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うつつ
手にした杭を抉りこむ。
「ぎ…ガっ、アあ」
びちゃり、と液体をぶちまける音がした。
手に伝わる、水の入ったゴム袋を押しつぶすような感触。
いや、事実それはゴム袋だったのだろう。
目の前の人は、すでにヒトではないナニカに成り下がったのだから。
――心音がいたい。
杭を引き抜くと、支えを失ってナニカが倒れる。
その様を見ていると、興奮して背筋がゾクゾクした。
けど、何かが足りない。
もっと上の快楽を、自分は求めている。
もっと野性的な何かを、自分は求めている。
そう、例えるなら、前菜を食べ終えてメインディッシュを待っている時のような感覚。
「ああ、そうか」
たとえも何もない。とても簡単なことだった。
肉食獣は獲物を仕留めた後どうするか。
前菜を食べ終わったあと何を食べるか。
そんな野生的/常識的なことに気が付かなかったなんて。
メインディッシュはそこに転がっている。
そうと決まれば話は早い。
まずは頭を――
―――
いやな、ユメをみた。