アルベーン事典
告知に無い投稿。
まぁGWなので何か頑張ってみたかった。
「このスキルの説明は…『他者の…』(ぶつぶつ)」
「何…書いてるの?」
黒髪の少女剣士はぶつぶつと呟きながら書き続ける銀髪の魔術師に尋ねた。
「あ、起こした?ごめん…」
「気にしてない…いったい何を書いてるのかと思って…」
魔術師は綴る羽ペンを止め、剣士に謝る。剣士は目を細目ながら魔術師の行動を尋ねた。
「私の『主』が冒険者で博識であるとは限らないでしょ?
もしかしたら箱庭のお嬢様かもしれない。
どこかの領主病弱な次男坊かもしれない。
その時少しでも世界について話していられればいい。でも食事の用意やらで私も常について話してあげることはできないかもしれない。
だからその間少しでも世界について知ってもらうにはどうしたらいいかって考えたら…」
「書に綴る…結論に至った」
剣士の言葉に魔術師は頷く。
「それで今書いてるのはスキルについてまとめた本を書いてるの」
魔術師は分厚い冊子の閉じ、両手で持ってそれを剣士に見せる。
剣士はパラパラとめくりその中身をざっとどんな風になってるか確認する。
「魔力を流すことによっても内容が変わる私のお手製の本なんだから」
魔術師は豊かな胸を主張するように張って自慢気に言う。
「これは本とは言わない…もはや辞書…」
剣士は呆れと驚愕をないまぜにした表情で魔術師に返す。
「んっふふ〜このお手製の本はこの《スキルの書》の他に《魔物の書》《地理の書》、《歴史の書》の全4冊作る予定!」
「…読みきる前に『主』の寿命がつきると思う」
黒髪の剣士は呆れながら言うと魔術師は耳をぺたんと寝かせ、力なく言った。
「…言わないで…ここまで書いといて、今更過ぎて後に引けなくなってるのよコレ…」
「はぁ…」
魔術師が言うと剣士は大きな溜め息を吐いて布団に潜り込む。
こうして2人が宿で過ごす夜は徐々に更けていくのであった…
いずれ本編のあとがきでコラムのような感じで主様に紹介してほしいものだなぁ…(遠い目)