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『姉』

こっちのストックは全くだったからキツい…

多分明日のは間に合わない…かも。

 2つの影が森を駆ける。


「あなたは!なぜ!ボンビーの巣を!つついたんですか!」


 影の1つがもう片方の影に怒鳴る。


「いやぁ…蜂の巣ってのは分かっててやったんだけど「馬鹿ですかあなたは!」まぁそう固いこと言わないで…わぉ!」


 ひとつの影が奇妙に小さな蜂を避ける。背中に真っ赤な宝石を背負った蜂は目標の進行方向にあった木の幹に自身の唯一の武器を突き刺す2つの影は慌ててその木から距離を取る。蜂は木から針を抜いたその瞬間、木が爆発した。

 影の1つは剣で木の破片を叩き落とし、もう1つの影は魔方陣を展開して防いだ。


――ヴヴ…ヴヴヴヴ…

――ビビビビシィ!


煙から勢いよく飛び出した蜂達は魔方陣に突っ込む。


「よし!ちゃーんす♪」


 魔方陣にぶつかった蜂を一網打尽にするべく蜂達を囲むように魔方陣を複数展開する。


「今夜は蜂鍋だぁぁああああ!」

「私は食べないから…」


――ヴヴヴ…ヴヴ…ヴ


 羽音は嗤ったように聞こえた。剣を持った影は杖を持った影の襟首を掴み、全速力で距離をとろうと試みる。

 蜂達は一斉に腹を引かせた。魔方陣から針が引き抜かれる。

 直後…広大な森に爆発音が響き渡る。

 爆心地は隕石が落ちたかのような空き地と化していた。爆心地中央からは羽音が響く。

 羽音の主達は周囲を見て目標が居ないことを満足したらしく元来た道を飛んでいく。


「行った?」

「行ったみたい…」


――ボゴッ


 土の中から4つ2組の手が生える。


「ぷはぁ!あぶないあぶない…まさか魔方陣にすら干渉できるなんて…そんなの聞いてないよぉ」

「全く…あなたが土属性に適性があり《創造(クリエイション)》を使おうと思いつかなければ今ごろ木っ端微塵…」

 土の中から這い上がってきた2人の猫族は爆発の直前魔術師が土属性の初級魔法で2人分の深めの穴を形成し、落下とてもに穴を塞いでいったのである。

「…で何が目的だったの?大方背中の魔力結晶でも取ろうとしていたのでしょう」

「それなら群れからはぐれた1匹を捕まえればすむ話でしょ?目的はコレ」


 そういって魔術師は豊かな胸の間から琥珀色の液体の入った瓶を取り出す。それを見て剣士は驚愕を露にする。


「まさか…ボンビーの蜜?」

「んっふふ〜そのまさかなんだよねえ〜」


 ボンビーの蜜は取得難易度の問題で1gで白金貨1枚に相当する。


「あなたは馬鹿?魔力結晶を狙うならまだしも蜜を取るなんて…」

「いやぁ…これ、美味しいんだよ…蜜なのにさっぱりとした甘味、地方毎で違うんだよこの風味…ペロッ…これはリンゴーンの香りが強いから近くにリンゴーンの林でもあるのかな?」


 瓶の蓋を開け、指で掬って味見をする。


「信じられない…命の危険にさらしてまで食べるための蜜を取ろうなんて…あなたには付き合ってられない…」


 剣士は怒鳴って足早に立ち去っていく。


「あ、待って!」


 魔術師の言葉を無視して歩き続ける。


『今まで幾度となく危ない目に遭ってきた…でもそれは仕方のないこと…でも今回は命の恩人と言えど看過しがたい!』

「ちょ、待ってそっちには…」


 魔術師の言葉に耳を貸さない剣士の足が空を掻く。


「へ?」


 剣士はみっともない声とともに重力に従って谷底に落ちていく。


「っ!『そっちは谷だ』って教えようとしてた矢先に!」


 魔術師は斜面を滑るように降り始めた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「いっつつ…」


 私は痛みの発生源たる頭に手をやる。

 多分頭を打ったんだろう。

 周囲を見回す。河原のような石が集まった場所のようだ。どうやら谷底は川だったようで流されて現状に至ったようだ。


「右手…よし。左手…よし。左足…よし。右足…あれ?」


 右足が動いている感覚がない。

 状況把握のため、上体を起こす。私は目を疑った。

 右の膝から下があらぬ方向に曲がっているのだ。


「《自動再生》は…っん…起動してる…」


 どうやら変に曲がった状態で治癒したらしい。

 次に今居る場所を見渡す。生き物の気配もなく、朝焼けと思われる日の光が差し込む。

 明け方前ににボンビーに襲われて谷に落ちたのに骨折がほんの数刻で治るわけがない。つまり…


「長時間気絶していた…少なくとも1日以上…」


 私はワンピース状の服を脱ぎ、細く丸め、噛み締める。そして問題の右足を元の方向に強引に曲げる。


――ゴギッ


「ふグゥゥウゥウ!」


 あまりの激痛に歯を食いしばる。

 思わず叫びそうになるが丸めた服をこれでもかというくらい噛み締め、涙が零れようがなんだろうがお構い無く曲げる。

 右足を足をなんとか元の方向に戻すと私はその痛みに耐えられず、気を失った。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「まさか谷底が急流になってるなんて…」


 私は轟々と唸りをあげる川の上に立ちながらため息をはく。


「しかも勢いを失わずに分岐が何本も…これは探すのは結構骨がおれるわね…」


 今まで急流の終着点は皆穏やかな湖や池だった。


「ただ問題なのはどの湖や池にも水蛇(ミズチ)が居たことね。あの子のところには居ないと良いんだけど…」


 川を下っていくと徐々に水流は穏やかになり、その終着点に到達する。周囲は岩壁に囲まれ、他に行く手段もない。


「ここも外れかぁ…」


 すでにあれから1週間は経っている。


「飲まず食わずで1週間…最悪、代替食も視野にいれないといけないか…」


 湖に一歩踏み込む。水が顋状に姿を変え私を包み込む。


「爆ぜろ紫電。響け轟音!(ライトニング)(バースト)!」


 雷系中級攻撃呪文をある程度適当に唱え、両手を広げたその先に展開した魔方陣から盛大に叩き込み爆散させる。

 本来水蛇はベテランでも苦戦する魔物…しかし苦戦する理由は単純明快。水蛇は基本縄張りに入った獲物を丸のみにする水で出来た蛇(・・・・・・)である。そんなものが陸に上がるわけがない。ゆえにベテランでも苦戦する。

 なら早い話蛇が姿を現したくなることをしてやればいい。そして出てきたところを1撃で仕留めればいい。

 もうこのエリアには用はない。


「次のエリアを探さないと…」


 私は足早に元来た道をたどって戻り出す。


後編は4/30の段階ではまだ完成してません。

完全に見切り発車…。

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