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天使と悪魔の漫才コンビ04

「し、死にたくないぃ!! もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅうぅ!!!!」


「そのボールを揉む行為にいったいなんの意味が……」


「ぐわぁー!?」 「な、なにが起こっぎゃあぁ!!?」


 銃声が止んだ……? いまの悲鳴を聞く限り、こちらを油断させる演技だとは思えない。なにが起こったのか認識することができない因子能力――インビジブル系の上位ジャックポットか。さすがはジャック訓練所の席次を持つだけはある、そんじゃそこらで見れるジャックポットとは一線を画している。


「もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅー!!!!」


「おい、もう敵は死んだ、もきゅらなくていい」


「え……? ほ、本当ですか……?」


 いつまでも涙目で手頃そうなボールをもきゅっているのが不憫だったので、呆れつつ教えてやった。天使様は敵が死んだことにすら気付いていなかったらしい。まさか、自動で敵を殲滅する因子武器なのか? ……いや、それはない。もしそうだとするなら、末席などに収まっていい器ではない。それにそんな最上位ジャックポットならば、この俺が知らないはずはない。もっと違うなにかだ。


「よ、よかったです……。あ、これ、エンジェリックもきゅもきゅって言います。もきゅもきゅするだけバリアの範囲が広がるんです。敵がバリアに触れると死んじゃうんですけど、バリアは私にしか見えていないみたいなので、もきゅもきゅしてると勝手に勝っちゃうんですよね……ごめんなさい……」


「攻撃と防御のどちらも兼ね備えた、シールドベースのマルチジャックポットか……しかもインビジブルまで付いて、弱点らしい弱点もない……ジャックの孫の因子武器なんかよりも、よっぽど汎用性が高いな」


「あ、弱点! あります……もきゅもきゅしてないと効果が出なくて……あっでも、1秒間に1もきゅしておけば、密着した2人分ぐらいなら余裕で護れ……あれ、密着? …………ぎゃあああああ!!?」


 いまのいままでこの状況が理解できていなかったらしく、突然顔を赤らめて数メートルほど飛び退いて再びもきゅもきゅしだした。もう敵はいないというのに、なにを――


「え?」


「もきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ……」


 眼鏡が割れ、全身の力が抜けるのを感じた。そして、尋常ではない激痛が遅れてやってくる。地面に倒れ込んだときには、俺のHPは尽きる寸前だった。


「もきゅも……え? サ、サリパリさん!!?」


 なるほど、こいつは“敵”と認識さえすれば、“味方”すらも殺すバリアを張れるというわけだ。恥をかかされた相手ならば、そう認識してもなんら不思議はない。やれやれ……いつの時も、才能のある者が世の中をかき乱していくんだな。一度は俺も、そのぐらいの才能があればと……思っ…………。

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