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第4章4-13

4-13


・ユウのターン


ブリトーを頬張りながら、二人でプルケを分け合って飲んでいるとチェアリーが何か思い出したように聞いてきた。

「ねぇ、何か欲しいものない?買ってあげるよ」

彼女の思わぬ言葉にオレは慌てて断った。

「いやっ、そんな買ってもらうなんて悪いよ」

昨日、お金がまったくなく宿代も払えないと言った事を気にかけてくれたのだろうか?彼女にはお世話になりっぱなしなのに、これ以上何かをしてもらう訳にはいかない。


「ちがう、違う」

彼女は笑いながら手を振った。

「おかみさんからお使いに行ってくれるお礼にって、お駄賃もらったの。だから気にしなくてもいいよ。半分はユウの物なんだし、ただ飲み食いに使っちゃうのはもったいないでしょ?」

そういえば、彼女にまかせっきりでオレはブリトーのお金すら払っていない。彼女は最初からそのお駄賃で払うつもりでいてくれたのだろう。


「それならオレの分はチェアリーが使っていいよ」

「いいの、いいの!遠慮なんてしないで」

世話になっているのだからと思ったのだが、彼女はオレの申し出を受けようとはしなかった。

(お金のやり取りは気を使うよな、あげるにしても何か理由がないと・・・・・・)

チェアリーにただお金を渡そうとしても、受け取ってもらえそうにない。


しょうがなく彼女が言うように欲しいものを考えた。

「じゃあ、それなら・・・・・・」

欲しいもので真っ先に浮かんだのがナイフだった。昨日河原でキャンプの真似事をした時、ナイフはチェアリーから借りたが自分用に1本持っていたら便利だろうなと思っていた。


しかし、ナイフと言葉に出しかけて飲み込んだ。

(ナイフは高そうだしなぁ)

お駄賃と言うぐらいだから、ちょっとした小銭程度だろう。遠慮なく言ってしまったら大変だ。

「うーん、急に言われても悩むよ」

チェアリーはニコニコしながらこちらの注文を待っている。


彼女の顔を見ていたら、キャンプ繋がりでもう1つ必要なものを思いついた。

「そうだ、カップが欲しいかな。ほら、昨日はキミのを借りちゃったから自分用に1つ欲しい」

カップなら手ごろな値段で買えるんじゃないか。自分でもちょうどいいチョイスをしたと思う。のだが・・・・・・

「え、カップ・・・・・・うん、でも一つあればよくない?分けて飲めば済むし、それにかさばるし重くなるし」

彼女はあまりいい返事をしてくれなかった。

(かさばるか。確かに荷物は必要最低限の方がいいもんな)

彼女の冒険者としての判断なのだろう、貸しあって済むのなら一つの方が効率的だ。


「そうかー、なら・・・・・・」

何が必要なのだろうと考えると、意外に難しい。そりゃあ、有るに越した事ない物なら色々あるのだろうけど、必要最低限のものなら、衣、食、住と一応揃っている。

教会で装備や服はめぐんでもらえたし、食べ物や住むところはチェアリーとおかみさんのおかげでなんとかなった。後はスライムさえ倒してお金を得ることが出来るようになれば、何とかなるはずだ。


「あ、」

1つ、今必要な物を思い出してオレは思わず声を出してしまった。

「ん?なに」

彼女はオレが何か思い当たったのを聞き逃さず尋ねる。

(いや、コレは・・・・・・)


変に突っ込まれないよう話を流すことにした。

「何でもないよ、欲しいものって急には出てこないもんだね。オレはいいから今日の夕飯代にでも当ててよ」

「うそ、今なにか言おうとしたでしょ?」

チェアリーはこちらが何かはぐらかそうとしていると感づいてしまったようだ。やはりオレのトークスキルはポンコツだ。


欲しいものとして思いついたのはパンツだった。

オレの初期装備は布の服に中折帽という、ちぐはぐな出で立ちで不思議だったが、更に穿いていたパンツには驚かされた。

教会で泊めてもらった時、トイレに入って確認してみるとオレの股間には折りたたまれた布があてがわれていただけだったのだ。


最初はフンドシかとも思ったが、その布は紐で腰に固定されていただけ。だから一度外してしまうと自分で元に戻すのは難しく、今はその布を腰にタオルでも巻くかのように止めている。

一応ズボンで隠れてはいるが、下が宙ぶらりんなのはどうも具合が悪い。

(ここの人達はどんなパンツ穿いてるんだろう?)


「ねえ、何が欲しいの?」

彼女は引き下がろうとせず、オレは困ってしまった。

「ユウはコッレの街、初めてなんだからお店の場所とか分からないでしょ。酔ってるみたいだし、おかみさんの買い物ついでに私が今買ってきてあげるよ」

そんな事まで言って食い下がってくる。


この世界のパンツ事情がどうなっているのか分からない。もしかしたら布を紐で巻くのが主流なのか?だから自分で買いに行って確かめた方が安心だ。それに、家族でもないのにチェアリーにパンツを頼む事は出来ない。というより異性のパンツを買ってくるなんて彼女の方が嫌だろう。


「いや、大丈夫。自分で買うから」

「なんで?遠慮しないで」

(困ったな・・・・・・言った方が諦めてくれるかな?)

ここは変に隠すより正直に言ってしまった方いいと思い、仕方なく彼女に打ち明けた。

「パンツが・・・・・・欲しいなって。ごめん、変な事言って。オレのはいいからチェアリーの欲しい物、何か買っておいでよ」


彼女もさすがに他人のパンツを買うのは抵抗があって断ってくれるだろうと踏んでいたのだが、

「うん・・・・・・うん、いいよ。買ってきてあげる。ちょっとここで待ってて!」

(え?)

チェアリーはオレに待つように言うと、勢いよくイスから立ち上がり、急いで駆けて行ってしまった。その顔は酒のせいなのか、恥ずかしかったのか真っ赤だった。

(うわぁ!変な事言うんじゃなかった!!)


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