覇王ジャックの孫03
「もうじき戦闘開始だ。それまでに新人戦の特殊ルールを叩き込んでやるから、よく聞いておけ」
「はい! 先生!」
…………いつから、俺はこいつの先生になったのだろうか。さっきまでの口ぶりからすると、こいつはジャッカルの生徒に対して、苦手意識の欠片もないどころか尊敬の念すら感じられた。それが逆にムシャクシャとさせられる。
「まず、『一緒に行動できるのは2人まで』というのが大前提だ。国王に決められたコンビを勝手に解散することは許されていない。もし仮に別の味方チームと鉢合わせてしまった場合は、すぐに90度以上別の方角へと別れなければならない」
「ほうほう」
「ただし、戦闘中の局面に出くわした場合、味方チームの援護をすることが可能になっている。その後、敵チームを殲滅して2人以下になっていた場合は、そのままコンビとして行動することが可能だ。偶然1人同士の味方が鉢合わせた場合も、合流して構わない」
「えっと……つまり、君が戦闘不能になったら、ほかの子探していいってこと?」
こいつは……俺を煽っているのか? やはりほかの奴と同じで、才能に溢れたジャックの主席だからと、当たり前のように優越感を持っているのか? だからさっきも余裕ぶって俺を褒めたりなんかしたのか?
「俺は死なないよ。仮に俺が死ぬとしても、それはお前を看取った後だ」
「えー……なんか重いです。ジャッカルの生徒って変わってるんだね……」
「この…………っはぁ、戦闘スタートだ」
俺がブチギレかけた寸前に、開戦のブザーが鳴り、それに合わせてロールテーブルとサイコロが2セット出現した。ジャックの生徒であればなんの不思議もないが、やはりこいつも16面か。
「「ウエポンズセレクト」」
俺の結果よりこいつの出目が気になり横目でチェックしたが、サイコロが示したのは1という最低ランクの数字だった。まぁ、そう簡単にジャックポットが出るわけもないか。いくら1/4とはいえ、75%の確率で外れるのだから。
「うがー! 幸先悪いー! うぅー……君のは?」
「4だな」
「え!? 君4貰ってるの!? 私なんて1と2しか貰ってないのに!! しかも1のが多い!!」
「うちの所長が融通利かせるよう国王に助言でもしたんだろう。そうでもなければあの国王が、今回の最大数である4を俺に付与するわけがない。それより、向かう方向は……」
ここはガララバス森林のA地区南東……マップ全体としては左上の位置か。なにも考えなければ東か南のどちらかに進むのがベターだが……メ国の戦術を考えれば、真っ先に中央のE地区へ向かって人員を集めるだろう。となると、それを阻止すべく動くなら――
「E地区!!」
「お前……なぜわかった?」
「え? なにが?」
勘……いや、ただの気紛れか? 今日の対戦相手の国も特徴も知らなかったこいつが、ものの数秒で最適解を導き出せるはずがない。たとえ頭が悪くても、戦闘センスは間違いなく主席ってわけか。
「……いや、いい。それより、武器が付与された瞬間、全速力で南東へ走るぞ」
「おー!!」




