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はぐれ勇者の体術使い   作者: 不二子銅鑼屋
第1章:物語の始まり
14/16

1ー14.神露店

そして町をぶらついていると、何やら怪しい露店を発見した。


イヨがとてもその店に食いついているので、俺たちもふらりと立ち寄ることに。


「いらっしゃ〜い!」


その声を聞いて、

おれを転生させた神様の爺さんであることはすぐにわかった。

その神じいさんは、こんな所で露店主をしていた。


「なんでじいさんがこんな所にいるんだ?!」


「お〜!奇遇じゃのぅ。冒険は順調に進んでおるかのう」


「まあ、ぼちぼちだな」


「それはそれは」


おれの質問に答えてはくれないようだ。

神じいさんの露店だからさぞ良いものが売ってのかと思いきや、

効果がほぼないと言われているようなアクセサリーばっかりだった。



イヨは何か気に入ったものがあったようで、それをじぃっと見つめている。

それは・・・花柄のバンダナか。それも特別な効果はないアイテムで、

おしゃれでつけるのものだ。


「僕これ欲しいな」

「イヨ様ならきっとお似合いになりますよ」


そう言ったのはコテツ。コテツはイヨには甘々だな。


「違うよ。これはコテツもつけるの。ヴァンもだよ」

「え?!おれも??」


どうやらイヨは俺たちと()()()にしたいらしく、

同じものを3点持っている。えらく気に入った様子だ。


「そこの獣人のお嬢ちゃん、良いものを選んだの〜!」

「じいさん、これいくらになる?」

「そうじゃな〜!3つで金貨3枚じゃな」


ぼ!ぼったくりじゃねぇか!

ただの効果がないバンダナに1枚当たり金貨1枚だと・・・!?

さっきの武器屋とはえらい違いだな。


「イヨ、ここで買わなくてもいいんじゃないか〜?」

「僕はこれが良い!」

「買って損はないもんじゃよ。さあ、ヴァンどうする?」


まあイヨにはセレナ草の時やスカラベロードの時も頑張ってもらったからなぁ。

値は張るが、また稼いだらいいか。


「じいさん、じゃあこれを3つ」

「毎度!」


神さまのくせにお金取りやがる・・・!


そしてバンダナはお揃いでつけることになり、

イヨは尻尾に、俺は首元にスカーフっぽく、コテツは

頭にねじり鉢巻として巻いていて、妙に似合っている。


「ところでヴァンよ。お前さんらはヒューイットに行くんかい?」

「ああ、ここで少し準備をしてから行くつもりだが」

「親父さんはまだいるはずだから、顔くらい出すんじゃよ」

「まあ、タイミングが合えばね」


ちょっと気になる発言だが、まあ問題ないだろう。

こうして俺たちは明日に備えて宿に戻ることにした。



【宿、野中亭】


俺たちが帰ったのが夕方くらいだったからなのか、

1階の酒場が結構盛り上がっていた。


受付の女の子に、人数が1人増えた事を告げて、

追加の料金を払った。


「腹も減ったし、飯にするか」

「「おお〜!!!」」

「そういえば、コテツも飯って食えるのか?」

「当たり前やん、おれめっちゃ食うで」

「酒は?」

「結構いける方やで」

「お、いいじゃん」


ガイコツのくせに腹が減るとは。

俺たちは適当な所に座り、カウンターにいる

酒場のマスターに注文をした。結構忙しそうにしている。


「マスター!今日のオススメは?」

「ああ?! 今日のオススメはとりの唐揚げだ」

「じゃあそれ3人前と適当に飯持ってきて!」

「あいよ」

「あと、ビール2つとミルク1つ」

「あいよ〜!!」



◇◆◇◆◇◆



「「「カンパーイ!!!」」」


ひと稼ぎした後のビールはうまいのが当然だが、

ここの唐揚げが驚くほど美味い。


味付けは専用のタレがついているのだが、このタレが美味すぎた。

鶏肉はジューシーで臭みがなく、後味がスッキリしていて、すぐ3人前がなくなる。

イヨはモグモグ美味しそうに食べているし、コテツは口の中で噛んでいる間に

中に入っている食べ物が消えていくという、何とも怪奇現象な事になっていた。

適当に頼んだ飯が定食みたいにバランス良く構成されていて、

その飯も唐揚げ程ではないが相当美味かった。


飯が美味いもんだから、ビールが進みまくった。

それと、俺たちが飯を食い始めたタイミングで周りにいた

冒険者連中が俺たちのテーブルに集まってきた。


話によると、俺たちがセレナ草事件を起こしたりスカラベロードを

倒したりするもんだから、どんな奴らかみんな気になっていたようだ。

それに、ヒューイット城の聖騎士団副団長のエリックはこっちの

冒険者ギルドではそこまで好かれていないらしく、今回の一件で

()()()()した連中もいたようだ。


「なあヴァンの旦那。セレナ草は一日であんなに集めるなんて、一体何やったんだよ」

「ヴァンさん、スカラベロードというのは、噂ではレベル300以上でないと太刀打ち

できないと聞いているのですが、どうやって2人で倒すことができたんでしょうか」


等々、最初はクエストに関する質問が多かったんで、


「頑張ったんだよ〜!まあ努力の結晶ってやつ?とりあえず飲もうぜ!」


なんて、適当に誤魔化して酒飲ませばイチコロだった。

宴会騒ぎになり、俺とコテツの飲みっぷりに周りも乗ってきて、

最後は俺とコテツの飲み比べとなり、周りの連中は

ぶっ潰れて突っ伏し、床に転がっていた。

ちなみにイヨは早めに部屋に退散させ、グッスリ眠っていた。


こうして、俺たちが眠りについたのは、夜明け前だった。


◇◆◇◆◇◆


「悪かったねマスター、昨日は」

「ああいいよ。うちがこんなことになるなんて滅多にないからな

しっかり貰うもん貰ったし、構わんよ」


俺は少し仮眠をとるくらいで十分元気になり、コテツは既に元気だし、

イヨは下が騒がしい事は気にせずに昨日グッスリ眠れたらしい。


さて、イヨとコテツの特訓を始めよう。

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