『妹』
予定ではこの話でこの話は終える予定だったんですが時間の関係上無理でしたorz
再び気がつけば既に日は高く昇っていた。
「右足…は今度はちゃんと治ってる…」
あれから一体どれだけ経っているのか皆目検討もつかない…。
空腹も血への欲求も前回よりもに大きくなっている。だがこの程度あの頃に比べれば辛さではない…それにあの頃と違い、私は自由である。だから近くを通る小動物が来たら捕まえて…
――カポッカポッカポッ…
何か蹄のような足音が森の奥から聞こえる。私は目を凝らして森の奥を見つめる。森の奥から出てきたのは茨鹿だった。体毛は針のように尖り、角も茨を連想するようなその角は年月を経て大きく、太く、固く、鋭くなる。そして旅を続けるほどその肉は美味となる茨鹿…しかしレベルは70〜80と一般人からするとかなり高い。そしてその肝心の角の大きさは裕にレベル100を越えていると思われる…きっと私なんか串刺しにするのは容易いことだろう…。
ただ…繁殖期とかでない限り、刺激しなければ襲ってこない。
茨鹿は私を一瞥し、危険ではないと判断すると湖の縁に近寄って水をすすり始めた。
しかし変化はすぐに起きた。茨鹿の周囲の水が囲むように尖り、一気に茨鹿を包み込んだのだ。
私は目を丸くした。この現象がなんなのか私は知っている…私が今浸かっている湖は水蛇の縄張りだったのだ。
『水蛇は新鮮な獲物を好む…。私は…気を失い、目覚めて少し身じろぎ程度のみしてまた気を失っていた。』
透明な口腔内で茨鹿が噛み砕かれていくのを見て思わず酸っぱい何かが喉から込み上げる。
『動きが少なかったから今の今まで水蛇に気付かれずに済んだんだ。奴には目は無い…。奴は縄張りの水を介して獲物の居場所を定める。だから身動きしてはいけない…動けば…死…』
「死」を想像した瞬間、悪寒が背筋を走る。どのように死ぬのか…。どれほどの苦痛なのか…。そう考えただけで頭が真っ白になる。
『もう…大丈夫だからね?』
不意に馬鹿な魔術師型の猫族の顔を思い出す。
『な、なぜあの馬鹿の顔を思い出す!』
私は頭を振って浮かんだ魔術師の顔を振り払う。しかしそれがいけなかった。
周囲を覆うようにして現れる水の顋。問題はそれだけではない。
『2頭目だと?!』
視線の先には茨鹿を噛み砕き続ける首があり驚愕する。
『基本水蛇はどんなにすみかが大きくても1匹しか生息しないはず。2体目以降は縄張り争いで互いを互いが食い合うはず!』
私は逃げることを忘れ、目を丸くする。そんな私を他所に湖の至るところから水蛇の首が出現する。その数5本。
5本の頭が追加で出たことにより水かさが一気に減り、原因が明らかになる。
『首が…ひとつの胴体から…』
私は噛み砕かれずそのまま丸呑みにされた。
『あ、これ死んだな…』
私は大した抵抗できずに目を瞑る。私の意識は深いところへと沈んでいく。
真っ暗な闇へと…
…今日は切りが良いからここまでです。明日、日付変わるまでお待ち下さい