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覚醒?ナニソレ

今回は従者の姉と妹の邂逅と妹の半生にちょっと触れたものです。

ピロリ〜ン

―ー称号:《先祖帰り:吸血鬼(ヴァンパイア)》を習得しました

ピロリ〜ン

――サブスキル《不老》を習得しました。

ピロリ〜ン

――サブスキル《吸血》を取得しました。

ピロリ〜ン

――サブスキル《変換:血→魔力》を取得しました。

ピロリーン

―ーサブスキル《自動再生》を取得しました

ピロリーン

―ーサブスキル《変換:血→力》を取得しました

ピロリ〜ン

――スキル《限界突破》を取得しました。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 私の生まれた家は獣人族の中ではかなりの名家でした。

 しかし私は生まれた際に《鑑定》持ちの医療師に『《従者》の称号持ち』という診断をくだされました。

当時の時代では《従者》と言うのは奴隷のようなもの…と言う偏見のような扱いでした

 『名家に従者が生まれた』この事実を隠すために医療師は口封じとして殺され、私は尖塔に幽閉されました。

 それから13年間…表舞台に立って言葉を発する機会などあるはずないのに言葉を教えられ、

 尖塔から出ることもないのに魔術の基礎や剣術の端くれを母から教えられました。

 母はいつも1日の最後、部屋から出る前にこう言いました。


「あなたに名前すら与えることができない私を赦してほしい…。あなたを従者として産んでしまった私を赦してほしい…。私は常に祈っています。『あなたに素晴らしい主が契約してくれますように…』と」。


 私はいつも決まった言葉で返しました。


「尖塔に閉じ込められてるこの状況じゃ契約してもらうのは無理」


 そう言うと母はいつもすまなそうに笑って部屋を出ます。

 そんな日々を十数年も続けていると頭の中で知らない声が聞こえた。

 内容を振り返ると大半がスキルの取得だった…。

 確かにこのスキル郡を使えば私はこの尖塔を出られるだろう…。しかし私は出ようとは思わなかった。怖かったのだ…。

 私を差別する世界が、

 私を卑下する世界が、

 私を非難する世界が、

 私を必要としない世界が…

 だから私は隠すことにした…このスキル郡を…

しかし隠すことはそう長くは続かなかった日が経つに連れ、母は老い、変わらない私を恐れるようになった。そして年月が経ち、母が来ることすらなくなった。嫌われたのだろう…。次にこの扉が開くまで待つことにした。

 時折降る雨による雨漏りで喉の乾きを癒し、血への欲求と空腹は精神力でねじ伏せた…。

 どれくらい経ったのだろうか…私は寝たきりだった。不意に遥か下の方で扉の開く音がした。

 体を動かす気にはなれなかった。たぶん空耳だろう。それかお迎えが来たのだろう…

そんなことを考えていると靴が石造りの階段を踏む音が近づいてくる。

 部屋の前で足音は止まると「ガチャン」と音を立てて外鍵が外れる音がした。

 誰かが入ってくる。目のみ動かして確認する。

 外套を深く被ったその人の頭頂部は三角の出っ張りが2つ、外套から伸びる日に焼けていない洗い立てのシーツのような真っ白な右手は木製の杖を握っていた。

 どうやら魔術師(メイジ)のようだ。


「おっどろいたぁ…下で録音した時の時間を聞いて、尖塔だけ残ってるから覗きに来たけどまさか本当にまだ生きてたのね…」

「ぅ…ぁ」


 喉が干からびて声がでない…


「そうそうお水ね。ゆっくり飲むのよ」


 身を抱いて起こさせてくれたその人は、懐から水筒を取り出し、少しずつ飲ませてくれる。


「肉がいい?それとも干物?」


 ミイラのような肉と魚のミイラを取り出し訪ねてくる。しかし私は…


「ち…」

「ち?」

「血…が…欲しい…」


 その人はキョトンとした表情で私を見る。しかしそれもそんなに短い時間だった。


「咬める?」


 そう言って左腕を差し出す。

 私は言われるままに腕に噛みつく。


「…甘噛みレベルね…やっぱり顎の力が弱まってる…」


 そう言って懐からナイフを取り出し左手中指を浅く切る。


「はい…これが欲しかったんでしょ?」


 滲み出す指をその人はなんのためらいなく差しだしてきた。

 初めて飲む他人の血はとても濃厚でとても甘かった。


「こんなになるまでよく頑張ったね」


 この人は私の何を知ってるんだろう…何も知らないくせにといつもなら罵るが今はそんな気分になれない。


「あなたのお母さんが全部教えてくれたよ…そしてあなたを外に連れ出して欲しい…と」

「わ…たし…はいえの…言いつけで…」


 私が反論しようとすると魔術師は壁に向かって手を向け、


「爆ぜては返せ破壊の波!爆発イクスプロージョン!」


 爆発によって石造りの壁が壊れて外の景色が一望できるようになった。


「『家』?どこにあるのそんなもの…」


 肩を借り外の景色を見ると廃墟と荒野が広がっていた。そして魔術師は言う


「あなたは嘘をついてるつもりはないと思ってるわ。でもあなたが言っている『家』はもう何百年も昔に滅びてるの…」


 魔術師の言葉は優しく、悲しそうに聞こえた。


「あなたを縛るものはもう何もない…行く宛も無いなら私と来ない?話を聞いた限りだと年を取らないみたいだし…」

「恐く…ないの?」


 魔術師はフードをはずす。フードをはずした魔術師の顔立ちは私にとてもよくにている。違うのは銀糸のような色の髪に少したれ目なところ程度だった。


「私も年を取らないんだ。だから先に老死なんてこともないし、あなた生まれたときから『従者』で名無しなんだって?」


 魔術師の問いにうなずいて答える。


「私も生まれたときから『従者』で名無しなの…案外、私と同じ星のもとに生まれるはずだったんだろうね…」


 その後私はその魔術師を「姉さん」と呼び、共に旅を始めたのはそれはまた別の話…


本編の進捗具合で進むので次回は未定です。

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