世界・頂・力祭、予選(4)
軽装鎧の女性が金髪をたなびかせて細剣を煌めかせる。
「さて次か…」
「いたぞ。この女ちょこまかちょこまか逃げやがって…」
「追ってきましたか…あまり動かない方がいいですよ?」
「ほざけぇ!ぶべっ」
男が短剣を構えて女性に突撃しようとした所で倒れた。
「言わんこっちゃない…」
「な…なんで倒れて…」
男は倒れた拍子に手離してしまった短剣を探す。
「あ、あったあった…」
男は自分の短剣を見つけ、手に取ろうとするが短剣はすでに何者かの手が握っていた。
男はその手をよく知っている。だから男は自分の腕を見た。男の腕の先…手首から上は無くなっていた。
その腕を見たときに自分の足の状態が分かった。否、分かってしまった。膝から下が無くなっているのだ。
「お、俺の足が…手が…」
「今ならまだ間に合う…リタイアするならつけてあげますよ?」
「する!リタイアするからつけてくれ!」
男は顔を歪ませながら懇願する。女性は男の腕と足の断面を合わせる。
「しばらく安静にしてればくっつきます…派手な運動はご法度。すぐとれますので。まぁ普通の生活をする分には支障はないので1週間ほど本業は諦めてください」
女性はそういうと次の相手を探しに背を向けた。
「竜の首を跳ねたが斬られた竜自身も気付かず、しばらく生きていたという伝説がある閃光騎士団の団長…フォルトナ…か」
男は自分の手をゆっくり握る開くを繰り返し、背筋に冷水を浴びせられたかのように身震いを1つしたのち救護係に連れられて舞台を去る。
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