『姉妹』
GW特集3日目…
「ここで最後か…」
魔術師は滝の上から巨大な湖を見つめ、呟いた。
「パッと見、見当たらないけど…移動したのかしら?」
魔術師は滝から飛び降りて湖面へと降り立つ。静かな湖面に波紋が広がる。
直後、降り立った周囲が際立ち、円錐状の水の牙がせり上がる。
「はいはい、《雷爆》。《雷爆》」
《詠唱破棄》を利用して詠唱をすっ飛ばして黄色い魔方陣を展開して適当な魔術を叩き込む。
爆発音と共に透明な肉が辺りに飛び散る。
「ほら次の頭出てきなよ?《魔力感知》を持つ私がわからないとでも?その核の大きさなら8本くらいはあるんでしょ?『八岐水蛇』?おっと!《飛翔》」
直後、周囲に6本の水柱が立ち上ぼり、全体を露にしていく水蛇。そして徐々に水位が減っていく。
「ん?1、2、3、4…7本?1本少ない…まぁ良いか」
水位が減り初めてすぐに左手を杖に添え、無属性魔法《飛翔》を杖にかけた。杖の先端部分から半透明の1対の翼が生え、魔術師はその杖の柄に腰掛ける。杖は一瞬沈み込むも重さを感じさせないかのように勢いをつけて宙へと飛び出した。
魔術師は湖を旋回しながら首の本数の少なさに首をかしげる。それもつかの間。左手を杖に右手を水蛇に向ける。
「《詠唱破棄》再起動…さぁてどれだけもつ…か、な…」
魔術師は水蛇の透き通る胴体の中に巨大な赤い核…そしてその近くにぼろ布のような服を纏った人が浮いていた。魔術師はその人を凝視して言葉を失う。
「てめぇ…私の大事な旅の連れ…そんなところに入れてナニしてんだ…」
かざした右手から無色の魔方陣が2重に展開される。
「《重複詠唱》、《螺旋詠唱》起動。我が砲は捩れ狂う…砲火、発射!」
ニ重に展開された魔方陣から無属性初級直射型砲撃魔法《砲火》が螺旋状に捩れ、核へとまっすぐ向かう。
しかしそれをみすみす放っておくような魔物ではない。6本の首が水流を放ち、砲撃の行く手を妨げる。6本の水流を貫通してもなお威力の残る砲撃に対し、最後の1本の首が割って入る。それでも貫通したものの白い砲撃は透明な肉にあたってはかなく散った。また爆ぜた頭は瞬時に再生し、魔術師は憎々しげに言った。
「そこまで邪魔をしようってんなら再生できなくなるまでその頭、潰し尽くしてやる」
彼女の長い長い戦いが始まった。
出勤までの1時間、昼休みの30分、帰宅までの1時間で1本仕上げるのはキツい…GW終わるまでにこの話を完結させたい…
いや…《砲火》の口上、どこぞのしがない弓兵さんじゃないですよ?決してどこぞの贋作者さんじゃないですからね?頭文字に「え」のつくあの人じゃないですよ!(震え声)