたらラスベガスの建物はどうやって造ってんだ?

 素材だけじゃなくて高さも尋常じゃないだろ……。


 さらに驚きなのは、建物と建物の間にはほとんどと言っていいほど隙間がなく、その隙間は5センチもない。

 本当、どうやって造ってるんだか。

 しかも、それが街の奥の方までずっと立ち並んでる。

 もう何がなんだかだな。


 オリジンと同様、ラスベガスには街の入り口から街の中央部にかけて、大きな一本道が続いている。

 だが、恐ろしい事に入り口から見える限りではこの街に道と呼べるような道はその大きな一本道しかない。

 多分探せばあるんだろうけど、俺たちが視認できる限りでは無限に続くような長く広い幅の一本道に沿うように、巨大な建物がひたすら機械的に建てられているだけの街並みで、横道とかそういうのは全然見当たらない。


 無機質で機械的な。

 言ってしまえば生活感がないと言うか、人が生きているとは思えないような街並みだった。


「これが……基幹都市…ラスベガス」


「ええ。そうです」


 塀の外側にいた門番のうち一人は俺たちを塀の内側へと先導した。

 そして、その門番が今、俺の言葉に自慢げに返答をした。


「このデケェ建物たちはなんなんだ?」


「民家です」


 震える様子のレオの質問に門番はすぐさま返答をして「どうです?」と付け足す。

 門番はドヤ顔をしているが、かなり細身で長身なことと、声の調子がかなり穏やかであるからなのかあまりムカつかない。まぁ、たれ目なのとかドヤ顔がぎこちないのとかも理由だろうけどな。


「どうって…こういう家にはどういう奴らが住むんだ?」


 レオの質問の意図というか、どうしてレオがこんなことを聞いたのかはなんとなくわかる。

 なにせ、オリジンで過ごしていた俺たちからすれば目の前に立ち並ぶ建物は民家と呼ぶにはあまりにも巨大で、なんというか、あまりにも文明を超越しすぎているように感じられる。

 だから、そんなにすごい建物なんだからそれなりの人物が住んでいるのだろうと考えるのが普通だ。

 故に、レオはどんな人たちが住む家なのかと聞いた。


 そんなレオの質問に門番は少しだけ驚いた表情をした後、小さく笑った。

 そして、またもやドヤ顔で門番は言う。


「何を言っておられるのですか。これは通常市民の家ですよ」


「「…は?」」


 俺とレオの声が重なる。


「でも…でも、この民家? はとても大きいじゃないですか。こんなに大きなお家を一般市民の方が使えるのですか?」


 ポーラの言葉を聞き、門番はそういうことですかと呟いて黒色の巨大建造物のうちの手近な位置にある一つを指差した。


「これらの建物にはたくさんの窓が見えますよね?」


「は、はい」


「実は、いまわたくし共の目に映るこれらの建物すべては窓の数と同じだけの部屋があるんです」


「「「「え”」」」」


 思わず、俺たちは濁ったような声で「え」と聞き返しの言葉を言ってしまった。


「すべての部屋にそれぞれ別の家族が暮らしているんですよ」


「「「「え”」」」」


「そうじゃないと、どうしてもやっていけないんですよ」


 と、そんな門番の言葉を聞いて俺はなるほどなと思った。

 なにせ……


「そうでもして街の民の家を作らないとこの狭い塀の中に人間が収まりきりませんからね。なにせ…」


 この基幹都市まちは…


「なにせこの街は全世界で生き残っている人類のおよそ2割もの人々が生活をしているわけですからね」


 そう。この街は…基幹都市ラスベガスは、全人類の2割に相当する2900万人が暮らしている過剰人口都市なのだから。


 それ故に、この街が米国の基幹都市となっているのだろう。

 それ故に、米国の王城は基幹都市ではなくより小人口の街であるオリジンに存在しているのだろう。


 見たことない世界に驚き続けている俺たちを見て、門番は嬉しそうな表情で「それよりも」と口を開く。


「長が皆様をお待ちしております。すぐに街の中央にある長のやかたへと向かいましょう」


 そう言って歩き出した門番の背を俺たちは追う。

 黒を基調として青を味として刺してある軍服に身を包み、銃剣を肩に担ぐ門番。

 その後ろを、ボロボロな服を身につけた俺たち候補勇者が付いて歩く。


 多分、何も知らない人間が見たら警察が泥棒を捕まえたって構図に見えるだろうな。




 ………そういえば、シロは街の一番偉い人を管理人って言ってたのにどうして門番は街の長って言ってたのだろうか。

 何か理由があるのか?

 ……まぁ、多分気のせいだろう。


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